好きだったことに、また夢中になれそうだ。
散歩をしていると、どこからかピアノの音がした。
近づいてみると、ショパンのメフィストワルツだった。
僕の大好きな曲だ。
ラジオでは、そのピアノの音が聞こえてきたよって話から、音声の持つ不思議な力について話している。
そう、このメルボルンの街の片隅から、クラシックが聞こえたのだ。
今までこの音楽を、実は避けていて、本当に久しぶりに聴いた。
この曲が耳に届いた時、体が勝手にその音の方へ向かっていった。
体が「聴きたい」と思ってしまったのだと思う。
しばらくその弾いているであろう家の前で一人立ち、無心で聴いていた。
「あぁ、やっぱりクラシック好きなんだな」
と、あとから振り返って思う。
いや、正確に言えば、少し前まで好き「だった」。
小学生の頃からピアノを習い、クラシックを聴き始めた。
ウォークマンも買ってもらい、そこにはクラシックの曲しかいれていなかった。
そんな感じだったので、カラオケに行っても何も歌えず、クラシックを聞いていると言う度に冷たい目で見られ、いつの間にかクラシックを聴くことを隠していた。
そんなこともあって、大学ではジャズやJpopなど幅広いジャンルの音楽に触れ始めた。もっと広く音楽を知りたい、という思いも強かったが。
だからこの大学から今までの約7年間、クラシックを忘れていた。
10年クラシックを聴き続けていたのに。
そして今、流れてきた曲を聴いて、思い出した。
そう言えば、クラシック聞いてなかったなぁ。
特に聞いて衝撃が走ったわけでもなければ、またピアノを弾こうとも思わなかった。
そんな時に、このラジオで同じクラシックを好きな人たちと出会った。
そして、もう一度、聴きたい、と思ってしまった。
それはおそらく、メルボルンに来ていなかったら、ラジオをしていなければ生まれなかった感情だと思う。
そう思うと、ここで生活し、そして様々な人と出会えてよかった。
何か当時とは違った感情で、このクラシックに向き合えている気がする。
今まで好きだったものを、違った「好き」の目線で見れている。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事は、収録したラジオを元に執筆しました。
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