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カスタマーサクセスとは?重要性や導入事例を徹底解説

どうも!ブランドコンサルタントの中江です。

今日のテーマは「カスタマーサクセス」です。

「カスタマーサクセス」という言葉は、最近になって、日本でもよく聞く言葉になったかと思います。

1.カスタマーサクセスとは

「カスタマーサクセス」というのは

顧客にモノを届けるのではなく、成功を届ける

ということを重視した考え方・概念です。

今となっては「カスタマーサクセス部門」を設置する企業も増えてきているので、一つの職種にもなっています。

元々、この概念自体は、2000年代のアメリカのITバブルやリーマンショックを生き抜いた企業経営者が、10年以上かけて確立した概念で、そうしたリーダーたちが、2012年頃からアメリカで普及させていき、それがヨーロッパにも広がり、日本でも近年、注目されるようになってきたという訳です。

商売は、モノを売って終わり

と捉えるのか

商売は、モノを買っていただいてからがスタート

と捉えるのか。

この捉え方によって、その企業が繁栄できるかが決まります。

これまでは欧米諸国を中心に「商売は、モノを売って終わり」と捉える企業が多かったと思います。

「商売は、モノを売って終わり」と考えるのであれば、市場調査をし、まだ世の中にない斬新なコンセプトを作り出し、これまでにない画期的な機能と斬新なデザインを付加し、販売台数を最大化するプロモーション戦略を実施することに、最大限の力を注ぎます。

質問やクレームや要望を受け付ける、カスタマーサポートも設置しますが、「商売は、モノが売れれば終わり」なので、あくまでも最低限のことしか実施しないのが、普通でした。

ですが、2000年代のアメリカのITバブルやリーマンショックを生き抜いた企業経営者は、この「モノを売って終わり」という売り切り型のビジネスモデルに限界を感じ、辿り着いたのが

商売は、モノを買っていただいてからがスタート

と捉える、カスタマーサクセスという考え方でした。

あらゆる市場の環境変化を乗り越え、既存顧客から圧倒的な指示を集め、業界を代表するようなブランドとなる企業は間違いなく、このカスタマーサクセスの考え方に基づいて、事業を組み立てています。

2.カスタマーサクセスにコミットしている企業の成功事例

例えば、バーミキュラなんかがそうですね。

バーミキュラは、2010年に販売が開始されてから、販売台数が50万台を突破した、大ヒットの鍋を主力商品とする、キッチンアイテムブランドです。

今は鍋以外に、炊飯器、フライパン、その他キッチンアイテムなども販売してます。

どれも非常に売れている製品ばかりです。

なぜ、バーミキュラはここまで人気となったのか?

人気の秘密は、まず、鍋そのものの商品力の高さにあります。

バーミキュラは、ステンレス製の鍋とホーロー加工した鋳物の鍋の2種類の鍋の良いところを掛け合わせて作られた鍋です。

バーミキュラが世に出る前に世界一と称されていた鍋は「ステンレス製の鍋」でした。

なぜかというと、ステンレス製の鍋は気密性が高く、無水調理ができるからです。

普通、鍋を使って料理する場合は、水などを入れて調理することになりますが、それだとどうしても食材が持つ本来の味が薄まってしまいます。

ですが、ステンレス製の鍋だと、鍋に水などの水分を入れなくても、野菜などの食材に含まれる水分を引き出して調理できるんですね。

また、気密性が高いので、旨味成分や栄養素も水蒸気として逃さずに、調理することができます。

これがステンレス製の鍋の強みであります。

ただし、旨味を引き出すという点では、食材への「熱伝導」が重要になるので、ホーロー加工された鋳物の鍋に軍配が上がります。

鋳物という金属の最大の特徴は保温性にありますが、そこにガラス成分が組み込まれることで(ホーロー加工)、遠赤外線効果が発生し、食材を芯から温めることができます。

ただし、鋳物には弱点があって、形が変わりやすく、気密性を中々保てないことです。

だから、ステンレス製の鍋のように、無水調理はできないのが普通でした。

バーミキュラは、精度の高い技術を使って、ホーロー加工された鋳物の鍋に気密性を加えた鋳物の鍋なのです。

画像出典:http://hiroba-magazine.com/

だから、ステンレス製の鍋のように無水調理ができて、かつ、食材を芯から温めて、旨味を引き出すことのできるのです。

ホーロー加工された鋳物の鍋という商品は世の中にありましたが、無水調理までできるほど気密性の高い鍋は、世の中にはありませんでした。

技術的に難易度が高すぎて、業界では無理だとされていましたが、それに果敢に挑戦し、実現させました。

この挑戦を成功させるまでに失敗作はなんと1万個以上、月日も合計で3年以上かかったそうです。

この時点で、バーミキュラは、市場で唯一無二の価値を持つ商品となりました。

ただ、バーミキュラが特異なのは、これで終わらなかったことです。

「商売は、モノを売って終わり」と考えるのであれば、後は、宣伝を頑張って、認知を拡大し、いかに販売台数を広げるのかに注力したり、より売れる新しいキッチンアイテムの開発に取り組むことに最大限の力を注ぎます。

