繰り返される人類の愚行・やらかしの世界史 【第1章】19世紀アメリカ ②

繰り返される人類の愚行・やらかしの世界史

【第1章】19世紀アメリカ

②(ゴールドラッシュ)
19世紀アメリカの100年間を、ちょうどその真ん中の頃に起こったゴールドラッシュの前か後かで理解すると全体の流れがイメージしやすくなる。

・1848.1 .24 金鉱発見
・1848.2.2 グアダルーペ・イダルゴ条約(米墨戦争終結)
・1849 ゴールドラッシュ本格化(フォーティーナイナーズ)
・1850.9.9 カリフォルニア州成立

金鉱が発見されたとき、まだアメリカ西海岸はメキシコとの戦争(米墨戦争)中で、占領地ではあったが、合衆国の領土としては確定していなかった。その直後、戦争終結の グアダルーペ・イダルゴ条約が締結され、領土が確定する。もし、メキシコ実効支配中に金鉱が発見されていれば、世界の歴史はどうなっていたのだろうか。

それはともかく、アメリカ合衆国の領土はこの時点で太平洋側に到達した。つまり、19世紀前半とは、アメリカという国が西へ西へと拡大していった歴史ということになる。東海岸13州が戦ったアメリカ独立戦争終結が1783年であるので、そこからの起点として、70年も経っていないということだ。

その地は無人であった訳ではない。独自の文化と文明を持ち、長い歴史を持つアメリカインディアンが多数住んでいた土地である。しかし、合衆国は彼らの全てを破壊した。

よく「平和を愛する善良なインディアン」的な言い方をされることがあるが、そういった視点は正しいとは言えない。勿論、平和的というか穏健的なインディアン部族もあったであろうが、例えば、イロコイ連邦諸部族などはかなりの戦闘部族であった。彼らは白人と取引して武器を得、それを使って対立部族との戦争に勝利したりしている(別の話だが、ハワイのカメハメハも白人から武器を得てハワイ統一に成功している)。

現在の合衆国本土は全て、インディアン諸部族が元々住んでいた土地である。インディアンは白人に虐殺され、土地を奪われた。これが事実。その罪は、インディアンが善良かどうかとは関係無い。

フロンティアという言葉があるが、それは合衆国領土が西海岸まで到達してもまだ残っていた。フロンティアライン消滅宣言のようなものは1890年に国勢調査局長により行われた。合衆国にとってのフロンティアとはインディアン掃討最前線というのと同義であった。
1890年スー族に対するウンデッド・ニーの虐殺によって、インディアンの掃討が完了し、フロンティアは消滅したと白人たちは認識した。

なんとも怖ろしい話だが、合衆国の白人たちにとっては輝かしい発展拡大の歴史なのである。

ともかく、ゴールドラッシュにより一攫千金を夢見た者たちが西海岸に殺到して街が発展、東海岸と西海岸をつなぐ大陸横断鉄道が作られ、合衆国全体が躍動していくのが19世紀後半ということになる。

ここからは余談であるが、イロコイ連邦とスー族の例を少し出したが、ポカホンタスで有名なアメリカ大陸植民初期のポーハタン族にしても、インディアンたちは独自に結構高度な社会を形成していた。

我々は原住民社会を原始的だと決めつけてしまいがちだが、何を持って優秀というのかは、もう一度考えなおしたほうがいいかもしれない。いや、インディアン社会が素晴らしいというつもりは無い。

ただし、白人たちがインディアンを理解しようとせずに、自分たちの価値観や習慣を押し付けて、自分たちに都合が良いようにしてきた、ということは事実であり、その罪は大きい。

インディアン社会における酋長は単なる調停者であり支配者でもなければリーダーでも無い。白人たちはそこを最初から最後まで理解しなかったか、もしくはわざと悪用した。

つまり、権限の無い酋長と約束して、インディアンたちはそれに従う価値観など持ち合わせていないのに、従わない者を力づくで従わせるか虐殺した。

それでもイロコイ連邦の人々は開明的で、白人と交流し、文明文化を取り入れ、強かな生きようとした。

スー族などは追い詰められ、あまりの絶望ぶりに信仰の中に活路を見出そうとしたが、それも白人的価値観からは攻撃対象とされてしまった。

ポーハタン、イロコイ、スー、などはそれぞれ時期も地域も違うエピソードだが、興味ある人は調べてみると良いだろう。

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