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株価の構成要素と影響要因

はじめに…


企業の株価形成に与える要因は様々であり、株価がどのようなロジックで形成されていて、株価はどういった要因に影響を受けているのか?を記載します。

なお、今回記事は、上場後に株価がどういった要因で形成されているのかどうかを主眼に置いています。

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株価の算定方法

⑴ 株価の算出方法および参照指標

株価の算出方法は、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチなど様々な算出方法があるが、上場企業の株価の場合、通常はマーケットアプローチで算出する。

マーケットアプローチで、用いられているのが、『発行体と類似する上場企業を基にする株価算定方法』であるマルチプル法である。マルチプル法は、上場株の株価が割安か、割高かを判定する手法として活用されており、通常はPERが用いられているケースが多い(PSRに関しては以下の「余談、PSRについて」をご参照)
なお、PERとは、Price Earnings Ratioの略で、株価が1株当たり純利益の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度となる。


「余談、PSRについて」
昨年度までは米国の金融緩和を皮切りにカネ余りの状況であり、手前の利益よりも将来の売上や利益成長を見越して投資されていた。投資マネーの供給量が多く、余った投資マネーが更に投資を呼び込むというサイクルに陥った結果、赤字企業におけるバリュエーションを計る際は、PSR(Price Sales Ratioの略で、時価総額を年間売上で割って、算出される)の指標が使われるケースが増えてきた。

直近では、米国においてはインフレが顕在化し、FRBによる利上げや量的引き締めが行われおり、カネ余りの状況から引き締めの方向性になり、投資マネーが縮小している。これにより、投資家の株への投資意欲は減退傾向にあり、長期的視点からの売上や利益成長ではなく、目線が短期的になり手前の利益を求める傾向になっている。

以上から、PSRで見るための許容度が低くなっている。仮にPSRで見れたとしても、バリュエーションの圧縮により5倍程度まで下がってきている。昨年度まではバブルの状況であり、PSRも15倍~20倍で見れていたが…


⑵ 株価の算定方法

上述までは、株価算出にあたっての一般的な参照指標について記載した。それでは実際に株価を算出するにあたっての具体的な算定方法に移っていくこととする。

株価は、「株価が1株当たり純利益の何倍まで買われているかを示すPER」に「1株当たり純利益」を乗じて算出することになる。式を可視化すると以下の算式になる。

株価の算出式

株価がどういった影響で反応するかどうかを理解するにあたっては上記算出式は非常に大事になる。以降の議論にも影響するため、前提条件として認識して欲しい。

株価への影響要因

株価は、「①PER」と「②1株当たり純利益」の掛け算で算出され、主に2つの要素で計算される。ここでは、「①PER」と「②1株当たり純利益」の性質について記載したい。

⑴ PER

PERは、投資家の期待値やマーケット市況に大きく影響を受けて、上げ下げすることになる。マクロ的な要因とミクロ的な要因の複合的な要因に影響を受けるため、客観的な指標で計ることが難しい。しかしながら、出来る限り一般化するためにPERをミクロ要因(コントロール可能なもの)とマクロ要因(コントロール不可能なもの)に分解して説明したい。

まずミクロ要因について記載したい。ミクロ要因は、端的に言えば発行体への期待値であり、比較的コントロールがしやすい要因である。具体的に言うと、発行体の将来的な成長確度、直近の業績、ブランド価値などのファンダメンタルとなる。これらの要因は、発行体自身でアクションを取ることによりコントロールしやすい。

一方、マクロ要因は、直近のマーケット状況であり、コントロールが非常に難しい。仮に発行体として、ファンダメンタルをきちんと出していたとしてもマーケット状況が芳しくなければ、PERがつきにくいようにマクロ要因もPERに大きく影響を受ける。

⑵ 1株当たり当期純利益

1株当たり当期純利益はファクトの数値であるため、発行体としてはコントロールしやすい。

ただ、認識して欲しいのは、1株当たり当期純利益は、PERにも影響を与えることである。PERはミクロ要因である発行体の業績にも影響を受けるため、1株当たり当期純利益をきちんとだすということは、PERにも影響することに留意して欲しい。

なぜ当方がファンダメンタルが大事だと言っているのかは、発行体のファンダメンタルを示す1株当たり純利益は、PERにも影響を与えるためである。

⑶ 株価の影響要因のまとめ

文章で書くと分かりずらいため、株価の構成要素と影響要因を以下の図でまとめている。

なお下記の算出式にあるPERの分解はイメージで記載しており、一般的にネットで検索するような株価の算出式の分解とは異なる。ここでは、PERはミクロとマクロの両方の影響を受ける点を明示するために、分解して記載している。

株価の構成要素と影響要因

まとめ

企業業績などのファンダメンタルは株価に大きな影響を及ぼすことが分かったと思います。マーケット等のマクロ要因はコントロールが難しいため、まずは企業としてファンダメンタルを上げることが企業価値向上に繋がります。

当方がファンダメンタル投資を推奨しているのは、株価の影響要因を分解することで、ファンダメンタルがいかに企業価値に与えるかが分かるためです。

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