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年末年始ずっと安静に過ごしていた【エッセイ】

年末に咳が出て、発熱。風邪薬を飲みながら自宅でじっとしていたが、年が明けて2日目くらいには風邪薬や解熱剤では熱が下がらなくなってきた。2階の個室に隔離されたまま寂しく寝る日が続き、ある疑念が頭に浮かぶ。

あれ?もしかしてインフルエンザかな?
予防注射も打ったはずなのになぁ。でも罹るときは罹るっていうししょうがないなぁ。世間が醸し出す正月のお祝いムードをしり目に休日診療所に駆け込んだ。

さて、診療所につくとそこは多くの人で溢れかえっていた。そのあまりの数に正直ドン引きした。
しかしまあ正月にあいてるのがここぐらいなので仕方ないとはいえ、これは賑わいすぎではないだろうか。

しまいにはあまりにも賑やかなので初詣はもうここでいいかと思い出した。みんなお金も収めてるし。

受付をすませ、まわりの病人の方々と妙な連帯感をかんじつつ、椅子でじっと待つ私。

診療の順番がまわって部屋に通されるとそこには薬師如来様がいらっしゃった。実際はお医者さんなのだが、神にもすがる思いで今までの諸症状を伝えた。そしてインフルエンザの検査もお願いした。

インフルエンザの検査は結構痛い。細長い棒を鼻の奥に突っ込んでグリグリするわけだからそりゃ痛いわけだが、原因不明の熱に浮かされ続けるよりはずっとましだ。いいぞ、許す。もっとガンガン突いてきてくれ。

10分後、検査結果を聞きにふたたび部屋に通された。

試験器を見ながら「インフルエンザではなさそうですね。」そう話していた先生だったが、しばらくお話ししている間にちょっとした変化があった。試験器にちょっとお印が浮かび上がってきたのだ。「え、ちょっとまって。出てきたね。薄いけど反応出たわ。」

「インフルエンザA型です。」

あのしつこい発熱はやはりインフルエンザだったか。ちょっとショックではあったがこれで正しい薬が処方されると思うと気が安らかになった。診療所に入る前は悲壮な顔をしていたと思うが、今ならきっと冗談も言えるはず。気持ち的にはそこまで回復していた。

で最後、タミフルでも渡されるのかなと思ったら、吸引式のお薬を手渡されて驚いた。これは目薬みたいな容器に粉が入っていてそれを勢いよく吸引するというものらしい。

吸引式の薬はこれが初めてだったので少し戸惑った。お薬の窓口で「今ここで吸ってください」と言われたのも私の動揺を割り増しさせた。

「こ、これは鼻から吸引するものでしょうか?」と訊ねると、
「いえ、口から吸引してください。」という答えが返ってきた。
これから粉を思いっきり吸い込まなければならないというのに笑いが込み上げてきてしょうがない。

しかし、私は薬剤師さんの目の前で粉薬を吸引する儀式を吹き出さずに見事やり遂げた。今年一番頑張ったと思う。まだ、新年あけて2日目だったけど、その時たしかに偉業の感触を味わった。

翌日びっくりするぐらい熱がさっと引いた。

もうすぐ復調するだろう。

#エッセイ #インフルエンザ

ここのコメントを目にしてくれてるってことは最後まで読んでくれたってことですよね、きっと。 とっても嬉しいし ありがたいことだなー