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トリドールHD(丸亀製麺運営会社)によるZUND(ずんどう屋運営会社)の買収その後

2017年11月、トリドールホールディングスは「ずんどう屋」を運営する株式会社ZUNDの株式80%を取得した。

当時ずんどう屋は関西中心に国内33店舗、国外1店舗のラーメン店を展開。
年間5店舗前後を出店し、堅調に成長していた。
買収から7年弱が経ち、M&Aその後を踏まえてM&A自体の評価を考えてみる。

まずは定量情報の比較から。
【買収時点(2017年11月)→2024年3月末】
店舗数:34店舗→87店舗(約2.5倍)
年商:約36億円→約89億円(約2.5倍)

買収価額は持分比率80%で33.6億円、100%変換すると、42億円。
純資産2.3億円なので80%分とすると約1.8億円。
33.6億円-1.8億円で、のれんが31.8億円ほど。
実態収益力は全く分からないが、3~4億円程度の調整後EBITDAがあったとして、その10倍ぐらいで買われたと思われる。
かなり高値で、当時も話題になったがトリドールホールディングスとしては大きな投資に違いない。

さて、このM&Aをどう評価するか。
トリドールホールディングスがずんどう屋を今度は売却した場合にいくらで売れそうか?で考えてみる。

数値は推測に過ぎないので、以下は全然違う可能性もある前提で読んでほしい。

23年3月期比較で、ずんどう屋は8億円以上の事業利益改善がされているとのことなので、恐らく年間10億円程度の利益創出する事業になっている。

純資産はあまり変わっていないようで、利益をガンガン出し始めたのも最近の様なので買収時と変わらず3億円とする。
買ったときと同じく、のれんとして利益の10倍がついたとすれば100+3=103億円、7倍でも70+3=73億円。
持分比率は80%(2020年に完全子会社化されているが、ややこしいので80%のままで考察)なので73億円×80%=58.4億円、103億円×80%=82.4億円。
58.4~82.4億円の株価評価だ。

31.8億円が7年で58.4~82.4億円になったという結果。

IRRの算出や、買収資金は借入で賄っているということなので、レバレッジ効果を踏まえた資本効率の検討なども考えるべきだが、細かいことは省く。

物凄く単純に考えて、31.8億円が7年で58.4~82.4億円に増えたということで、それが良いのかどうかは各自の考察にゆだねる。
少なくとも価値が減ってはいないので、失敗ではない。

M&Aは時間が経ってみないとその成否の判断は出来ない。
どうしても買収時点の、「えーあの会社が!?」とか「◯◯億円!」みたいなので盛り上がってしまうが、その後をしっかりみていきたいところ。

ずんどう屋は買収直後は出店数が伸び悩んでいたり、コロナ影響などもあって2021年までは店舗数も微増ぐらいだったが、2022年に思いっきりアクセルが踏まれて24店舗出店されている。
結果その出店が利益を生み出して、24年3月期では前年対比で約8億円の事業利益増ということになっていると思われる。

買収直後はいわゆるPMIという統合作業や色々な課題もあったりして、すぐすぐに思うようには立ち上がらなかったりする。
なので、中長期で少なくとも5年程度は変遷を見たうえで評価することが必要かなと思う。

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