チームメイトやOBからの力強い応援を武器に、1部昇格を目指す名大卓球部
体育館に入ると聞こえる、小気味よく続くラリーの音。バチっ!と球を打つ音。キュッキュッ!と靴が床に擦れる音。卓球台と向き合う名大生から、自然と笑顔がこぼれます。9月14日からの「七大戦」に参加する、名大卓球部。出場する部員も出場しない部員も一丸となり、大一番に臨みます。
応援こそが、強み
普段は明るく、楽しい部活。しかし、いざ試合が始まると部員たちの表情は引き締まります。名大卓球部はチームとしての卓球を重視していて、個人競技でもチームとして一つの目標に向かいます。だからこそ、個人種目で試合に出るメンバーも欠かさずチームメイトの応援をするそうです。他大学より部員数の多い名大チームの声援はひときわ大きく、競技場に響きわたります。
選手として出場する竹中秀斗さん(工学部2年)は応援されることに対して、こう語ります。
「応援されるとうれしいですし、モチベーションになります」
出たくても出られない人の気持ちも背負って出る大会。その声が、誰よりも大きく届くからこそ頑張れるとのこと。
「一人ひとりの力は小さい。だからこそ全員で応援することには意義があります」と話すのは男子の次期主将、末松俊人さん(法学部2年)。力強い応援を背に、チーム一丸となって戦えることが、他大学にはない強みなのです。
OBからつながれたバトンをゴールへと
そんな名大卓球部には、ゴールがあります。それは東海リーグ1部への昇格です。現在、男女ともに2部リーグに所属しています。2部で優勝し、1部の最下位に勝つことでようやく昇格をつかむことができます。9月上旬に開催された今年の秋リーグで女子チームは2部の1位に勝ち上がることができましたが、1部昇格はできませんでした。
「1部との格の違いを見せつけられ、ただ強いだけでは勝てないことがわかりました」
女子の次期主将、纐纈菜華さん(医学部2年)はそう語ります。あと一歩のところで勝てなかったそうですが、「今の名大には全国レベルの選手が多いからこそ、OBたちからつながれたバトンを持って、ゴールへと駆け抜けられるはず」と前を向きます。
人に紡がれ、人をつなぐ名大卓球部
「卓球は人と人をつなぐものです」。末松さんは卓球を通じて人と人との「つながり」を大事にしたいと考えています。チームの仲間とは部活だけでなく、プライベートでも頻繁に遊びに行くほど仲が良いそう。他大学の卓球部員とは大会でしのぎを削り、親交を深めています。
たくさんあるつながりの中でも一番大切にしているのは、日頃から応援してくれ、大事な場面では助けてくれるOBの方たち。今でも練習に付き合ってもらっているほか、毎年「名大選手権」と称した大会を開いて交流しています。ときには監督としてベンチに入ることもあり、今年の七大戦ではスタッフとして運営を手伝ってくれるそうです。
歴史ある名大卓球部を紡いできたOBたちへの感謝の気持ちを忘れないためにも、結果を残し続けたい。そんな思いがあふれ出ます。
七大戦の主管校としての意地
今年は名古屋大学が主管校ということで、盛り上がりを見せている七大戦。前年度は、男子が6位、女子が4位に終わりました。次期主将の二人は「順位を一つでも上げたい」と意気込みます。そのためにも、つながりと応援を忘れない――。歴史を紡いできたOBの支え、どの大学より大きな声援を送ってくれる部員たちの思いを力に変え、選手たちは全力を尽くします。
文/小川トマスザカリ眞人(フリーペーパー『粋』スタッフ/南山大学 人文学部2年)