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日本一時帰国の際のコミュニティへの参加方法について考える(2)

前回に引き続いて、日本に一時的に滞在する子どもたちにとって、現地の学校への聴講体験以外で、どのような「コミュニティへの参加」方法があるか、次男(当時4歳)の経験を例に、考えてみたいと思います。 ある日の夕方、放課後に学童としても機能している児童館に行った時のことでした。長男(当時6歳)が聴講していた小学校の真向かいにあり、長男の同級生も学童に参加していたので、私たちが訪れると、あっという間に長男の周りに人だかりができました。 最初は圧倒されていた次男ですが、児童館にあった

    • 日本一時帰国の際のコミュニティへの参加方法について考える(1)

      さて、前回に引き続き、昨夏の日本滞在からの気づきについて書いてみたいと思います。 ”言語の習得は、単に言葉を覚えることにとどまらず、文化習慣の理解とその言語が話されているコミュニティへの参加によって、より深まるものだと思わされた”と述べましたが、では具体的に、日本に一時的に滞在する子どもたちにとって、現地の学校への聴講体験以外で、どのような「コミュニティへの参加」方法があるでしょうか? 例えば、昨夏時点で5歳であった次男のケースで考えてみたいと思います。 次男は、生後1

      • 昨夏の日本での滞在を振り返って〜言語も文化、どちらの継承も大事

        久々の投稿となってしまいました! まずは、昨年の夏の日本滞在の振り返りから。 昨年は、色々な要因が重なって、嬉しいことに約1か月、子どもたちと日本に滞在することができました!1年ぶりの日本滞在であったため、楽しい思い出も、色々考えさせられることも山のようにあったのですが、継承日本語の育成という観点から改めて感じたのは「言語はもちろん、文化の様々な側面に触れておくことも大事」ということでした。 長男(6歳)は、初めて日本の小学校で聴講体験をさせていただきました。1週間弱と

        • 読み聞かせの際に、どのように子どもに問いかけるか?「ブルームの分類法」を参考に その3

          前回まで、「ブルームの分類法」とはなんぞや、また、どのように子どもへの読み聞かせの際の問いかけに活用できるかについて、考えてみました。 今回は、その「ブルーム」シリーズ最終回です。 お話がない本にも…問いかけ次第で使い方は無限大! 子どもに好きな本を選ばせると、図鑑のようにお話がない本を持ってくることもありますが、その場合も、問いかけの仕方によって、楽しみ方が無限に広がるのではないかと思います。 例えば、「ノンタン・タータンの遊び図鑑」(偕成社)と言う本は次男(4歳)の

        日本一時帰国の際のコミュニティへの参加方法について考える(2)

        • 日本一時帰国の際のコミュニティへの参加方法について考える(1)

        • 昨夏の日本での滞在を振り返って〜言語も文化、どちらの継承も大事

        • 読み聞かせの際に、どのように子どもに問いかけるか?「ブルームの分類法」を参考に その3

          読み聞かせの際に、どのように子どもに問いかけるか?「ブルームの分類法」を参考に その2

          我が家では、読み聞かせの際に、本を読みながら(またはその前後に)その内容について子ども達になるべく問いかけをするよう心がけています。言語習得の効果はもとより、親子のコミュニケーションの一環として、子ども達が普段自分の経験や周囲との関わり方についてどのように考えているのか知るきっかけになればと思っているからです。 学校から帰ってきた息子達に「今日、学校どうだった?」と聞くと、大抵「よかった」の一言で終わってしまいます。しかし、寝る前の本を媒介とした何気ない会話の中からは、休み

          読み聞かせの際に、どのように子どもに問いかけるか?「ブルームの分類法」を参考に その2

          読み聞かせの際に、どのように子どもに問いかけるか?「ブルームの分類法」を参考に その1

          今回は、「読み聞かせ」の際に、読んでいる本を媒介としてどのような問いかけができるか、「ブルームの分類法」を参考にして、考えていきたいと思います。 「ブルームの分類法(Bloom’s Taxonomy)」とは? アメリカの教育心理学者ベンジャミン・ブルームによって1950年代に作成された学習理論の一部で、日本語では単に「ブルームの分類法」、または「教育目標分類学」などと訳される事もあるようです。 「ブルームの分類法」では「受け取った知識をどう使っていくか」という観点から、

          読み聞かせの際に、どのように子どもに問いかけるか?「ブルームの分類法」を参考に その1

          BOOK:「ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密」(広瀬友紀著・岩波化学ライブラリー)

          今回は少し趣向を変えて、子どもの言語習得について参考になったり面白かった本について、書いてみたいと思います。今後も、ちょこちょこ、このような読書記録も投稿していければと思っています。 なお、以下は4年前、長男が2歳の頃に書いたものです。  友人からすすめられた「ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密」(広瀬友紀著・岩波化学ライブラリー)を読了!東京大学で教鞭を執る言語学者であり一児の母でもある広瀬氏が、自身や身近な親たちが観察した事例を豊富に交えて、子どもの言語獲

