生体弁AF患者にリバーロキサバン非劣勢
非弁膜症性心房細動に対するDOACはコンセンサスが得られています。
人工弁患者にもDOACを使えれば良いですよね。
この研究では生体僧帽弁置換術後の心房細動患者に対するリバーロキサバンによる抗凝固療法の有効性、安全性が評価されました。
方法
18歳以上の僧帽弁置換術後で心房細動または心房粗動を有し、抗凝固療法を受けている患者を対象としました。
リバーロキサバン(20 mg 1 日 1 回)群とワルファリン(PT-INR 2.0~3.0)群に無作為に割付けました。
PT-INRは少なくとも4週間ごとに測定し2.0~3.0になるよう調整されました。
主要アウトカムは12か月後の死亡、主要心血管イベント(脳卒中、一過性脳虚血発作、全身性塞栓症、心不全入院)、大出血とされました。
結果
2014年4月から2019年7月までに1005人がリバーロキサバン群(500人)、ワルファリン群(505人)に割り付けられました。
平均年齢は59.3歳で60.4%が女性でした。
60.7%が高血圧症、38.8%が心不全、15.4%が脳卒中や一過性脳虚血発作の病歴がありました。
95.6%が心房細動、4.3%が心房粗動を有していました。
CHADS-VAScは平均で2.6±1.4でした。
僧帽弁手術から無作為化までの時間は18.8%が3か月未満、16.8%が3か月以上1年未満、32.2%が1年以上5年未満、30.6%が5年以上でした。
抗凝固療法の中止を要した患者は、リバーロキサバン群 10.4%、ワルファリン群 7.1%でした。
ワルファリン群ではPT-INRは65.5%が治療域に保たれていました。
主要アウトカムはリバーロキサバン群で平均347.5日、ワルファリン群で平均340.1日で発生しました(RMST difference 7.4日;95%信頼区間[CI] -1.4~16.3;P for noninferiority<0.001, P for superiority=0.010)。
12か月後の心血管疾患または血栓塞栓性イベントによる死亡は、リバーロキサバン群 17例(3.4%)、ワルファリン群 26例(5.1%)に発生しました(ハザード比[HR] 0.65;95%CI 0.35~1.20)。
脳卒中の発生率は、リバーロキサバン群で0.6%,ワルファリン群で2.4%でした(HR 0.25;95%CI,0.07~0.88)。
出血イベントはリバーロキサバン群で7例(1.4%)、ワルファリン群で13例(2.6%)に発生しました(HR 0.54;95%CI 0.21~1.35)。
その他の重篤な有害事象は両群でほぼ同程度でした。
まとめ
心房細動と生体僧帽弁置換術を施行した患者において、死亡、主要心血管イベント、大出血の12ヵ月時点までの平均期間に関して,リバーロキサバンはワルファリンよりも劣っていませんでした。
Rivaroxaban in Patients with Atrial Fibrillation and a Bioprosthetic Mitral Valve. N Engl J Med. 2020 Nov 14.
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