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未上場企業の株を少数持っていて譲渡したいとき【M&A日記】

例えば祖父が事業家で、相続で株の一部が巡ってきたとき。
あるいは、商法時代は会社設立には複数の株主が必要だったため、知人の創業に協力して株主になったとき。

このようなケースで、未上場企業の株を少数だけ持っているということがある。
そして、経営には一切関与していないし、売却してしまいたいというとき。

まず、未上場企業の少数株なので、それを買いたいという人は実際問題としてなかなかいない。
しかし、昨今はM&Aもだいぶ活発化して、いずれ経営者が会社を譲渡するというときには相乗りできる可能性が高いので、それを想定して買うということはあり得るかも。

運よく買い手が見つかった場合どうするか。

まずは会社の定款に記載されている譲渡制限について確認する。
未上場企業の定款には、高い確率で株式の譲渡制限が記載されている。
株主総会とか取締役会とか代表取締役とかの承認を得ないと譲渡できません、という記載。

ということは、その承認機関が承認してくれないと売れないのかというと、実はそうではない。

以下は会社法第140条の条文。

  1. 株式会社は、譲渡制限株式を譲渡しようとする株主がその譲渡について株式会社の承認を請求したときは、その承認をすることを要しない旨を定款で定めることができる。

  2. 株式会社は、前項の請求を受けた日から二週間以内に、その請求をした株主に対し、当該株式を譲渡しようとする者に当該株式を譲渡することを承認しない旨を通知しないときは、当該株式の譲渡について承認したものとみなす。

  3. 株式会社は、第一項の請求を受けた日から二週間以内に、その請求をした株主に対し、当該株式の譲渡について承認しない旨を通知したときは、その請求をした株主に対し、当該株式を譲渡しようとする者として株式会社が指定する者を通知しなければならない

譲渡承認請求を否認し場合、会社は別の買い手を探す必要がある。
具体的には他の買い手を探す、もしくは自社株買いということになる。

なので、買い手を見つけてくることができれば、相手は変わってしまうかもしれないが、株の譲渡はできる可能性が高い。

また、これはあくまで株の譲渡制限がついている会社の話で、譲渡制限のない会社の株譲渡は自由。
たまーーにそういう会社もある。

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