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日本語の本の調達/どんな本が子どもに響くか?

日本語の本、どうやって調達する?

私が住んでいるロードアイランド州では、日本語で書かれた紙の本は入手しにくく、日本または国内(ニューヨークにはKinokuniyaやBook Offがあり、オンラインでの注文・取り寄せも可能)から取り寄せるとなると、コストもかかります。米国内でも日本語話者または日本語学習が盛んな地域(例えばオレゴン州)では、公立図書館にも日本語の本が借りられるそうで、本当にうらやましい限りです!

そのため、本の調達となると、日本に一時帰国した際にブックオフで大量に購入したり、近所に住む友人家族と貸し借りしあったり(ロードアイランド近隣に住む日本語継承語家庭を対象としたプレイグループにも、ご家族から寄付していただいた本のコレクションがあって重宝しています!)、デジタル版を借りたり、時には、えいや!と奮発してアマゾンJAPANで購入・取り寄せしたりして、やりくりしています。車で1時間弱のところにあるボストン日本語学校には図書館があるそうで、我が家は現在日本語学校に通っていませんが、もし通わせるなら図書館へのアクセスは大きな利点の一つかなと思っています。

なお、去年から国際交流基金が始めたデジタルライブラリーの貸出サービスは、日本語と英語両方の書籍があり、大人が読む分にはとても重宝していますが、子ども向けはまだあまり充実していない、という印象です。

Japan Foundation Los Angeles | JOIN JFUSA DIGITAL LIBRARY Libby www.jflalc.org

どんな本が子どもに響くか?

このように、日本の活字媒体は貴重であるため、とりあえず本が手に入れば何でも読んで試してみようというスタンスでいるのですが、当然ながら、子ども達に響いていると感じる本もあれば、そうでないものもあります。そして、私としても、一緒に読んでいて楽しく感じるものとそうでないものがあるのも事実。

では、どんな本が響くかと改めて考えてみた時、以下の点が挙げられるかと思います。

(1)子ども達の興味に合ったものか。
(2)子ども達の年齢に合ったものか。(言語・認知レベル)
(3)使われている絵や写真が好きか。 
(4)子ども達が自分の実生活とのつながりを見つけやすいか。

(1)は言わずもがなですが、(2)と(3)は割愛して、今回は特に(4)実生活とのつながりについて考えてみたいと思います。
 
当然のことながら、自分が身近に感じている物(例えば、「おにぎり」や「おもち」などの食べ物)が出てきたり、お話の設定や登場するキャラクターが自己投影しやすく共感できる内容だと、子ども達のお話への食いつきが違い、本をめぐる会話もより弾むように思います。

後者の例として、真っ先に思いつくのは、大切な友人が贈ってくれた「くまのこライオン プース」(にしむら もも作、小学館)という絵本。「プースのおとうさんはライオンです。おかあさんはくまです。プースはくまだけどライオンのこで、ライオンだけどクマのこなのです」から始まる、プースと家族の日常を描いた物語で、当然ながら家族間で食べ物の好み(お父さんとは肉が好き)や習慣(お母さんは冬眠する)の違いがあるのですが、時々けんかをしつつも(お父さんとお母さん、どちらも強いので、迫力満点!)愛情たっぷり楽しく暮らしている家族の様子が描かれています。子ども達のお気に入りの一冊ですが、言語も文化も違う日米国際結婚家庭に生まれ育った自分たちの姿に重ね合わせているのかもしれません。イラストもやさしく丁寧に描かれており、何度見返しても発見がある、そんな絵本だと思います。

補足ですが、お母さんクマが冬の間ずっと冬眠するため、その間、ライオンのお父さんが家事と育児を一手に引き受ける様子が描かれている場面があり、個人的にはその家族間での役割の流動性(できる時にできる人ができることをやる!)も、気に入っています。

また、最近読んだ「七つの石の物語」(小手鞠るい/作、サトウユカ/絵 講談社)という本は、日本とアメリカのダブルルーツを持つ、岩石が好きな男の子が、夏休みにアメリカから日本を訪ねてきた時に、母親の出身地で友だちを作るという内容。この登場人物と同様、岩石が好きで、ミドルネームを含めて名前が四つある長男は、自分との共通点をたくさん見出して、信じらない様子。とても嬉しそうでした。

このように、今後も、子ども達が実生活とのつながりを見つけられる作品とより多く出会っていってくれるよう願っています。

とはいえ、読書の醍醐味は、実生活で体験できないことが追体験できる点でもあると言えます。特に、日本を舞台とした本からは、日本の生活を垣間見ることができるため、言語のみならず文化習慣、更には道徳や価値観を学ぶきっかけにもなります。ただ、その場合にも、自分とは違った「異質なもの」として捉えるのではなく、少しでも自分の実生活や経験に近づけたり結びつけて考える癖をつけることで、読書体験をより深めていってほしいと考えています。そのために親や周りの大人ができるサポート、特に本をめぐる対話の進め方、具体的な問いかけの仕方については、また別途機会を見つけて書いてみたいと思っています。

なんらかご参考になれば幸いです!

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