睡眠負債と東洋医学

NHKスペシャル「睡眠負債が危ない」は、6月18日(日)午後9時~生放送(NHK総合)
という番組が放送されたそうです。

残念ながら放送があることを知ったのは、すでに放送時間を過ぎてから。

それでも、睡眠負債についてのネット上の記事があったので、そちらを見てみました。


睡眠負債。


日本人の睡眠時間はどんどん短くなっていて、先進国では日本が最短。
とくに日本の働き盛り世代にまん延しているとのこと。


通勤時間や仕事の最中、うとうとしてしまったり、思わぬミスが続いたり、原因が思い当たらないのに疲れやすい、太りやすくなった、場の空気が読めない、勝負に弱い、などというのも睡眠負債が原因に考えられたりするとのこと。


徹夜や短時間睡眠よりも、わずかな寝不足の積み重ねがこうした睡眠負債をひきおこしやすいそうです。

なるほど、普通に寝ている自覚はあるというがある分、慢性的な寝不足を感覚しにくいのですね。


ただ、街中で注意力散漫に自転車を運転している人や、ボーっと歩いている人たちを見かける機会が多いと、年齢に関係なく日本人は一日をちゃんと活動できるだけの充分な回復時間を持っていないのではないかと常々思っています。


睡眠負債の研究では、こうした日常のミスや不都合以外にも、病気のリスクが上がることも報告されています。
※ガン、肥満、糖尿病、認知症リスクの指摘

興味深いのは睡眠の負債は、ちゃんと「返済」できるということ。

返済方法は単純明解。これまでよりも長く寝る、ということ。
返済はコツコツ時間をかけて返していくというのがベストだそうです。

東洋医学では寝不足について、2つ考えています。

1.『過労=(労倦(ろうけん)ともいいます)』
一日の活動に必要な十分な睡眠時間がとれていない。

2.『虚労(きょろう)』
そもそも充分な睡眠をとれるだけの体力がない。


『過労』はわかりやすい睡眠負債のタイプだと思いますし、自覚さえあればリカバリーしやすいですね。
※いつもよりも肉体疲労、眼精疲労、精神疲労を感じたら、いつもより回復時間=睡眠時間は多めにとったらよいですね。

『虚労』は加齢や病後、慢性消耗性疾患をわずらっておられると、長く眠ることができない=眠る体力がないということがおこりやすいです。
じつは「ねむる」ことも体力をしっかり使って、体内の回復作業を行う必要があるわけです。


東洋医学ではこうした『虚労』のようなタイプの人たちに対処する方法を古くから導き出しています。

加齢や病後であれば、気力を高めたり、日中カラダを滋養する働き(食事を食べこなす働き)をたかめることで、活動と睡眠のメリハリがつくようになります。
無理なく日中、カラダや頭を使うことはよい睡眠を迎えるだいじな習慣です。

炎症などを伴う慢性的な消耗する疾患を患っておられる方々は、少しでも炎症などのカラダの興奮する要素を減らすことで、睡眠の質が上がりますね。
また、痛みなどによる過剰なカラダの緊張や精神の不安は、熟睡の邪魔をします。
ぼくは鍼の施術では、痛みと炎症を軽減するお手伝いと、回復=睡眠をうながすカラダの方向付けに気を配るようにしています。

※施術中、痛みが楽になり回復力がたかまると、熟睡される方がいらっしゃいます。
カラダがゆるむこと、休むことを覚えていくと、毎日の睡眠の質は高まりますね。


夜寝付けない、朝方寝ていられない、昼寝ばかりしている、というひとは、「寝る体力」だけでなく「活動する体力」も弱っていますから、適切な対処をする必要がありますね。


こうした寝不足による健康への負担は鍼灸臨床で常々感じています。
患者さんには「第一に大切なことは寝ること、その次が食べることですからね」なんて話をしています。


ちゃんと寝て、よい目覚めを迎えられたら、カラダに自信を持つことができて、一日楽しく過ごせます。
寝るのは大事。


不幸なことや悪いことを考えたり、機嫌が悪くなっているのは、きっと寝不足だからです。
よい睡眠をとって、そんな気分を吹き飛ばしましょう。
※ニーチェもそんなことを言っていたような・・・。
ちなみに、ぼくのお気に入りは「超訳ニーチェ」、です。
わかりやすいし、訳し方が好きです。

博心堂鍼灸院

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