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大学の先生から聞いた「必要条件・十分条件」の話

少し前に学生時代お世話になった大学の先生に会った際に面白い話をされたので、忘れないように書いておきたいと思います。

タイトルの通り、必要条件と十分条件の話です。

結論から言うと「世の中たいていのことが必要条件×偶然でできている。世の中に十分条件なんてほとんどない。」という話でした。

必要条件・十分条件と言うと中学か高校の数学で習った記憶がありますが、数学の教科書的に説明するとややこしくなるのでそこは省いて、ここでその先生が言いたかった文脈に合わせて整理すると、以下のような感じ。

・必要条件:何か目標を達成するために、最低限必要なもの

・十分条件:何か目標を達成したいときに、これをやっていれば絶対(十分に)大丈夫というもの

つまり、その先生が言いたいのは「何かの目標を達成したいときに、これをやっていればその目標は必ず達成されるというような要素はない。世の中で成功しているものはたいていが、最低限必要だと思われるものと偶然の掛け合わせの結果で出来たもの。」ということでした。

「コロナ対策だって、どうやったらコロナに感染しないかの十分条件なんて無かった。

必要条件だと思われるワクチンを売ったり、マスクをしたりして、それにたまたま偶然が重なって「感染しなかった」という結果が得られる。ワクチンを打っても、マスクをしても、それでも感染した人もいた。
結果、ワクチンやマスクは十分条件ではないことが分かった。

だから、コロナにかかりたくないと思っても、十分条件なんて探しても見つからなくて、必要条件×偶然でしかその結果は得られない。」とのこと。

ここまでの話だと、まぁ確かにそうだな、世の中に絶対は無いとかよく言うし、と思って終わるのですが、さらに考えさせられたのはそのあと。

「世の中のことは、たいていのことが必要条件×偶然で出来ている」のあとに続くのが、「なのに世の中や会社、あるいは職場の上司は、十分条件を求めすぎる」ということでした。

「新しいビジネスを作るときに、これをやれば間違いないなんていう十分条件は無い。あったらすでに誰かがやっている。必要条件と思われる色んなことをやってみて、それに偶然が重なって、新しいものが生まれる。

なのに、必要条件と思われるものを試す前に、何が十分条件か、なんて考えて、結局十分条件が見つからないためにその新しいビジネスに挑戦しないと判断しまうことが多い。十分条件なんて考えていたら何も始まらない。」

これには、ハッとさせられました。サラリーマンあるあるだな、と。

「企業が新しいビジネスを考えたり始めたりするときには、必ず時間やお金といったコストが伴う。だから本当にそのビジネスがそのコストに見合う価値があるものか、投資したコスト分の利益や成果を生み出せる可能性があるものなのかをよく検討してから進める必要がある。

これは確かにそう。だけど、十分条件があると思って探して、それがはっきりしないからといって新しいビジネスの芽を摘んでしまうことが、会社ではよくある。十分条件なんて考えていたら、新しいことなんて何も始められない。なんなら、そんな十分条件なんてものがあったら、すでに他の誰かがやっている。」

さらに先生の話は続く。

「そしてやっかいなことに『必要条件×偶然』の『偶然』というものは、想像以上に大きな力を持つ。
必要条件が無くても、偶然だけで目標を達成してしまうこともある。コロナで言うと、ワクチンも打っていない、マスクもしていない、そんな人でもコロナにかからないことだってあっただろう。

そんなときでも人は、何をしたから成功したとか考えたくなるし、これが必要条件だった、あれが十分条件だったと、思い込んでしまいがち。

だからそういった事例があった際に、『偶然』の影響力を考えずに必要条件と十分条件を考え、次に新しいものを考えるときにもその知識や経験を活かして行動しようとしてしまう。
これまでの知識や経験を活かそうとするのは悪いことではない。
だけどそれに頼りすぎると、ビジネスでも何でも、新しい挑戦の芽を摘んでしまうことがよくある。非常にもったいない。」

という話でした。普段サラリーマンをしている私は、共感しすぎて終始頷いていました。自分も何を始めるにしても十分条件探しすぎていたな、と。

①何かを達成したいときに十分条件なんてそもそもないから考えなくて良い
②自分が何かに成功したときや、他人の成功談を聞いたときに、何が必要条件で、何が偶然だったのか、冷静に見極める必要がある。

この2つは、生きていく上で覚えておきたいと思いました。

サラリーマンやってたらつい忘れてしまいそうだけど。。。

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