人は海

 先日、彼につれられて鳥取へ行ってきた。私はそこで、水平線をみた。島の無い、どこまでも続く青い海を初めて見たのだ。青いサテンを敷き広げたような海面、光が水面と空を分け隔てた。きらきらと光る美しい海だった。
 「海は広いな 大きな」と歌われている意味を真に理解した。確かに、海は広かった。どこまでも青かった、大きかった。どこまでも続いていた。
 海は広い。人類は狭い。海に生くる生物たちはこんなにも広い世界を知っているのかと思った。海は深いし、広い。人類が一代で解るような世界ではない。
 ああ、とても素敵だ。
 深いし広いのであれば、人の思考は海だ。どこまでも広がり、どこまでも深い。
 人は海だ。
 我々は海から始まり土へ還る。もしかしたら、本来であれば海に還るのが自然なのかもしれない。

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