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刺身は切るだけじゃなくて難しい(ところもある)料理だよ 前編

お刺身、お造りと言われる料理がある。
世間では切るだけじゃん、とか素材の良し悪しだけでしょ?とか思っている方もいるだろう。

今回はそんな方に少し知っておいて頂きたい内容となっております。

今回の餌食は伊豆の金目鯛くん

淡路のサバくん

養殖縞鯵くん
下田の鮪氏(性別不明)の四種類である。

さて刺身とはなんぞやというところから今回もいこうと思う。

「魚介類を生食する日本料理の代表的な料理。
膾の一種で、刺身膾と呼んでいたもの。
作り身、お作りともいう。語源は調理した魚の身にその魚のヒレを刺して盛り付けたからとも、切るという語を忌み嫌って刺すと言い換えたとも言われる。
作り方には平作り、薄作り、細作り、角作り、背越し作り、さざ波作り、あらい、湯引き、焼き霜つくり、昆布締めなどがある。
醤油、ポン酢、梅肉醤油、酢味噌、活きの良い肝を混ぜた肝醤油などで食べる。
盛りつけには、野菜や海藻等のつまや、ワサビ、生姜、辛子、大蒜等の辛味を添える。
魚介類の他に鶏肉、牛肉、馬肉、鯨肉、蒟蒻なども刺身にする。」
とある。
思ってたよりも長かった。
しかし切り方や薬味の取り合わせがたくさんあるというのは当たり前の事である。
今回は作り身にする前の冊取りした身をどのように扱うことが重要かという話をしていこうと思う。

皆さんにも分かりやすいように先ずはサバを中心に扱っていこうと思う。
サバを酢で締めるのは寄生虫の都合と思う方もいるだろうがそれは正しくない。
もちろん酢につけるとアニサキスは液体で動き出すので分かりやすくなるため物理的に除去しやすくなるという効果もあるとは思うが。
一番大事なのは酵素の働きを止めてサバの身がヒスタミンを出さないようにすることであると思う。
これによって安全にサバを食べる事ができるので基本的には酢締めにしたい。

そして酢と塩で締める意味としてもう1つ大事な事がある。
余分な水分を抜いて身の食感を理想的な状態にする事である。
生のサバを食べた人はわかると思うがサバは非常に身の柔らかい魚である。
なので塩で水を抜き、酢で酵素を止め、ラップで水分を保持する。
もしくはリードペーパーなどで水分を少し抜く。
こんな微調整をして旨味を増やしながら良い状態を作っていく。
こんな仕事を刺身それぞれに施してるんですね。

ちなみにリードペーパーといってもそれだけでは水を吸うわけではないので普通のペーパーを敷いておいて(濡れているのは消毒用アルコールです)

上にリードペーパーを敷く。
これで魚から出た水が身にもどらないようにできるので良い状態が持続できます。
紙は毎日かえましょう。

続いて金目鯛。皮と身の間が旨いので皮にお湯をかけて柔らかくする。
水であら熱を取り、身側だけ脱水シートを当てる。
金目鯛は深海魚系なので脂もあるが水分も多い。
とはいえ今日のは比較的身がひきしまっているのでほんの1時間も当てればよいだろう。

完全に冷めれば上の写真のように皮を合わせてしまっても良い。
温いと皮同士ひっついてしまうのでわからなければやめておいた方が良い。

続いて縞鯵。
養殖の魚は脂が非常に多いのでそれをどうするかがポイントだと思う。
とりあえず冊取り

した。
皮もとってしまって

両側からリードで挟んで保存する。
この状態でも少し脂が滲んできているのがわかると思う。
長くなったので今回はこのへんにして次回鮪、及びお刺身の切り方に言及する事にさせていただきたい。

ちなみにしまう時はこのような保存用の容器にしまってくださいね。
冷蔵庫の中は乾燥してますのでリードにくるんだだけだとガビガビになりますので、当たり前だけど。

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