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「自分らしさ」の限界

「自分らしさ」という言葉はこの十数年で急速に普及し、市民権を得た言葉
のように感じます。

約20年前にコーチングを学び始めたころ、一緒に学んでいた同窓生の方から
言われた一言があります。

それは、
「自分らしくっていうけど、自分らしくなんて生きてたら周りから受け入れ
られないよね。それってどういう風に生きていくってことなんだろう」
という言葉です。

その言葉は、私の中に重く響き、その後も深い問いとして心に刻み込まれま
した。

「自分らしくいていいんじゃない?」

という言葉は、耳障りが良い分、お互いを認め合っているようにも感じます
が、実際にはお互いに暗黙の不可侵条約を結ぶかのように、踏み込んだ関り
を放棄しているようにも思えます。

利害関係の乏しい友人関係であれば、それは許されるかもしれませんが、家
庭や職場など利害関係者としての関わりが深ければ深いほど、「自分らしさ」を盾にやることをやってもらえないのは困るということは十分に起こりえます。


周りの目を気にして、本来の自分からかけ離れた生き方をしていた状態へのアンチテーゼとして「自分らしさ」という言葉が市民権を得てきたのだとしたら、何かが欠けているような気がしてなりません。


「自分らしく生きる」ことの本質が、
「周りの目を気にして本来の自分を売り飛ばす」のでもなく、
「周りに迷惑を押し付けて、自分を優先する」のでもないのだとしたら、
それはいったいどんな姿をしているのでしょうか?

そして、自分らしさを尊重しあうという言葉を隠れ蓑にして、お互いに踏み込んだ関わり合いをしないことで、問題を先送りにしてしまうのではなく、自分らしさを大切にしつつもしっかりと向き合うとはいったいどういうことなのでしょうか?

慢性的な人手不足によって、「辞めさせないため」に優しさと甘さを履き違えたような関わり合いが組織においても充満しつつある中、「関わり合い」そのものの次元を引き上げることが問われているような気がしてなりません。


あなたにとって、言葉の限界を超えた先にある、本質的な「自分らしさ」とは何ですか? 

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