エスケープ

サムライ・エスケープ⑤

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「俺が葬ってやるよテッチュロウ」

 聞き覚えのある声。赤い装甲服のドーシン。その声、忘れるはずもない。

「トガノ!? なぜお前が!」
「気付かなければよかったのにな。俺は、元々こっち側よ。ハナから潜り込んでたのさ」

 そんな。ヤヘジに続いて、なぜ。なぜ馴染みに。
 俺は膝をついた。立て続けの裏切りに、心の折れる音がした。

「オイ、立ちやがれバカ」

 トガノの罵倒。だが、もうどうでも良かった。これ以上生きても、望みは果たせそうにない。いっそ殺して欲しい。

「テメエ、分かってねえなあ」

 トガノがおれに近付く。それでいい。いつの間にか手元に戻っているその斧で、おれの首を掻っ切ってしまえ。
 だが、奴はなぜか俺の首根っこを掴んで。

「腑抜けたテメエには、用はねえんだよ!」

 腹に一撃。重い。げえっと、胃の中身が飛び出した。

「立てや。俺はヤヘジほどヌルくねえ」

 なるほど。言いてえことはよく分かった。つまり。

「俺はケンカして、お前を殺す!」


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