見出し画像

【名大URA通信】vol.36「研究者キャリアをURA業務に大いに活かしています!」

[1]【URAコラム】研究者キャリアをURA業務に大いに活かしています!

中島龍一(なかじま・りゅういち):東京都墨田区出身。町工場が立ち並ぶ下町(東京スカイツリーまで徒歩5分)の鋼材店の長男として生まれる。東京薬科大学大学院生命科学研究科修了、博士(生命科学)。国内外の研究機関での研究職を経て、2021年より本学着任。最近は自室の音響環境の向上に強い関心を持っており、高周波サウンドが多く含まれる心地よい環境音楽や民族音楽等を好んで聞く。

ー中島さん所属の「産学協創・国際戦略部門」には企業出身のURAが多いですが、中島さんはアカデミア出身なんですね。

ー(中島)はい、元々は心の働きを理解したくて、大学では心理学のゼミに入ったんですが、徐々に脳の方に興味が移って、大学院からは脳神経科学の研究で学位を取得しました。その後は、理研でアルツハイマー病メカニズムの研究、カナダでは記憶メカニズムの研究、韓国では光遺伝学を用いた脳神経回路の研究と、研究者としてのキャリアを積みました。帰国後、藤田医科大学ではネズミの頭に小さい蛍光顕微鏡を付けて色々な行動実験をすることで、脳神経の活動からネズミの心の動きを推定するような研究もしていました。

ー世界の研究機関を渡り歩いてきたんですね! そこからURAに転身しようと思ったきっかけは?

ー(中島)研究者としてテニュアのポジションを目指す選択肢もありましたが、それはとても狭き門です。研究者として基礎的な研究はかなり突き詰めたところでもあったので、一度立ち止まって、自分が好きなこと、得意なこと、他の研究者と違うと思うところを棚卸ししてみました。その中で、URAという仕事は魅力的だなと思いました。実際に藤田医科大学時代に、URAの方から「向いているよ」と言われたこともあったんです。

ーURAのどんなところが自分に向いていると思いましたか?

ー(中島)実は、韓国にいたころ、日本企業の駐在員との懇談会によく呼ばれてたんですよ。在韓日本企業の駐在員の方々は、異文化で構成されるメンバーの組織マネジメントについて課題を持たれていることがとても多かったです。そのような方々に向けて、文化的・生物学的な多様性をどのように活かしたらイノベーションを起こせるのか、脳神経科学者の立場からコメントしたりしていました。その中で必要な知識として、自分でも「知識経営」について真剣に勉強したりしました。そういう場で企業の方とコミュニケーションすることが、自分のモチベーションになっていた側面もあったんです。

ー実際にURAになって、研究者時代の経験を活かせていますか?

ー(中島)はい、「活かせている感」が大いにあります(笑)。まず、先ほどお話しした「知識経営」について学んだことが役に立ってます。アカデミアと企業って、言葉の定義が違ったり、前提としている文化が違ったりするのに、それを確認せずに話を進めてしまう傾向がありますよね。私は会議の場では、わからないことを知ったかぶりせず、両者の「暗黙知」を見える化して整理することを大切にします。時にはあえて素朴な質問をして場を和ませて、企業の方々も大学の先生方も本音を言える「心理的な安全性」が生まれるようにふるまうこともあります。

(左)音質を大きく左右するキャパシターの性能を、LCRメータで評価。
(右)「いかに心地よい音を聴くか」を追求し、40年以上前の中古スピーカーをレストア。

ー(中島)2つ目には、様々な対象を「数値化・解析」するという、研究者として受けた訓練が、今の業務にも活きているなと感じます。例えば最近、面白い発見がありました。
 名大には、企業の方々とURAが協力しながら共同研究のテーマを一緒に探索・創出する「探索型共同研究」というメニューがあります。社会に潜む新規ニーズや、企業からいただく様々な要望を要素分解しながら、共同研究の新規テーマと研究者を探索する共同作業なのですが、その際、出発点となるニーズをできるだけ多くの具体テーマに分解してマッチングすることで、その後の研究者との面談の成功率が高まる傾向があることが、最近の私の分析でわかったんです。業務を進める中でひらめいた傾向から仮説を導き、それらを統計解析で確かめるという、研究の基本を業務に活かせた例だと思っています。

