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華麗なる雑談は静かにもぐる #6[スピンオフ]【空白の商談へ】

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【本作は小説 "華麗なる雑談は静かにもぐる" のスピンオフ作品です。本編では描かれなかった第5話の直前にある筈の空白の商談にスポットライトを当てています。】

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【本編5話目のリンクは下記より読めます】

華麗なる雑談は静かにもぐる #5 【エピローグ】|仲 高宏 @naka3ws|note(ノート)https://note.mu/naka3ws/n/n9eccdd4b7493

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いつもと同じ道のりであったとしても誰かと一緒だとまるで違った道の様に感じられるのは何故なのだろう。

会社から地下鉄を乗り継ぐこと20分、目的駅の六番出口から南へ10分ほど歩くと目前に白いビルが現れる。大した距離でもないが日中だとそれだけで随分と汗ばむ。

佐原 治(おさむ)は提案書と見積のファイルを鞄にしのばせ、"モクレン商事"の事業部が入る11階建てのビルの前で一度立ち止まった。
隣には上司の青田課長がいて、濃紺のハンカチを首の裏に当て、汗をひと拭きしている。

急遽ではあったが佐原は青田課長に本日開催の商社との打合せに関して同席を願い出ていた。

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ここのコメントを目にしてくれてるってことは最後まで読んでくれたってことですよね、きっと。 とっても嬉しいし ありがたいことだなー