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「悪は存在しない」

第80回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞した、
濱口竜介監督の映画を観て来た。

私は、勉強不足でこの監督の事を知らなかったのだが、知人が、「ぜひとも見ておくべきだ」というので、上映最終日に慌てて見に行ってきた。

ラスト30分が素晴らしい!という事だったのだが、
正直、この30分が分からなかった。

観終わってもよく分からず、誰かに聞いてみたいくらいだった。

というのも、このラスト、コマを少し、つまんだだろ?と思ってしまったのだ。
だから、分かりにくいのだと思った。
説明するところを、わざと、時間と状況をつまんだなあ?と思った
(これはもう絶対確信犯でしょ?)。

その後、続けて観た「落下の解剖学」の途中で、
「ああ・・・そうか、そういうことか・・・!」とようやく分かったくらいだ・・・。

ちなみに、この「落下の解剖学」も、カンヌでパルムドール、米アカデミー賞で脚本賞を獲得したという事で、

ヴェネチア、カンヌ、ベルリン・・・と、これらの映画祭で賞を取る作品というのは、難解さが売りなのか・・・?と思ってしまった。

「どうだい、あっしの観界観がわかるかい?え?
そんじゃそこらの映画じゃあないんだぜ!」

と言われているような気がした。
(ついてこれない自分は、馬鹿なような気がした・・・)

なんとも良く分からなくて、どちらもモヤモヤ感が残ってしまったのだが・・・。

けれど、まあ、今思うと、この映画のテーマは、
このタイトル通りなんだなぁと思った。

つまりは、この世に「悪は存在しない」のだ。

そう言い切りたかったのだ、監督は、と思った。

自然との共生、その中で暮らす動物との共生、
ということを考えれば、互いに傷つけ合って
生きるには、ふさわしくないのだ、この
「ユートピア」では、と思った。

その場面を部外者に見せる訳にはいかなくて、
主人公の父親は、思わず都会モンの首を絞めて、
失神させるが、それは後に続く、
人間と動物との闘いや人の手が入る事で、
自然が壊されることを危惧しての事だろう。

しかし、首を絞められた方としては、最後のセリフ、
「くそっ!なんだよ」
「一体、なんなんだよッ!」
ということに他ならなないだろう。
そして、この映画観る者全員が、このセリフを感じたことだろう。

「くそっ、一体、何なんだよ、この映画は」と。
それほど、分かりにくかったです、はい。(^^;)

結局、自分の子どもが怪我をしても、
それでも、自然や動物との共生の方が
大切なんだということだったのだろう。

今、全国で熊が出没して、ニュースをにぎわせている。
あれなども、熊の立場で語る人と、人間の立場で語る人で、
言っている意味が全く違ってくる。

つまりは、人は自分の信念によって、守るべきものや
行動すべきことが違ってくるのだ。

おそらく主人公の父親は、鹿たちが「害獣」として処理される
ことも良しとは思っていなかったはずだ。
自分達人間の方が、彼らに害を及ぼしていると思っていた事だろう。

だからこそ、ラストのあの結末になるのだろうと思った。

あれはもちろん、一つの理想の形だ。

けれど、やはり人と動物たちの間には、立ち入ってはいけない
領域というものがあるのではないかと思う。

だとしたら、ここからの私たちの課題は、いかに、彼らとの境界線を
守るかに尽きるだろう。

熊たちが人里に降りてこないように、どこかで柵を設けるとか、
人と野生動物の間には、どこかで区切りをつけないといけないのかもしれない。そして、私たち人間の方も、やたらと自然に入らないような配慮が必要なのかも。

それでないと、私たちは、互いの生活を守れない。

自然は自然、人間が立ち入る事のできる領域ではなかったのかもしれない、

と、そんな事を考えた。

(この解釈が合っているかどうかは分かりませんが・・・)


まあ、映画は好きに見ればいいのですから、それでいっかと思います。
でも、もっと分かりやすく語って欲しかったなぁ~・・・。(;´∀`)


☆それでは今日もよい一日を。