ー研究者としてのキャリアや、豊富な経験や好奇心を活かして、URAのお仕事に取り組まれているんですね。最後に今後の抱負を教えてください。

ー(中島)大学は、イノベーションの大事な要素である「多様性」に満ちたるつぼです。その多様性をいかに上手に企業との共同研究につなげていけるか。私たちURAの脳みそがとても鍛えられる、大変やりがいのあるミッションです。これからも自分の「広くて強い好奇心」を原動力にして仕事をしていきたいです。学内には面白い研究をされている先生が沢山いらっしゃるので、是非もっと会いに行きたいと思っています。企業との共同研究に興味をお持ちの先生方、これまでのシーズニーズマッチングを超えた組織対組織の共同研究にご興味をお持ちの企業の皆様、私達までお気軽にお声がけください。

[2] 令和6年度 科研費公募説明会 

令和6(2024)年度科学研究費助成事業への応募に向けて、科研費の制度や変更点につき説明を行うほか、日本学術振興会学術システム研究センターのプログラムオフィサー(PO)も務める研究者から、科研費の動向や応募の対策などをご説明いただきます。東海国立大学機構として、名大・岐大合同のウェビナー方式で実施します。
・日時:2023年6月27日(火)15:15~16:30 *オンライン
・内容:「最近の科研費の動向と申請書の書き方のコツ」(名古屋大学理学研究科 教授/JSPS 学術システム研究センター 主任研究員 宮崎州正)、他
・対象:東海国立大学機構所属の教職員(機構内限定)
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/17053.html

[3] メディカルスタートアップ基礎セミナー「『医工連携』でイノベーションを起こす。メディカルスタートアップへの期待」

スタートアップという手段を使って、新しい医療イノベーションをどの様に起こしてゆけば良いのか、その基礎を学ぶセミナーを今年度も開催致します。私たちの周りにもメディカルスタートアップが増えてきました。彼らは医学研究者が持っていない「技術」を持っています。そう、『医工連携』がスタートアップの始まりとも言えます。今回はスタートアップと医工連携の関係について語ってもらいます。
・日時:2023年6月20日(火)17:00~18:30 *オンライン
・講師:寺嶋一裕(循環器専門医/株式会社CaTe取締役)
    大山慎太郎(医学博士/名古屋大学未来社会創造機構 准教授)
    村上嘉一(ジークス株式会社代表取締役社長CEO)
・詳細・申込:http://www.miu.aip.nagoya-u.ac.jp/info/1083/

[4] PI育成セミナー ★大好評企画2件開催★

■研究者のためのデザイン寺子屋
自身の研究成果やアイデアを正確にかつ効果的に聞き手に伝えることは大切です。目的に適した書体は? 文章を読みやすくする工夫とは? 非デザイナーである研究者が知っておくべき文字の使い方とは? グラフや表、フローチャートなどの作り方に関するデザインのルールとは?など、研究活動で役立つデザインの基本ルールについてご講演いただきます。
・日時:2023年6月6日(火)14:00~16:00 *オンライン
・講師:高橋佑磨(千葉大学 大学院理学研究科 生物学研究部門 准教授、
        伝わるデザイン:研究発表のユニバーサルデザイン主宰)
・対象:東海国立大学機構の若手研究者が主な対象ですが、学部生、大学院生、教職員であれば参加可能です。T-GExのアソシエートも参加可能です。
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/16604.html

若手研究者のための科研費攻略セミナー2023
科研費申請シーズンとなりました。昨年度の科研費公募要領都の変更点は? 申請内容が審査員に伝わりやすい申請書とは? 申請時に見落としがちな点とは? など、申請する際に、押さえておくべきポイントについてお話いたします。昨年度参加された方も、初心者も、是非ご参加ください!
・日時:2023年6月20日(火)14:00~15:00 *オンライン
・講師:渡邊真由美(名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 URA)
・対象:東海国立大学機構の若手研究者が主な対象ですが、学部生、大学院生、教職員であれば参加可能です。T-GExのアソシエートも参加可能です。
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/16705.html

