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「はばのり」って何?美味しい?どうやって食べるの?

「はばのり」の名前の由来とは?


「はばのり」って聞いたことありますか?
自分も海苔屋になって初めて耳にした言葉でした。
名前の由来は、鳥の羽のような形であることから「羽葉苔」と名付けられたそうです。

「海苔」ではない?「はばのり」っていったいナニ?


我々が良く食べている「海苔」は紅藻植物門紅藻綱ウシケノリ目ウシケノリ科アマノリ属です。
これに対して、「はばのり」は褐藻植物門褐藻綱カヤモノリ目カヤモノリ科セイヨウハバノリ属です。

つまり、ほぼ「コンブに近い植物」なんですね!

でも、なぜ「のり」って呼ばれるのか?
おそらく①ミンチする、②板状に漉く、③乾燥させる、④炙る、という製造加工工程が海苔と同じだから「コンブ」ではなく「のり」と呼ばれるのだと思います。
つまり [海苔のように加工されるコンブに似た海藻] が「はばのり」の正体だったのです!

時期はいつ?どこで採れる?どうやって食べるの?


はばのりの旬の時期は晩秋から冬にかけて、日本各地の海岸線の岩場などに自生しています。千葉県では岩場が多い勝浦、鴨川などの外房地区、また千倉、冨浦、三芳など南房総や銚子方面などで採取されています。あまり多く採れないものなので、流通は地域的で自家用としての消費が多いようです。

「はばのり」の調理法や食べ方は、焼く(あぶる)、煮る(煮る、湯通し)、汁(吸物、みそ汁)などハバ広く使われているようです。
さすがは「はばのり」ですね!

千葉県では「幅を利かせる(はばをきかせる)」にかけた縁起物として食べられています。またお餅やお雑煮などと一緒に食べるので、正月には必要不可欠な地域もあるようです。

ちなみに、その栄養成分を調べようとしたのですが、文部科学省の食品成分データベースでは、検索できませんでした(2023年10月現在)。

岩場で採れる「岩ノリ」とは違うの?


「岩ノリ」は、紅藻植物門ウシケノリ綱ウシケノリ目ウシケノリ科アマノリ属に分類されるので、「海苔」の仲間です。
ですので、「はばのり」とは似て非なるものです。
言うなれば「はばのり」は 岩で採れるコンブという意味で、
[岩コンブ] とでも言えそうですね。

そもそも美味しいの?


海苔屋からすると、「【はばのり】は海苔ではない」です。
美味しいとは思えなかったのが正直な感想です。
ただ、海藻を食べているような感覚で
塩味が強く、炙ると香りが非常に立つので海を感じられる逸品です。
アクセントとしては抜群の存在感です。
単品で食べるというよりも、何かにふりかけたりして食すほうが
合っているように感じました。
はばのりを揉んで白ゴマとごま油で混ぜご飯風にアレンジして
おにぎりにして食べると海を感じられる美味しさ♪
単体で食べるよりも何かと合わせて口に入れる方が
食べやすいのかもしれませんね。

千葉県、特に南房総ではお正月に「はばのり」を炙り、食前に手で揉んでお雑煮にふりかけて食べる文化が定着しており、「これがないと一年が始まらない」という人も多くいます。
さらに「糸青のり」や「かつお節」「青まぜ焼海苔」なども併せてふりかけて食べるのが通な食べ方のようです。

年末に手に入れないとお正月には間に合わない、という商品ですので、
お早目のご購入をオススメ致します。

お値段はいくら?どこで買えるの?


養殖とはいえ生産量が限られている「海苔」とは違い、
「はばのり」は養殖されていません。
完全天然物ですので生産量も限られています。

季節の中で一番寒い冬。
その海の岩場で「はばのり」を採取する方は高齢化と共に年々少なくなっています。
必然的に採れる量も少なく、その価値は上がる一方となり、非常に高値で取引されるようになっています。
気になるお値段ですが、現地では1枚1,000円前後のようですが、
その年や時期によって変動し、不安定な価格で取引されています。

お客様から「新物の”はばのり”はありますか?」というお問い合わせをよくいただくのですが、当店では取り扱っておりません。
当店では春物(春はば)のみの取り扱いとなっております。
どうしても新物がいい!という方は、採取地に出向き、入手されるのがよろしいかと思います。

当店では毎年10月頃から販売を開始し、12月末には完売してしまいます。
大変希少な商品で、数が多くない故に価格も不安定ですので
ご了承いただきご納得された上でお買い求めください。



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