バーミキュラはもっと先を見据えており、「商売は、ものを買っていただいてからがスタートだ」と捉えていました

実際に、バーミキュラを製造した愛知ドビーの土方社長は

バーミキュラという鍋を買ってもらうことがうちの最終ゴールではない。バーミキュラを使って料理を楽しんでもらうことが最終ゴール

と語っています。

バーミキュラが目指すのは

暮らしを変える鍋

です。

バーミキュラを使うことで、「息子がブロッコリーを食べた」「調味料を使わなくなった」「外食しなくなくなった」「誰かといっしょにご飯を食べたくなる」という暮らしを実現するために、購入後のサポートをしっかりと行います。

その取り組みの一つが、既存顧客専用のコールセンターの設置です。

その専用のコールセンターでは、バーミキュラーの購入者から、使い方やレシピの相談が舞い込み、それに答えます。

例えば、そのコールセンターには

生後5~6ヶ月の子どもの離乳食をバーミキュラを使って作りたいんですが、どんなレシピが考えられますか?

という質問が来たりします。

そのコールセンターには、専属のシェフが常駐しているので、レシピの質問がくれば、実際にバーミキュラで調理し、味を確認し、お客さんに回答までします。

実際に、「暮らしが変わる」という顧客の成功体験まで最後まで届けるのです。

ここまでやっている、企業は本当に稀有だと思いますが、だからこそ、多くの人から長く支持されるのです。

これがカスタマーサクセスにコミットしている、企業の在り方です。

顧客が本質的に求めているのは、モノではなく、モノを購入することで得られる成功体験です。

この場合で言うなら、高機能の鍋が欲しいのではなくて、その鍋を使うことによって、「野菜が苦手な子どもが野菜を食べるようになった」「毎日のごはんが美味しくなり、家族が喜んでくれた」というような体験を求めているのです。

これが「顧客にモノを届けるのではなく、成功を届ける」というカスタマーサクセスの考え方です。

これが欧米では、企業が生き残っていくために、重要な考え方として近年、広がっているわけですが、実はこの考え方は、元々、日本の企業にはありました。

まず、日本は世界でダントツ第一位の長寿企業国です

日本で創業100年を超える、いわゆる「百年企業」の数は約3万3千社あり、第2位のアメリカ(1万9000社)、3位スウェーデン(1万3000社)、第4位のドイツ(4900社)です。

日本にはなぜか、様々な時代の荒波を乗り越えて、繁栄している企業がたくさんある訳ですが、やはり、これもカスタマーサクセス的な発想で事業を組み立てているからです。

例えば、日本で数百年続く企業を数多く作ってきた、近江商人には、代々引き継がれている商売における家訓があり、その中の一つには

お世辞を言って商品を売りさばいてしまえば、それでいい、その後のことは知らない」というのでは商売は繁盛しない。売った後に、いかに面倒を見るかが大切である。面倒見のいい商人には、常連客が集まるものである。

というようなモノが残されたりしています。

これはまさに、カスタマーサクセスの精神を要約しています。

3.高まるカスタマーサクセスの重要性

今後ますます、海外だけでなく、日本においても、この精神に根ざした上で、事業を組み立てていかないと、繁栄発展はできません。

大きく分けて、理由は3つあります。

3-1.市場の成熟化

まず、一番大きな理由は、市場の成熟化にあります。

市場の成熟化とは、市場に参入するプレイヤーが増加し、業界全体として、生き残りをかけた競争が加速し、商品・サービスと宣伝広告の品質自体が底上げされることを意味します。

今や、どこも良い品質のサービスをお値打ち価格で提供し、宣伝広告も上手なのが当たり前です。

市場が成熟化してしまえば、商品・サービスの基本的な品質と宣伝広告を向上させるだけでは、差別化が難しくなってくるということです。

では、どこで差別化ができるのかというと、やはりそれはカスタマーサクセスの部分になります。

つまり、「買ってもらった後の体験がどうだったか」という部分まで、デザインすることが重要になってくるのです。

例えば、Mr. CHEESECAKEという、販売開始の瞬間に注文が殺到し、毎回5分も経たずに売り切れてしまう、チーズケーキをオンライン販売しているブランドがあります。

画像出典:https://macaro-ni.jp/89033

美味しさで有名なチーズケーキのお店は世の中に数多くありますが、Mr. CHEESECAKEは、その中でも群を抜いて、熱狂的なファンを抱えています。

じゃあ、なぜ、これほどまでに熱狂的なファンを抱えているのか?

それは、Mr. CHEESECAKEというブランドが

配送後、チーズケーキを通じて、お客様にどういう「時間」を提供できるか?