[5] 名大発アカデミックフラッシュ 第23報

若手研究者による若手研究者のための「アカデミックフラッシュ」第23弾!
・日時:2023年6月28日(水)12:00~13:00 *オンライン
・発表:名古屋大学創薬科学研究科・竹内遼介 助教
              名古屋大学理学研究科・伊藤(三輪)久美子 特任助教
              岐阜大学糖鎖生命コア研究所・田中秀則 助教
・対象:海国立大学機構の若手研究者が主な対象ですが、学部生、大学院生、教職員も参加いただけます。
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/16706.html

[6] 学術研究・産学官連携セミナー「大学発ベンチャー起業に向けた「利益相反」と「株式・新株予約権取得」に関する手引書について」

今後大学発ベンチャーの創出が期待される中、Tongaliでは大学発ベンチャーの創出を支援する上で必要な「利益相反」と「新株予約権」に関しての手引書を作成しました。今回はそれらの内容について紹介いたします。
・日時:2023年6月21日(水)8:45~9:15 *オンライン
・話題提供:佐橋学(名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 URA)
・対象:東海国立大学機構所属の教職員(機構内限定)
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/headquarters/seminar

[7] Tongali「ビジコン聴講者募集」と「アイデア創出ワークショップ」

■ビジネスプランコンテスト ★聴講者募集★
予選会を勝ち抜いたチームがビジネスプランを競います。研究シーズに基づくプランやアイデアベースのプランなど、事業化を目指す学生発のビジネスプランに興味がある方、新しい何かを始めるきっかけをお探しの方、熱意ある学生を応援したい方、どなたでも大歓迎ですので、お気軽にご聴講ください。ご聴講の皆さまによるオーディエンス投票もあります!
・日時:2023年6月17日(土)12:30~19:00 *オンライン併用
・会場:デザインホール(名古屋市中区栄3丁目18-1 ナディアパーク3階)
・対象:どなたでも聴講可 *現地参加申込多数の場合は学生優先
・申込・詳細:https://tongali.net/events/biz-contest2023/ 6/15〆切

■東南アジアの社会課題解決アイデア創出ワークショップ
国連の持続可能な開発目標(UN-SDGs)に関連するテーマを中心とする社会課題からビジネスアイデアを考えだす基本的なプロセスをシンガポールとオンラインでつなぎ実際に体験します。この研修後、選抜チーム(ワークショップの中でチーム形成をします)は、アイデアを実際にインドネシアで検証するチャンスを準備しています!
・日時:2023年7月1日(土)・2日(日)いずれも9:00~17:00
・講師:Robin Oh 氏(Head of Reactor School
・会場:名古屋大学 NIC3階大会議室 *オンライン参加可
・対象:東海地区の大学に所属する学部生および大学院生
・詳細・申込:https://tongali.net/events/school2023-entrecamp/ 6/26〆切

[8] 第94回名大カフェ「異次元の子育て会議」

完璧な親がいるなら会ってみたい ─ 子育ての課題が山積する今、社会全体で子育てに向き合う時がきています。スペシャルニーズを抱えて暮らす子も多い現代社会において、我々の研究チームは「乳児院」を中心としたケアプログラムの重要性を提起します。子育てに“ 困ったときに困った分だけ協力してくれる”社会を築けるのか。一緒に考えませんか。
・日時:2023年6月22日(木)19:00~20:15 *オンライン
・ゲスト:野々山友(名古屋大学大学院医学系研究科 助教)
・対象:どなたでも
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/research-information/mcafe/event94

[9] 名大研究フロントライン ★ポッドキャスト★

プレスリリースされた研究がもっとよくわかる!インタビュー記事公開中!

・理学研究科 修士2年 山ノ内勇斗さん

・生物機能開発利用研究センター 笠原竜四郎 特任准教授

・工学研究科 宇佐美徳隆 教授、情報学研究科 工藤博章 准教授

・高等研究院/理学研究科 別所‐上原学 特任助教

最後までお目通しいただきまして、ありがとうございました!
■発 行:名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部
■問合せ:企画・プロジェクト推進部門 情報発信ユニット  
■メール:outreach@aip.nagoya-u.ac.jp  電話:(747)6790


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?