データで読む#3_コロナウイルスの致死率ってどんなもんか考える(3)
前回のつづきです。
前回までは
・日本の感染症致死率はコロナウイルスで言われている致死率より低い
・それは日本の医療環境が優れているからでは?
・日本は世界と比べて医師数が十分とは言えないが、病床は充実
・病床数と致死率にはどんな関係があるのだろう?
といった流れでみてきました。
今回は「病床数と致死率にはどんな関係があるのだろう?」について、実際のデータを見ていこうと思います。
【病床数と致死率の関係】
※世界銀行/Population, total 、WHO/THE GLOBAL HEALTH OBSERVATORY/Number of deaths, Hospital beds (per 10 000 population)より、筆者作成
https://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL
https://www.who.int/data/gho/data/indicators/indicator-details/GHO/number-of-deaths
https://www.who.int/data/gho/data/indicators/indicator-details/GHO/hospital-beds-(per-10-000-population)
左側が単純なプロットです。反比例に見えますが、対数化して確かめたものが右側のグラフです。わりときれいな関係性が出ましたね。
ここからざっくりと、10,000人当たりの病床数が1%増えれば、死亡率が1.5%逓減するということが読み取れます。
ということは日本で考えられるコロナウイルスでの致死率は、中国をベースに考えられた水準(3~4%)より低い?
ポイントは左側のプロットで、死亡率が急激に逓減するのは、病床数で30くらいまで、ということです。
前回の図に戻ると
【10,000人当たり病床数】
・日本の病床数(10,000人当たり):136.33
・中国の病床数(10,000人当たり):42.00
試しに左のグラフに、中国の水準で線を引いてみます
病床数42だとそれ以上病床数が増えても、急激に致死率が逓減するということはちょっと厳しそう。。。
ここまでまとめると、
・中国の病床数と日本の病床数の差は、致死率を大きく逓減させるとはいいにくい
・病床の充実をもって、日本では医療環境が充実しているから致死率は中国の水準(3%~4%)より低くなるはず、とは言いにくい
となります。
日本はきっと大丈夫、的な発想は持たないでおこう。。。
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