10年ホームビジット事業を続けたら、ソーシャルインパクトのアウトカムが見えてきた
先週末、私が運営しているNagomi Visitに10年前からホストとしてご参加くださっているご家族からご連絡をいただきました。
「今春から娘が楠さんの母校(同じ大学の同じ学部)に入学したので、ゼミ選びの相談に乗ってほしい」との事。
聞くと、娘さんは10歳の時からNagomi Visitで多くの異文化交流を経験してきてNagomi Visitのような観光の形に興味があったのでその進路を選んだと仰っていて。とても嬉しかったです。私の母校ということももちろんそうですし、ホームビジットの影響力をまた一つ実感させていただきました。
そのご家族には、過去にNagomi Visitがテレビ等のメディアで多々紹介されていた時にホームビジット受け入れの撮影にご協力いただいたこともあり、当時から私も娘さんに直接会ったことがありました。
あの頃10歳だった子がいつの間にか大学生になっていて、こんな話をすることになるとは夢にも思わず。2014年なんて自分にとってはまだ「ついこの間」みたいな感覚なのに・・・!
とても嬉しいニュースでした。
そして実は、子どもの頃からのNAGOMI VISITでの経験が進路に影響したというお声は、他にも数名のホストの方からいただいています。
小2の頃からホームビジットで国際交流経験を重ねてきた結果、「日本と世界を結ぶ架け橋になりたい」と行動を起こした現役高校生もいらっしゃいました。
ホームビジット事業のアウトカム
「世界中の旅人と食卓を囲むホームビジット」は、すべての人がグローバル市民として暮らす社会を目指しています。
2011年のホームビジット事業スタート時から、どうすれば個々人のホームビジットでの国際交流経験をソーシャルインパクトに繋げることができるか?という問いと常に向き合って運営してきました。
グローバル市民って?
NAGOMI VISITが考えるグローバル市民の理想像はこのように定義しています。
グローバル市民教育はSDGs ターゲット4.7でも明記されていて、まさに世界中で取り組む課題。
私たちNAGOMI VISIT のHPではグローバル市民の具体的な人物像をかなり細かく描写していますが、ざっくりいうと「日本人」「OO人」 という枠組みを超えて、自らを「地球人」と捉えて国内外の課題に対し他者と協力しながら行動を起こせる人、というイメージがわかりやすいと思います。
お察しの通り、「グローバル市民」って一朝一夕になれるものではありません。1度や2度自宅に外国人が来て同じ釜の飯を囲んで国際交流をしただけでは経験としては全く足りなくて、長年の様々な積み重ねがあって少しずつ育んでいくものといえます。
そしてこの点について私たちは、短期・中期・長期の各段階を踏まえた明確なロジックモデルを持っています。
ホームビジットの受け入れを初めて経験するのが初めの一歩として、まずは3回の受け入れを経験すると視野の広がりを実感される方が多く、その後10回受け入れ程度までで「外国人との交流は楽しい」といったポジティブな態度が形成されます。そして受け入れが10回以上になってくると、ご自身のステレオタイプが毎回修正されたり関心がさらに広がるという経験を重ね、グローバル市民性の大きな柱である「Socio-emotional」が育まれる印象です。 そして最終的な長期的なアウトカムとしてはホームビジットでの受け入れ経験以外の+αとなる多様な経験を重ねることで、グローバル市民として行動するようになる人へと成長していく、そんなロジックです。
進路を選ぶ時って、自分の興味関心やこれからの人生を考えた上で決める大きな決断ですよね。
かつて子どもだった人たちが10年かけて大人になり「NAGOMI VISITの経験が影響して学びを決めた」「NAGOMI VISITでの受け入れ経験で視野が広がったから今がある」という声が現れ始めているのは、ちょうど子ども時代の第一次社会化の時期に家族でホームビジットの受け入れをしたからこその成果と言えるのではないでしょうか。
10年という運営時間の積み重ねで、私たちが考えてきたロジックモデルにある長期的なアウトカムも現実になってきていることを実感します。
この実感があるからこそ、今後さらにNAGOMI VISITという組織基盤を固めてより多くの方にご参加いただけるようにサポート体制を強化していこうと思っています!