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出会い直し

コロナ禍で、「振り返る」とか「原点」だとかを探る作業が増えているのだけれど、
“いい”と感じられた場(ケアの現場に限らず、カフェとかでも)って、手放していないんですよね。
めんどう、とかも含めた「人にとって本当に大切なもの」を。
熱を、思いを、絶やさずに“やり続けている”んだと思う。
―その人の“熱源”。
熱源はそれぞれでしょうけど、=好きなもの、なのでしょうね。その人にとっての、圧倒的な。
コロナ禍のなかにあっても、ぶれない。くじけることがないというか、やっぱり“続けている”。

私はそれを少し「出会い直し」にあてはめて、振り返ってみることにしました。

2011年12月1日、介護・福祉・医療に関わる業界紙を発行する新聞社に入社しました。
2013年に結婚のため香川へ。ここからフリー記者として、あちこち取材を重ねながら記事を書き続けてきましたが、「本当に書きたいことは紙面では表現できない」と2019年秋に新聞社の所属を離れ、独立しました。

さて、新聞社に入社して数か月は老人ホームの一覧表を頼りにひたすら取材のアポとり。介護に関する知識はゼロ。もちろん人脈もゼロ。
数日間は上司の取材に同行しましたが、1週間と経たぬうちに「とにかく現場で学んでこい」と独り立ちさせられました。

同期のIくんと首都圏を振り分け、私は埼玉、神奈川、千葉を担当。
「一日最低2件」と上司から言われていたので、とにかく必死。
手帳に隙間が空くことを恐れていました。

取材に行っては合間で電話をかけまくり、アポを取る。記事を書く。紙面を作る、編集する。ゲラのやり取りを責了まで印刷会社と重ねる。

有料老人ホームからまずは始まり、次第に“慣れて”くると、知識も少しは増えてきて…デイサービス、特別養護老人ホーム、老健、デイケア、小規模多機能、病院、医師や建築士など、取材対象を広げていきました。
「あそこ、面白いよ」と教えてもらえたり、人脈もできていき、楽しくなって、この業界の“おもしろさ”に気づいていくのでした。
いったいこれまでどれくらいの施設、ケアの現場を訪ねたのでしょう…。

さて。
入社して2ヵ月経った2011年2月上旬。
はじめて「小規模多機能」なる場所を取材させてもらった時に撮影したこの写真が、取材する時の私の“原点の風景”です。

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当時、紙面には書けなかったけれど、代表の筒井さんが語ってくださったことは、ケアの現場において失われてはならない視点だなと今も思っています。

ふれんどりぃの郷 筒井すみ子代表取締役

いかにふつうに生活するか。
介護する・されるのでもなく「一緒に時間を過ごす」という感覚。

いまの介護って、オムツ交換すればいい、入浴させればいい、になっていて、“生きようという気持ちがつぶされている”と思うんです。 
生きる力を奪わないケア、これをしたい。 

人はだれもが生まれたときから、死に向かって生きているという見方ができますよね。
だからこそ生きる力を大切に。
年を重ねていくごとに、何かができなくなっていくのは自然なこと。それを受け入れることが生きること。
せっかく生きるんだから幸せになってもらいたい。

利用者も個性があります。接し方もいろいろあっていいんです。それを“感じる”こと。
自分磨きをして“いい仕事”をみなさん(利用者)にしようって。そうでないと人を幸せにすることは出来ない。
見返りを求めない。やりたいからやる。ダメなら変えればいい。
この人のためにしたいっていう…
自分が真剣に生きることが大切だと思うんです。

ふれんどりぃの郷は、神奈川県にあります。そしてもうひとつ、筒井さんは茨城県でも高齢者の住まいを運営されています。先日少し筒井さんとやり取りをして、再会したくなりました。いずれまた、訪問しようと思います。

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