という部分にこだわり、チーズケーキを開発しているからです。

Mr. CHEESECAKEは、フレンチ業界で13年のキャリアを持ち、名誉ある賞も獲得してきた、腕利きのシェフ田村浩二さんが立ち上げました。

画像出典:https://parismag.jp/life/20761

Mr. CHEESECAKEは、提供しているチーズケーキの食べ方として、冷凍・半解凍・全解凍の3つのスタイルを提案しています。

Mr. CHEESECAKEのチーズケーキは、冷凍・半解凍・全解凍によって、味が変化するので、自然と、自宅で、チーズケーキと向き合い、楽しむ時間が生まれるのです。

また、提供しているチーズケーキは、一人用ではなく、二人以上で楽しめるサイズになっているのも、「買ってもらった後の体験」のデザインだと思います。

こうした設計をしているチーズケーキは非常に珍しいです。

普通は、食べ方の提案などせず、完成形を単品スタイルで提供します。

ですが、それだと、他のケーキ店、コンビニスイーツなどとも競合するなと感じたため、このスタイルを考案したそうです。

また、それだけでなく、公式のInstagramでは、おすすめの食べ方、チーズケーキに合うドリンク、保管方法、切り分け方などをブランドとして発信し、チーズケーキを楽しむ時間を提供しています。

こういう発想で、商品・サービスを設計していけば、成熟化した市場においても、十分な差別化ができるということです。

3-2.カスタマーイズキングの時代の到来

そして、2つ目は、「カスタマーイズキング」の時代になったということです。

インターネットの普及が、商品・サービスの購入者にもたらしたものは「情報収集力」と「発信力」です。

噛み砕いていうなら、インターネットの普及によって、購入前に「購入後の本当の評価」がバレるようになりました。

インターネットによって、競合他社の比較も容易になりましたし、実際にその商品・サービスを購入したという人のリアルな口コミも、SNSやポータルサイトを通じて、暴露されています。

どれだけ宣伝広告で、「いかにこの商品・サービスが素晴らしいのか」を謳っていても、実際に利用した人から

絶対に買わない方がいい

という口コミをされてしまえば、宣伝効果も激減します。

ですが、逆を言えば、商品を買ってもらった後に、「本当にこの商品・サービスを買って良かった」という好意的な口コミをしてもらえるのであれば、それが大きな差別化になるので、カスタマーサクセス的な発想はより重要になるということです。

3-3.シェアリングエコノミー・サブスクリプションモデルの普及

そして、3つ目の理由が、世の中全体として、シェアリングエコノミー、サブスクリプションモデルがどんどん普及していってるからです。

現在は、2022年ですが、10年前と今とを比べて、明らかに、シェアリングエコノミー、サブスクリプションモデルは普及していってます。

例えば、ファッションなんかそうですよね。

昔は、洋服もカバンも「購入」しないと、利用できなかったわけですが、それが今や、月額数千円で、借り放題なんてサービスも登場しています。

家具もそうですね。

昔は「購入」しないと、利用できなかったわけですが、月々数千円でレンタルができるサブスクサービスも登場しています。

「所有」から「シェア」という概念が広がってきています。

サブスクモデルを提供している企業が一番気にすることは「継続率」です。

入会してもらったのに、一ヶ月で辞められては、サービスが継続できないからです。

継続率を上げるために重要なのも、やっぱり「カスタマーサクセス」です。

購入してもらった後に、購入前に顧客がイメージしていた成功体験を叶えていくことが非常に重要になります。

そういう発想で、事業を組み立てる企業が、世の中全体として増えていくため、ますます「売れればなんでもいい」という企業は取り残されていくでしょう。

では、最後に、「カスタマーサクセス」を自分の事業に取り入れる方法について解説をしていきます。

カスタマーサクセスを自身の事業に取り入れるために重要になってくるのは

この商品・サービスを利用することで、得ることができる顧客の成功体験

を、それぞれの商品・サービスごとに明確に設定することです。

つまり、「どんな味の、どんな素材の、どんな食感のチーズケーキを作るのか」を考えるのではなくて、「チーズケーキを通じて、どんな時間を過ごしてもらうのか」を考え、商品・サービスに反映するということです。

例えば、2014年に、Amazonは、音声認識AIアシスタント「アレクサ」を搭載したスマートスピーカー「アマゾンエコー」の販売をスタートしました。

画像出典:https://www.yusulog.com/entry/20200514/1589407200/

アマゾンエコーは、要するに、スイッチにも、スマホにも一切触れず、声による音声操作のみで、音楽が楽しめる、非常にユニークな機能を持つスピーカーです。

当初は、アマゾンプライムにある、音楽しか聞けませんでしたが、スポティファイ、パンドラ(Pandora)、シリウス(Sirius)などの、競合の音楽サービスにも繋がるような機能を搭載させました。

この決断が非常に重要です。

顧客が欲しいのは

スイッチにも、スマホにも一切触れず、声による音声操作のみで、音楽が楽しめる生活

であって、「声による音声操作という機能だけがユニークで、アマゾンプライムの音楽しか聞けない、不便なスピーカー」ではないからです。

こういった発想で、それぞれの商品・サービスで、カスタマーサクセスを設定し、商品・サービスに落とし込んでいきましょう。

最後に

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。

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