プロ野球選手を輩出した伝統の“投手力”を武器に戦う、名大硬式野球部
東山キャンパスの山の上にある野球場。木製バットでボールを打つ鈍い音や、部員たちの野太い声がグラウンドに響き渡ります。2020年には名大から初となるプロ野球選手が誕生して話題を集めた「硬式野球部」。8月13日～16日に開催される七大戦で、主管校として優勝を目指します。
コロナ禍で高校野球を不完全燃焼に終えた学生が集まる
部員はマネージャーを入れて60名を超える大所帯。とくに3年生は20名以上所属しています。主将の田中一城さん（セカンド・情報学部4年）は「現在の3、4年生はコロナの影響もあって高校野球を消化不良で終えてしまった世代。野球することに飢えています」と、日々の練習に打ち込んでいます。
監督やコーチは土日のみの参加ということもあり、部内のことは4年生の幹部を中心に決めているとのこと。今年は主将の田中さんと副将の石川侑暉さん（ファースト・工学部4年）、荘司浩輔さん（センター・文学部4年）の３人が、練習メニューや試合の出場メンバーなどを決めています。石川さんは「高校までは監督やコーチが絶対的な存在でしたが、大学では自分たちが中心となってチームマネジメントを担っています。上手くいかないこともありますが、今までとは違った視点で野球を楽しめています」と、充実した表情で話します。
先輩から脈々と受け継がれる投手力
名大チームの強みは「投手力」。2020年に中日ドラゴンズに入団した松田亘哲さん（2023年引退）、社会人野球の強豪Hondaに所属する本田健悟さん、独立リーグで活躍する横井文哉さんなど、OBの影響が大きいとのこと。田中さんは「投手陣はプロを目指す先輩たちがストイックに取り組む姿を間近で見てきました。技術だけでなく練習に対する姿勢も自然と身に付き、必然的に投手力が上がっていったと思います」と、現チームの土台を作ってくれた先輩たちに感謝します。
そんな投手陣で、練習中にひと際気合いが入っていたのはサウスポーの藤田想さん（経済学部3年）。身体こそ大きくないものの140キロを超えるストレートを武器に、チームの中核を担っています。幹部の3人からも「ムードメーカーでチームを盛り上げてくれる存在」と名前が挙がる注目選手のひとりです。
変化球の練習にも力を入れています
バッティングでチームを引っ張る4年生
4年生の幹部3人はバッティングでもチームを牽引するキープレーヤー。トップバッターの荘司さんはチームメートから「ショートゴロでもヒットになるくらい速い」とされるほどの俊足。「たくさん出塁して勝利に貢献したい」と意気込みます。2番バッターの田中さんは「全球引っ張って打ちます（笑）」と、得意のレフト打ちでチャンスを広げ、クリーンナップの一角を担う石川さんがランナーを返すのが名大の勝ちパターンです。
ベンチメンバー入りするも出場機会には恵まれず、悔しい思いをしたそう
降雨コールドでの敗戦で悔いが残る、昨年の七大戦
七大戦はトーナメント方式で実施され、昨年大会は1回戦で北海道大学と対戦。7回表まで3対0で勝っていたものの、その裏に4点取られて逆転を許した直後に降雨コールドとなり、負けてしまいました。
今年は主管校のためシード校になり、準決勝となる初戦は北海道大学と東京大学の勝者との対戦。田中さんは「昨年の優勝校で今年も優勝候補の東大が勝ち上がってくる可能性が高いですが、昨年のリベンジもあり北大とも戦ってみたい」と展望します。
秋のリーグ戦で引退する4年生
七大戦以外で目標にしている大会が、春と秋に開催される愛知県のリーグ戦。今年の春季リーグは3部に所属していましたが、リーグ優勝して入れ替え戦にも勝利し、9月に開幕する秋季リーグから2部昇格をつかみました。秋季リーグの目標は“勝率5割以上”。2部と3部を行ったり来たりすることが多いため、2部残留を最低条件としています。
「2部に所属する他大学と比べても名大は身体が小さく、パワー不足が課題。ウエイトトレーニングや素振りなどを重点的に行い、打撃力の強化に取り組んでいます」（田中さん）と、秋季リーグで引退する4年生を中心に一丸となって練習に励んでいます。
名古屋大学 硬式野球部「七大戦」試合日程
8月13日（火）～16日（金）
【大会会場】パロマ瑞穂野球場 ※16日のみ、山の上野球場
名古屋大学 硬式野球部 Information
部員数／約60名
活動場所／山の上野球場
活動日／火、水、金、土、日
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