槇原敬之を教えてくれたのは彼だった

「やはり私には音楽しかない」
9/6追記:槇原敬之さん活動再開


中距離恋愛中の私たちは、2時間半かけて互いに車で会いに行った。
彼に会える高揚感を一緒に歌ってくれたのも、
彼のアパートを後にする切ない気持ちを慰めてくれたのも、
槇原敬之の歌だった。

彼と一緒に夕飯の買い物をした駅前のスーパーマーケット。
すきま風が吹きこむ鋳物コンロの台所。
凍てつく氷のようなお風呂場のすりガラス。
迫りくる夜の雪山に灯るナイターの明かり。
槇原敬之の歌には、私たちの恋愛模様が上書きされている。

次の休みにあの頃の私たちに会いに行こう。
国道17号線で、二十歳の私たちとすれ違うはず。
今でもあのアパートの窓からは、私たちの笑い声が聞こえてくるだろう。

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