お湯

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最初に断っておきますが、この記事内で議論の結論は出ません。
何か知っている学者・教師などの方がいましたら是非教えてください。


お風呂の中にはお湯が溜まっている。

お湯とは何ぞや。
もちろん温かい・熱い水である。

逆に「水」というと冷たいイメージを受ける。

しかしこの「水」「お湯」を区別する考え方は結構レアなのかもしれない。

「お湯」を翻訳してみると英語ではhot waterだし、フランス語ではeau chaude、ドイツ語ではheißes Wasser、つまるところ全部「熱い水」である。
じゃあ中国語はどうかというと、これまた「热水」。
逆に「湯・汤」は「スープ」を意味する単語らしい。
文法的には日本語の数少ない仲間である韓国語でさえ「뜨거운 물(熱い水)」である。

Google翻訳でぱっと出てくる主要な言語を全部試してみたが、すべて「水」を意味する単語が含まれる表現だった。

まあ、お湯は当然H_2Oだし、水を適当に修飾してやるのが妥当な気がする。


とすると次に出てくる疑問は「なんで日本語では水とお湯を区別するんや」である。

漢字については現代中国語でも「湯=スープ」なのだから、まあ「湯」という漢字に熱された水という意味が添えられるのは納得できるが、なぜ、それを「ゆ」と読むのか、ということである。

さっと調べてみると、万葉集の巻第十六に

刺名倍尓 湯和可世子等 櫟津乃 桧橋従来許武 狐尓安牟佐武

とある。
「なべに ゆわかせ」とあるので、多分「湯」の意味は現代の「お湯」と同じだろう。
キツネに熱湯を浴びせてやろうとかそんな感じの歌。アチッ

えらい昔から「お湯」は「水」と区別されていたようである。


とすると次は「ゆ」の語源を調べてみる。

語源由来辞典」では、「出づ」や「湧」の派生であるとする説や、「ゆるむ」から来ているとする説が紹介されている。

またTOTOのホームページには

「湯」の語源は「斎(ゆ)」で、神聖・清浄であることを指すことから、「湯」は水浴などによって身体の汚れを除き、心身を清潔で清浄な状態に保つことを意味しているといわれています。

と書かれている。
まあこんなありふれた一般名詞の語源なんてどこまで調べても諸説ありそうだが、「ゆ」の背景にはどうも温泉の存在がありそうだ。
(温泉がありそうなアイスランドではheitt vatnだったが…)

温泉が身近にあって、かつそれが特別なものだとされていたから、日本人はただの「水」と「お湯」をはっきり区別するようになったのかもしれない。


……書き疲れたので風呂入ってくる。

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