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34℃

待ち合わせは決まっていつも
最上階に併設するブックカフェ内の雑誌棚の前
二人で初めてお茶をしたのがこのカフェで
いつの間にか毎回の待ち合わせ場所になったんだ

雑誌を立ち読みしているのに
写真も内容も全然頭に入ってこなくて
つい雑誌から視線を上げて
チラチラと周囲を見渡して
何度も時計を気にする自分がいる

誰かを待つ時間がこんなにくすぐったくて
音が聞こえてきそうなほど胸が高鳴るんだって
教えてくれたのは君だった

 エレベーターの中、他の人にバレないように
背中越しに隠して手をつないでくれる
限られた空間で手をつないでいられる時間
指を絡ませ、存在を確かめるように
指と指でお互いを撫で合う
背の高い君を見上げると
視線を向けて微笑んでくれた

つかず離れずの距離感を保ちながらも
自然に歩幅を合わせてくれるのが嬉しい

信号待ちでじっと見つめてきたかと思えば
おでこに不意打ちのキスをする君
おでこを押さえながら
何も言えず赤くなる僕を見て笑う
そのくしゃっとした顔がいちばん好きだ

夏を謳歌していると言わんばかりの蝉の鳴き声と
アスファルトに反射した日射しの眩しさが
余計に夏を感じさせる、君との熱い夏

暑さで項垂れても何度でも
照り付ける太陽を目指して咲き誇る向日葵が
あまりにも儚く、とても綺麗で憧憬の念を抱く

今年の夏も
アイスコーヒーの氷が溶けるほどの恋をしよう

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