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一番恥ずかしい初体験の告白

高校時代の3年間は、6歳以降の人生でいちばん「初めて」が多い時だった。
たった3年の間に、よくあれだけ誰かと繋がったり別れたりしながら、たくさんの初めての感情を味わえたものだ。

人からみたらとってもどうでも良い話だけど、自分は心から思い出したくない恥ずかしい話をこっそりここに残しておこうと思う。

初体験は印象に残っていることばかりだけど、恥ずかしさでいったら一番の体験は、大失恋とそこから生まれた散文が雑誌に掲載されたこと
当時大好きで毎号買っていた雑誌に、失恋した心をもてあまして書いた散文というか長文の詩というかを投稿したら、読者のおたよりのページの扉に掲載されてしまったのだった。

めちゃくちゃ恥ずかしいその散文は
「さよならってなんて優しく響くんだろう」
と始まる。
まったくもって恥ずかしい。恥ずかしすぎる。今読み返すと全然優しく響かない。

その掲載号はいまも手元にあって、恐る恐る全文を読み返してみたら
「愛情がないのにつきあうなんておかしいだろ」などと16歳の男子が言っていたらしい。
愛情と性欲の違いもわからなかっただろうに、ドラマみたいなセリフを現実に言われていたらしく、私は私でヒロインぶって涙にくれていたようだ(もちろん覚えてない)。

なにが
「私たちの恋は熱かったら 一瞬で完全燃焼しちゃったね」
だ。燃焼もなにも終わるだけの恋なんて燃やす価値もない。

ドラマみたいなことをしたかった当時の私は、その失恋して傷ついた感情を言葉で吐き出し、いつものように大好きな雑誌の編集部へ手紙で送った。
それがでかでかと掲載されてしまったのだった。

掲載されたことは驚いたけど、単純に嬉しかった。
傷ついたけど、こんなことが起こるなら失恋も悪くないなんて思った。
しかもその後、私の文章に対して読者の子達から10通くらいお便りが届いたと編集部から連絡があったのだ。

実は私とその雑誌とは、好きすぎてほぼ毎月のように手紙を出していたら、ごくたまに読者モデルとして呼ばれたりアンケートに答えたりといった関係性ができていた。
ある程度の信頼関係があったので、編集部も反響を伝えたら喜ぶだろうと思って連絡をくれたのだと思う。

今の時代では信じられない個人情報の扱い方だけれど、連絡をくれた編集さんは「反響の手紙、送りましょうか?」と言ってくれて、まとめて郵送してくれた。当時は「個人情報」なんて概念もろくになかったのだ。

お手紙なのでもちろん住所と名前、なんなら電話番号も書いてあるものもあった。
私はそれを宝物が贈られてきたかのように扱い、ひとつひとつ丁寧に読ませてもらった。

読ませてもらうだけで止めておけば良かったのに、「こんなに感動してくれてるなんて、私もこの子に御礼を言いたい」と、電話までしてしまった世間知らずの私。
繋がった相手は丁重に対応してくれたけれど、明らかに困惑していて、私は「またやってしまった!!!!!」と反省した。

当時の私は相手との距離感がわからなくて、思ったらすぐ行動や表情に出てしまい、周りの人は戸惑ってしまうことが多かった。普段は友人や親族相手だったのでまだフォローできたけど、知らない相手だと反省しかできない。

あの時代にSNSがなくて本当に良かった。何をやらかしていたか想像つかない。
法律違反はしなくても、自己憐憫という悪臭を放つエゴの言葉を撒き散らしていたに違いない。
そんなものは役立つどころか、ゴミ以下だ。


反響があったということは、それなりにパワーのある文章だったのだと思う。
しかしそのパワーをどう使えば良いのか見当もつかなかった私は、自分の言葉を書き記すことをぱったり止めた。
また書き出すようになるのは、それから3年以上経ってからだった。

あの時電話をかけてしまった方、本当にごめんなさい。

次のお話:

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