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【映画レビュー】AKIRA 4K版鑑賞 ソフト版との違いについて≪大友克洋監督作品≫

6月5日の金曜日

ついに、東京都内にある東宝シネマズの営業が再開されました。

シネコン以外のミニシアターはそれよりも早くに営業再開を発表してましたが、やっぱり大手シネコンが再開しないと元に戻ったという感覚がしなかった。

「何が上映されているのかな?」と、サイトを物色していると…

最新作に紛れて、リバイバル上映も興行されていて、そこにまさかの作品を発見したのです。

それが…

【- AKIRA - アキラ 】(4K 上映)

僕は、この大友克洋氏の「AKIRA」が大好き、もうめっちゃ好き。一番好きなアニメ映画、いや映画は何かと聞かれたら本作だと回答するぐらいです。

この作品を軽く説明するすると…、原作は日本の漫画界で多大な影響を与えた大友克洋氏の80年代にヤングマガジンで連載された傑作マンガ。作品以前に大友氏の存在自体が、漫画界において「大友以前・大友以後」という言葉を生むぐらい重要人物なのですが、そんな彼自身が連載を一時休載し、自らメガホンを取ってアニメ映画の監督をしたのが本作なのです。遡ること30年以上前、1988年7月16日に公開され、後に「ジャパニメーション」を象徴する作品の一つとして、世に知られることになる作品です。(過去に何回もハリウッド実写化の企画が出ているのだが、毎回流れる作品でもある)

2020年4月に新たに4Kで「Blu-Ray」、「4K ULTRA HD Blu-Ray」で発売されており、それに関連してリバイバル上映されていたようなのです。

AKIRA 4Kリマスター公式サイト

「これは……、ぜひ見てみたい!」と、思い立ったが吉日。通常版とIMAX版の二つがありましたが、せっかくなんでIMAXで鑑賞してきました。実はIMAXでの鑑賞は初めてだったのですが、とりあえず感想を書いていきたいと思います。


■まず、IMAXでの鑑賞について。

鑑賞すると音を聴くというよりは”体感”するに近いような臨場感がありました。本作は音楽にも力を入れているので、同じように音楽に定評がある映画にはお金払う価値がありますね。スクリーンも画面いっぱいに映写されていますので、通常の映画館のようなに視界に端っこにカーテンが入ってくるという小さなストレスをそもそも感じない。視界には映画の世界だけが広がっているという館内設計になっているのです。

4Kだからか、IMAX上映だったからかは断言しにくいですが、BGMの一つひとつの楽器の音がよかったですね、CDのデジタルリマスター版みたいな印象を受けました。冒頭の太鼓の「ドドン!」は特に迫力満点でした。


■作品のバージョンについて

アニメ映画「AKIRA」には「劇場公開版」と、現在DVDで鑑賞可能な「ソフト版」の2種類があります。両者の違いを挙げると、前者は一部のセル作業が未完成の状態で納品されてあるだけでなく、挿入されているBGMや効果音の有無、オープニングとエンドロールのクレジットが日本語表記であるなどの違いがあります。ちなみに、現在、「劇場公開版」を見るには、リバイバル上映を待つしかありません。僕はこれまで3回このバージョンを観ました(笑)

後者は、公開後に大友監督が自費で追加予算1億円をかけて未完成部分を完成させ、さらに上記の修正を加えたものです。なので、完成版が「ソフト版」といえます。

つまり、どちらを見るべきかと言われたら「ソフト版」でよいです。

今回の4Kで公開されたのは、後者をブラッシュアップしたものです。「ソフト版」とどこが変わったのか?

個人の感想の範囲でしかなく、間違っているかもしれませんか気づいた点をざっとご紹介していきます。


①光の表現がよりリアルになった

照明などの光の眩しさの表現がこれまでは、ただの白色に透過光(セルの範囲を超えて光が漏れているような表現を出す)だったが、それに加えて光の中の光源が表現されていた。

当時の技術では不可能だった光源と放射光を分け、光の緻密で微妙な表現が再現されており、現実にカメラで観たときにより近い処理がされていました。

アーミーの照明、街のネオン、金田のバイクのホイールのイナヅマの緑色、バイクのライト、爆発の炎…

じゃあ、部屋の中の電灯や街頭の全部の光がその処理をされているのかと聞かれたらそうではなく、要所にだけ上記の処理を施していました。この処理は、特に冒頭の名場面、クラウンと金田たちのバイクチェイスシーンのバイクの残光、ネオン街、街のレーザー光線などに抜群の効果を与えています。綺麗だった…。


②声優の溜息、息遣い、呟きなどの埋もれていた音が忠実に再現されていた

DVDだと何を言っているのか聞き取りにくい箇所、もしくはほとんど聞こえない箇所の音が明確に聞こえるようになっていました。それだけでなく、大佐のように声が低い人は、振動がビンビン伝わってきました。そう振動ですね、それが大きいですね(映画館だから当然かもしれませんが)

例えば、クラウンを追いかけるときの金田の「チックショー」がはっきり聞こえる…DVDだと聞き取りづらかったのですが、はっきり聞こえました。

ミヤコ様の念仏の台詞もはっきりわかりました。(「あ~れ~、お助け~」と言って滑りながら落ちていくシーンの前です)

効果音に紛れていたセリフが明確に聞こえるようになっただけでなく、あと、群衆の声も一つ一つがよく聞こえました。

さらに、床を歩く音こすれる音(ベビールームで予知夢をするキヨコに歩み寄るときの大佐です)もしっかり聞こえました。


③鉄雄の声にエコーが追加

これは、先述の二つとは異なり、修正というよりは新たな加えた処理なのかなと思っています。ベビールームでナンバーズと対戦する時と、最後のオリンピック会場の場面で大佐とカオリとの会話の時です。

DVDでは鉄雄にそもそもエコーなんかかかっていなかったと思うのですが、4Kにするにあたり新しい解釈?編集をしたのかなと推察しています。


④音のバランスが違っていた

AKIRAの代名詞ともいえるBGM。月曜から夜更かしでもおなじみのあのBGMです。オルガンと「ダーッ!ダーッ!」という合唱が融合したあの音です。

オルガンと合唱の音のバランスですが、オルガンの方が強く処理されていると感じるシーンがいくつかありました。もちろん、そのままのシーンもあります。

具体的には、春木屋で山形と甲斐が鉄雄と遭遇するとき、戦車と対決する鉄雄のシーンだったかな。そんな印象がありました。


⑤発色が良くなった

まぁ、当然でしょうが、特に歯や目の中の白がより綺麗になった気がしました。

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以上が、僕の気づいた点です。

もしかしたら、間違っているかもしれませんがご容赦くださいませ。上記の以外の違いがあれば、ぜひAKIRAフリークの方がいらっしゃったら教えても欲しいです。コメントに残していただければと思います。

本作は、東京都の映画館だと6月11日までの予定のようです。

大友克洋監督の傑作、SFパニックアクション「AKIRA」を知らない方にもぜひおすすめです。

※ヘッド画像は本映画の有名なワンシーンより引用させてもらいました

AKIRA 4Kリマスター公式サイト
東宝シネマズ AKIRA (IMAX) サイト
東宝シネマズ AKIRA (4K上映) サイト

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