          BOOK:「ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密」(広瀬友紀著・岩波化学ライブラリー)

          「どんな本が子どもに響くか」の補足

          今回は、過去の記事「日本語の本の調達/どんな本が子どもに響くか?」(https://note.com/nahoko522/n/neab11c3c1558)の補足を書いてみたいと思います。 子ども達が実生活とのつながりを見つけやすい作品として、アメリカを舞台とした英語が原作の作品も、その翻訳や吹き替えの質が高いものであれば、継承語日本語の習得に大いに活用できると感じています。最近では様々なストリーミングサービスがしのぎを削っていますが、Amazon、Netflix、Apple

          「どんな本が子どもに響くか」の補足

          日本語話者である保護者がどうやって子どもの英語の読み書き能力をサポートできるか

          今まで、アメリカ生活の中で、家庭やコミュニティ内でどのように継承語日本語をサポートしていけるかについて、考えや気づき、試行錯誤の実践例をご紹介してきました。 今回は、一転して、日英バイリンガル家庭において、どのように日本語話者である保護者が英語の読み書き能力(特に「読み」)をサポートできるかについて考えてみたいと思います。 子ども達が今後もアメリカで教育を受け続けていく限り、学習英語(つまりは、英語での読み書き)の習得と育成は必要不可欠です。話したり聞いたりする能力とは異

          日本語話者である保護者がどうやって子どもの英語の読み書き能力をサポートできるか

          日本語の本の調達/どんな本が子どもに響くか?

          日本語の本、どうやって調達する? 私が住んでいるロードアイランド州では、日本語で書かれた紙の本は入手しにくく、日本または国内(ニューヨークにはKinokuniyaやBook Offがあり、オンラインでの注文・取り寄せも可能)から取り寄せるとなると、コストもかかります。米国内でも日本語話者または日本語学習が盛んな地域(例えばオレゴン州)では、公立図書館にも日本語の本が借りられるそうで、本当にうらやましい限りです! そのため、本の調達となると、日本に一時帰国した際にブックオフ

          日本語の本の調達/どんな本が子どもに響くか?

          1に読み聞かせ、2に読み聞かせ、3にも読み聞かせ 

          子どもの頃から本を読むのが好きでした。母親が幼少期に絵本をたくさん読んでくれたこと。また、父親もとにかく本が好きな人で、気づけばいつも何かしら活字を読んでいた姿が思い出されます。家には本が溢れかえっていましたが、それにも飽き足らず、毎週土曜になると、父は私や姉を図書館に連れて行ってくれたものです。そのため、図書館への愛着は大人になった今も変わらず。アメリカで利用している図書館は単に本を貸し借りする以上の役割を果たしていると常々感じており、とても注目しています。(図書館レポは、

          1に読み聞かせ、2に読み聞かせ、3にも読み聞かせ 

          家庭内での学びの環境のデザインと習慣化

          前回に引き続き、「子どもの興味に応じて生活学習環境を整え、日本や日本語の習得をポジティブに捉えるよう働きかける」ためのストラテジーと実践例を紹介していきます。 ストラテジー2: 生活の中で日本語に触れる機会をデザインし、習慣化する (1)読み聞かせの習慣化 子どもの言語習得における読み聞かせの効用というのは、特に目新しい情報ではないかと思いますが、私自身も、継承日本語の家庭内サポートという点から「1に読み聞かせ、2に読み聞かせ、3にも読み聞かせ!」だと信じています。読み聞

          家庭内での学びの環境のデザインと習慣化

          子どもの興味を日本語に結びつける!メディアミックスで徹底的にサポート

          さて、今回から「子どもの興味に応じて生活学習環境を整え、日本や日本語の習得をポジティブに捉えるように働きかける」ためのストラテジーと実践例を紹介していきたいと思います。 ストラテジー1 子ども達が興味をもったトピックは、異なる日本語の媒体を使って集中的にサポートする。その名もメディアミックス戦法! 例えば、長男(6歳)はW杯以降、サッカーに夢中。シーズン中は多ければ週4回、サッカーの練習やゲームに参加し、雨の日も家の中で風船でリフティングをするというこだわりぶり。このよう

          子どもの興味を日本語に結びつける!メディアミックスで徹底的にサポート

          アメリカ最小の州で日英バイリンガル子育て

          アメリカ東部、最小の州ロードアイランド州在住。日米国際結婚家庭で男児二人を子育てするワーママです。アメリカの大学で日本語を外国語として教えてきた経験も踏まえて、子どものバイリンガル子育て、特に継承日本語のサポートについて試行錯誤中です。 英語で育児について"Longest shortest time"(最も長くて最も短い時間)という表現をされることがありますが、子どもの成長を見守る過程というのは、ものすごい忍耐力を求められる場面もあるけれど、振り返ればあっという間でもあるな

          アメリカ最小の州で日英バイリンガル子育て