中里の憩いの場でコーヒーを飲んでゆったり「カフェ&バル田家」佐藤るり子さん
中里の憩いの場でコーヒーを飲んでゆったり「カフェ&バル田家」佐藤るり子さん
中里駅を降りて派立通りをまっすぐ10分程歩き、郵便局を左に曲がり、その先の坂を少し上がったところに田家はあります。
「田家」・代表の佐藤るり子さんは、長年東京で教員として勤めた後、生まれ育った地元中里にUターンし、カフェ&バル田家を始めました。今回のインタビューでは店主の佐藤るり子さんにお話を伺いました。
介護をしながら、カフェを開く
向町という場所で生まれて、中学校1年生の時にここに引っ越しました。少し高台で見晴らしが良かったです。高校3年間は五所川原に通って、18歳の時に大学に行くために弘前に移りました。
その後は東京で教員生活を始めました。
東京では37年間過ごしたので、41年ぶりに中里に帰ってきたことになりますね。
――なぜ東京で働くことになったのですか?
当時青森県の教員採用枠が少なくて、東京都の採用人数は比較的多かった。それで東京都で受験したところ合格できたので、そちらに行きました。
そこからは37年間で都内の特別支援学校を5校ほど回りました。
その間、父が先に亡くなって、大病をした母も認知症の症状が進んで来て。
本来の定年より1年早く退職して中里に戻ってきました。
「定年後ゆくゆくはこっちに戻ってきたい」と思っていたので、結果的にそれが前倒しになる形になりました。
――どうして今までの仕事とは違う飲食店を開こうと思ったんですか?
教員の仕事はやりがいがありましたが、自分なりに仕事はけじめをつけてきました。それでも、やっぱり色んな人と接する機会を今後も持っていきたいなという希望があって。
実家で母を見守りながらもなにか仕事をしよう、ということを考えたときに、家の目の前にお店を建てようと思いました。
これまで時々(お盆やお正月に)帰省しても、近くにコーヒーを飲んだりしながらゆっくりくつろげる場所が少ないなと思っていたので、そういう場所が出来たらいいなと思いました。
なかなか多忙だった教員生活の中で、家族や同僚や友人たちとおいしいお店で食事したり、お酒を飲んだり、のんびりお喋りしたり、という時間はとても大事なものだったので、そういう場所を作りたいなと。
今は東京暮らしの中で味わったお料理を思い出して作ってみたり、飲んでみて好きだったコーヒーやお酒などを取り入れたりしています。
ランチを食べてからコーヒーを飲んでゆっくりしたい、というかたが来てくださるのは私としてはとても嬉しいですね。
バル営業でお酒も出しているので、色々な方に来てほしいです。
――どのようなお客さんが来られますか?
開店当時はチラシを1軒1件配ったりして、物珍しさもあるかもしれませんが、地元の方々がたくさん来てくださいましたね。懐かしい友人とか同級生とか、私よりも父や母と交流があった方々もお店に来てくれて、とても嬉しかったです。
最近ではお店を気に入ってくれた方が常連さんになってくれたりして、ありがたい気持ちです。
新聞などで紹介していただいたこともあってか、近くの方だけでなく、外ヶ浜や蟹田、弘前、十和田、野辺地とか、色んな場所からお客さんが来てくれました。
ここで日本酒を飲みたい、といって青森市からわざわざ津軽鉄道にのって来てくれた方もいて、お酒の話が弾みました。
そういう交流が本当に嬉しいですね。
――中里に移住して良かったと思うことはありますか?
41年ぶりなので、戸惑うことも多かったですが、帰って来てから中里の良さを再発見できたな、と思いますね。
桜の時期に娘と一緒に中里城址まで行ってみたんですけど、こんなに綺麗だったのかと驚きました。一帯の桜が満開で。
弘前公園や芦野公園の桜はもちろん綺麗なんですけど、でも中里城址の桜も色んな色が咲いていて綺麗なんですよ。感動しました。
そこから見える中里の町並みも素敵だなと思いましたね。
家の近くにこんなに良い景色があるなんて、思ったことがなかった。
でも、せっかくだから桜の時期以外でもアジサイやツツジとか色んな植物が植えてあったら四季それぞれ楽しいかもしれないですよね。
観光の人がわかりやすいような看板とかがあってもいいのかな。
たぶん、身近なところにまだまだ見所があると思うので、再発見したいですね。
私が子供のころは、駅前の派立も本屋さんや映画館やスーパーマーケットや食堂があって、あの商店街はもっと賑やかでした。近所のお客さんともそんなお話をたまにしますね。
これから大きな温泉施設が出来るなら、派立商店街も盛り上がってくれればいいですよね。
観光客のかたも津鉄を利用されて来るので、飾りつけがあったりとか、歩いているだけでも楽しい通りになればいいですね。
あと、中里の良いところと言えば、野菜や果物が新鮮でおいしいところですね。
お店で使っているトマトソースは近くの農家さんのプチトマトで作っているんですけど、本当においしいです。お客さんにも好評ですね。
新鮮なズッキーニなどがたくさん使えるのは幸せです。
いただいたゴールデンベリーをお酒に漬けたり、カシスでジャムをつくったり、山椒のつくだ煮をつくったりしている時は、今までの教員生活には無い充実感がありますね。
あとは、高校の同級生がりんごを育てていて、その同級生がつくった赤いリンゴジュースもお店で売っています。ラベルもまた別の同級生が描いてくれました。
そういう自然豊かなところは良いですよね。
いろんな人が来られるカフェに
――これから「田家」をどのように発展させたいと思っていますか?
開業から2年以上経って、開店直後にコロナの流行があったので、正直なかなか大変でした。
実家でお店を始めて、お客さんがどれくらい来てくれるのか、地元の人にはどう受け止めてもらえるのか、分からないことばかりだった中で、世界的なコロナ禍があって。
色んな情勢が変わった中で始めたお店なので、先のことが予想しづらいなとは、正直思います。
でも、もちろん、いらっしゃってくれる方をただ待っているだけでないので、色んなことを模索して計画しています。
フラワーアレンジメントの会やそば打ちの会や、趣味の方々の集まりなどに何度か利用していただいているので、そういった機会も増えるといいなと思います。
ギャラリースペースとして作品を飾らせていただいたり、お店でフリーマーケットをやったり、ミニ音楽会とかも出来たら素敵ですよね。
やりたいことはたくさんあります。
あとは、長年特別支援学校で教員をやっていたので、教育や子育てについてとか、介護については私も母のことで悩むことが多いですけど、そういう情報交換が出来る場所にして行けたらと思っています。
十分なバリアフリーになっているとは言えないんですけど、お店の入り口やトイレは車いすやベビーカーが通れる様にしてもらっています。
色んな方が居心地の良いお店にしたい。老若男女様々な方が来てくれて、ゆっくりくつろいでもらえるようなお店にして行きたいですね。
Cafe&Bal 田家 情報
営業時間
カフェ 11:00~17:00(金土日15:00まで)
ランチ 11:30~14:00
バル 17:00~21:00(金土日のみ)
定休日は毎週水曜と第2・4・5木曜日。
場所: 〒037-0305 青森県北津軽郡中泊町中里亀山265-1
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