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倍音でチルアウト からだ♡ダカラ⑤

音にも敏感なタイプである。

合わない音の環境に居ると、どうにも苦しくなり,その場から逃げ出したくなる。が、反対にピッタリ合う音楽を生で聞くときは頭痛が治ってしまう、経絡の流れがすこぶる良くなるなどの不思議も起こる。

ここのところ通っているヨガ教室の先生が、フランスのコシチャイムという楽器を鳴らして聞かせてくださるのが、とても心地よい。それで、自宅でもユーチューブを流している。夏の暑さをどこかに運び去る爽やかさである。まさにチルアウト(落ち着く、くつろぐ)な音。

https://www.youtube.com/watch?v=YmNTb3cOCbk

ついでに言うと、わたくしには、音に引き出され脳内の視覚野が反応する共感覚もある。具体的には、演奏会で美しい音楽に接して心地よくなり、あるゾーンに達すると、何もないはずの空間に音波が拡がって行く様子が見える感覚がある。音の重なりや拡がりが、まるで美しい色や線形を持つ絵を観ている感じとして脳に作用するのだ。いわゆる愉悦の心地、ウットリというヤツである。そして、心身の調子が上がる。

ところで、わたくしは、子どもの頃から20年ほど邦楽の稽古に通っていた。そこではまず先生と自分の弾く弦楽器(箏、三味線、和胡弓)の調律をしてから、曲を教わる。子どもの頃は少しでも二つの楽器の音が合わないと、わたくしは「音が違う」と言って稽古に入れなかった。「難しい子ね」と苦笑され、少し呆れられた子どもだった。段々と上達すると、それほど時間をかけなくても調律できるようになり、お稽古時間が削れることはなくなっていった。今のような調律機(チューナー)を使わず、音叉や調弦笛で音合わせをしていたのは、とても良い経験だったと思う。

いくつかお免状を授かった中学の頃の或る晩、きれいな邦楽の曲を天女のような女の人たちが奏でている夢を見た。聴いたこともないその音楽があまりにも美しく、味わったことのない至福感に浸った。驚いて目覚めると、まだ真夜中で何かに書きつけるか録音するかしたかったけれど、枕元にはそういうものがなく、結局また寝入ってしまった。とにかく美しいとしか言えない曲だった、それだけを今でも覚えていて、また聴きたいけれど、極楽か天国の音楽だったのか、現存の曲ではないので、それは叶わない願いなのである。

その頃から、とてもいい感じに演奏できた時や、素晴らしい音楽を生で聴いた時に、音が空間に踊りながら広がっていく動きが視える感覚が身についた。何年に一度の滅多にない頻度ではあるけれど、確かに有るのだ。視覚野ではまだ出ていない音や、既に消えているような音の残像のようなものも、感知することもあるようだ。それは、倍音というものとも関連があるのかもしれない。

邦楽の世界では、倍音が楽曲の深みをさらに増すように感じる。阿古屋姫のお話で、身の潔白を示すために、自身の心の乱れが演奏に現れるかを試される姫の演奏場面。この和胡弓の調べは繊細の極みである。

https://www.youtube.com/watch?v=OxIUtfL-Qxw

このように、世界的に見てもかなり個性の際立つ独自性を持つ音楽に、若い時代に直接触れられた幸せ者は、歌舞伎、文楽、浄瑠璃、地歌を時々楽しむ機会にも恵まれて嬉しい限り。歌と弦楽器のコラボレーションでストーリーが物語られるとは、なんと豊かな日本文化か。もちろん、それは上質の演奏限定の話なのだけれど。(一歩間違うと、苦しむことになるので油断は禁物)

そして、今の日本では、邦楽だけではなく、クラッシックや様々な音楽を自由に楽しめる、超ラッキーな音楽環境である。倍音効果を求めて、せっかくのチャンスを最大限に楽しみたい。

そして、時折、リラックスしたいときのお気に入りユーチューブ。その名も「イヤシノモリ」というこのチャンネル。この音楽は、不思議なほど穏やかな気持ちを引き出してくれる。

TPOに合わせて音やメロディー、リズムを心身の癒やしに活用できる音ライフ万歳!!である。反対に疲れが増したり、余分に感情が波立つような音環境への注意も、音に対する感度に関係なく覚えていて損はない。特別、敏感な感覚を持っている人には、ことさらに心身にキク音を意識して選ぶことをオススメしたい。

そして、耳は大変優れた感覚器で、自分が求めない音は勝手にデリートすることや、必要と集中すればその音にのみスコープすることもできるという。お耳の遠くなった先輩方が嘆かれる、補聴器のご苦労は、その機能を補うのが難しいことからくると聞くにつれ、耳を大事にしたいと心底思う。

最近普及が進むイヤホンで聴く音量に気を付けて、時には人工音や刺激音を避けた環境で聴覚を休めることも、とても大切である。五感のなかでも特に危険への察知にも重要な役目を果たす耳の機能を、できる限り長く万全なレベルに保ちたい。そして、このことに、どうぞお耳を傾けていただきたいと願うのである。






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