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日本語話者である保護者がどうやって子どもの英語の読み書き能力をサポートできるか

今まで、アメリカ生活の中で、家庭やコミュニティ内でどのように継承語日本語をサポートしていけるかについて、考えや気づき、試行錯誤の実践例をご紹介してきました。

今回は、一転して、日英バイリンガル家庭において、どのように日本語話者である保護者が英語の読み書き能力(特に「読み」)をサポートできるかについて考えてみたいと思います。

子ども達が今後もアメリカで教育を受け続けていく限り、学習英語(つまりは、英語での読み書き)の習得と育成は必要不可欠です。話したり聞いたりする能力とは異なり、読んだり書いたりする能力というのは自然に身につくものではないため、学校での指導に加えて、家庭でのサポートも必要になってきます。

アメリカの学校での読みの指導はキンダー(5歳児年長クラスに相当)から始まって、小学校3年生までは、”Learn to Read”と呼ばれる「読み方指導」に時間が費やされるようです。そこではアルファベットの認識から始まり、独特な英語の綴りをどう読むかについてルール(phonics; フォニックス)を習いながら、単語、文章、そして物語や説明文レベルの読みと読解へと繋がっていきます。その後、4年生になると、”Read to Learn” つまり「読みから内容を学ぶ」ことにシフトしていきます。

長男の学校でも本格的に読み指導が始まり、日々の宿題はないものの、毎週学校から本を2冊借りてきて、1週間の間に家庭でできるだけ読むことになっています。(実際に読んでるかどうかは、今のところチェックされてる様子はありませんが)

その現地校から借りてくる本をめぐって、どのように家庭内で継承語日本語サポートと学習英語のサポートを両立させていけばいいかとジレンマを感じる場面がありました。

以前書いたように、我が家では家庭内の言語使用ルール(日本語・英語を使用する相手、時、場を固定化する)を設定しており、母親(私)は英語では一切読み聞かせを行いません。かといって、父親(英語話者)も、気が向いた時にはやるものの、日常的にかつ意欲的に英語の本を子ども達に読もうとはしないため、長男が現地校から本を借りてくるものの、結局全く読まずに返却するということが何週間も続きました。

私が英語の本を一緒に読めば済むことかもしれませんが、日本語に加えて無限に読み聞かせの時間を割けるわけでもないし、また、せっかく培ってきた言語の棲み分けのルールを破ることになり、なし崩し的に私と子どもの間の使用言語自体が英語に変わってしまうことを懸念して、行動を起こせずにいました。

そんな時、友人家族が行っている実践例にヒントを得て、英語のインプットは義理の両親に外部委託することにしました。(アウトソース、万歳!)

数ヶ月前から、週1〜2回、各20分ほど、英語話者である義理の両親とZoomを繋いで、子ども達と「遠隔ストーリータイム」を行ってもらっています。

長男が毎週現地校で借りてくる本は、1冊は自分で読む本(短めの絵本)、1冊は誰かに読んでもらう、もしくは一緒に読むことを想定された本(チャプターブックと呼ばれる、長めの本)です。そのため、前半は長男が義理の家族に向かって読み、後半はその逆を行います。ちなみに、次男(4歳)はオンライン上でのやり取りに慣れていないこと、チャプターブックなどの絵がない(少ない)本はまだ難しいため、長男が絵本を読む前半だけ参加していました。

このストーリータイムはすっかり習慣化し、学校が夏休みに入った今も続いています。毎週借りてくる本がないため、義理の両親に本を選んでもらう場合もありますが、子どものその時の興味にあった本(例えば、Marvelのスーパーヒーローが大好きな次男には、好きなキャラクターが登場する絵本、など)をこちらで選んでおいて、あらかじめ注文して配達しておくなどのサポートも適宜行うようにしています。

周囲の理解とサポートを最大限に活用する!

このように、周囲の助けを得ながら、家庭内の言語使用ルールを崩さず、保護者の負担も増やさず(大事!)、両言語の育成をサポートする機会のデザイン、習慣化の試みが進行中です。以前紹介した「サマーリーディングチャレンジ」の後押しもあり、子ども達も今のところ意欲的で、義理のご両親にも孫達との本を介した定期的なやりとりを喜んでもらえている(はずです)!

今回のように英語のサポートに助けを求めやすい状況が生まれたのは、子どもが生まれる前からバイリンガル環境で育てていくという意志を夫婦で確認し、近隣に住んでいてて行き来が多くなることが予想される義理の家族の理解とサポートを得ておいたこと(*)が功を奏したと思っています。

*義理の家族から特に反論が出るとも思っていなかったのですが、むしろ積極的に応援してもらえたらという期待もあって、参考文献として(?)、バイリンガルについて専門家によって一般向けに書かれた本("The Bilingual Edge: Why, When, and How to Teach Your Child a Second Language" by Kendall King & Alison Mackey)も渡しました。

今回は、日英バイリンガル家庭において、どのように日本語話者である保護者が英語の読み書き能力(特に「読み」)をサポートできるか、その一例をご紹介しました。なお、もし家族の中に必要な言語資源がないという場合には、お子さんの学校または地元の図書館に一度問い合わせてみることをおすすめします。

何らかのご参考になれば幸いです!



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