見出し画像

会話の「はぐらかす」とは何か

 人と会話をするうえで自分にとって聞いてほしくない内容の質問は避けて通ることができません。

聞かれたくない質問をされたときにどのように言葉巧みにはぐらかすのか、どういった行動をとるのかということを自分なりに考察してみました。

(※ここではわかりやすくするために答えをはぐらかしたい質問の代表例として(好きな人がいる場合の)好きな人を聞かれたときを想定しています。内容が内容なので対象としているのは自分と同じ年代の若者です。)

話をはぐらかす時は大体の人が曖昧な言葉で返します。

 「好きな人って、いる?」と聞かれたときに返すありがちな答え方は「どうだろうね」「さぁ~」といったもので、まるで他人の話をしているかのような返事です。ただこの答え方は肯定でも否定でもなく、むしろ質問者の興味を誘ってしまう形になってしまいます。

 「いない」ときっぱり嘘をつけばそこで話が終わってしまいはぐらかす必要もなくなってくるわけですが、世の中には嘘がつけない人が存在するわけです。むしろ嘘がつける人にとって「はぐらかす」というスキルはほぼ必要がないわけですし、だれでも嘘が簡単につけるのなら苦労していません。

 話を戻しますが先ほどの答えだと「どうだろうねってことは好きな人がいるってことだよね?」と意地悪を言われます。
 それを回避するためにはどのような返し方が最善なのか?それを考えた結果、「残念ながら」「私はそう言ったかな?」があげられます。この二つは「いる」or「いない」のどちらの意味でも通じます。
 「残念ながら」だと「残念ながらいる」と「残念ながらいない」、どちらともとらえられます。
 「私はそう言ったかな?」だといるかいないかは質問した相手の読み取り方によって異なります。もちろんこの一言だけでは「え?つまりどっち?」と聞き返される可能性があるので違う方向へ話をもっていきます。まったく関係のない話をするのもよし、その場を立ち去るのもよし、さまざまにあると思います。

 次は状況によってどういった言動をすべきかを考えていきます。

 「仲の良い二人でそこから動けない場合」ならば「まぁ、好きな人がいたとしてもお前には言わない(笑)」や「ところでそういうお前は?」と冗談や質問で返すことではぐらかすことができます。

 とくに仲良くもない人に聞かれた場合は会話に困って話題になりそうなことを聞いておこうといった感じが多いので「どうだろ」と適当なことを言っておけば相手も察して掘り下げようとはしてきません。

 今までは同性に、そういった話の流れで聞かれたことを想定して話を展開してきましたが次は異性に聞かれた場合と突発的に聞かれたときのはぐらかしかたを考えていきたいと思います。
※異性に好きな人を聞かれた場合にはいろいろ妄想してしまうでしょうがそのあたりは省略。

 異性に聞かれた場合には特に同性に聞かれた時とさほど変わりませんが私が海外ドラマや実際の会話で聞いてこれはスタイリッシュで良いなと思ったものを紹介します。それは「私のこと好きなの?」「誰かが聞いて来いって言ったの?」です。もちろんどちらも冗談で言っていますが「私のこと好きなの?」だと質問をした異性からすると緊張や焦りを感じます、その異性が質問した相手に好意があるかどうかはともかく大体の人は黙ります。そして第三者からの伏兵ということも稀にあるので、そういう場合でも本心をつかれ黙ります。
 ただ、この返し方は本当にモテる人、あるいはその異性がとても仲の良い友達である場合に限られます。使いどころを間違えてしまえばただの自意識過剰な人になってしまうので要注意です。

 次は突発的に聞かれた場合を考えていきます。

 まったく違う話をしていた時にいきなり、あるいは黙っていたときにいきなりという場合。こういった場合は話題を提供するためか、相手に好きな人がいる場合で聞いていることがあるので「もしかして好きな人いるの?」と返すのが無難ではないかと思われます。

 また、なかなかはぐらかせてくれない人だと「なんではぐらかすの?」と聞かれることがあります、もしその質問をされた場合には「それを聞くの?」や「野暮だね」というのが最善だと私は思います。この発言によって「あなたに話すつもりはない」という決定的な意思表示になるからです。

 それを最初に言っておけばいいんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、それでははぐらかすことの意味がなくなり「じゃあ(好きな人が)いるんだね!」という方向に持っていかれてしまいます。あなたには話さないという決定的な否定を緩和し核に触れられないためのものがここでいう「はぐらす」という行為なのだと思います。

 話が変わって好きな人が聞かれた場合ではなく「今まで何人の人と付き合ったか?」や「学歴はどのくらいか?」などの具体的にこたえなければいけない質問の場合を考えてみます。いる/いない等のYES/NOでこたえられるものとは違い少しはぐらかし方が変わってきます。こういった質問をされた場合の最善の返事は「人並程度に」です。人並程度に、というのはとても都合のよい曖昧な言葉ですが実際人並程度がどれぐらいなのかは誰にもわからないわけです。

 これまではぐらかす言葉についていろいろとあげてきましたが、はぐらかすという行為は日本人の対立や摩擦から避けたいという思いから確立されていったのではないかと個人的に思っています。
 最近若者たちがよく使う「~みたいな」「~とか」という言葉も対人関係のトラブルから逃れたいと思いから使われているのではないでしょうか。

 はぐらかす事自体はあまりポジティブな意味で捉えられることはありませんが、これから社会にでていき、最低カーストにいる若者にとってはきってもきれないスキルなのかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?