「声が低い男子にカラオケでオススメの曲!」と言ってBUMP OF CHICKENを勧めるのをやめてほしい

僕は声が低い。

当然、歌声も低い。
「男性 音域」で検索して「平均的な上限はmid2Gです!」とか書かれているのを見て絶望している。

逆に低い音域は安定して出るため、カラオケでの十八番は自然と宇宙戦艦ヤマトになる。
全国平均89点に対して93点とか出る。
ほかにも寺尾聰の「ルビーの指環」とか水谷豊の「カリフォルニア・コネクション」などの昭和歌謡も良く歌う。
21世紀生まれなのに。

平成以降のJ-POPも歌いたいので、歌いやすいキー変更を探したり女性の曲をオクターブ下で歌ったりするが、それでもやはり原キーで歌いたいのでギリギリ歌える曲を探したりする。

その過程で「カラオケ 低い曲」とか「声が低い 歌える曲」で検索することがよくある。
Googleさんは優秀なので、これだけのキーワードでもそれっぽくまとめてあるサイトに連れて行ってくれる。
このおかげで福山雅治や星野源のギリギリ歌える曲に出会えた。

さて、そんなサイトを見ていると必ずと言っていいほど掲載されているアーティストがBUMP OF CHICKENである。
めちゃくちゃ追ってたりするわけではないが、キャッチーなメロディーと不思議な歌詞の曲が多く、個人的に好きなアーティストの1組だ。

確かに、BUMPがいわゆるハイトーンで歌うことはない。
だいたいの曲の音域がレミオロメンの「粉雪」以下に収まってくれている。
それでいて明るい曲調で盛り上がる曲が多いので、ハイトーンが使えない男子にオススメされる理由はよく分かる。

しかし、本当に声が低くて悩んでいる人間にとっては、実はBUMPの曲はめちゃくちゃキツい。
その理由をいくつか紹介する。

①サビが中高音域の連続

1つ目の理由はサビの音程である。
確かにBUMPの曲は低い部分は低いので、盛り上がりが来る前のAメロは楽しく歌えることが多い。
しかし、サビに入った途端低音は消滅する

例えば、「アルエ」という曲がある。
この曲のサビの音程はほぼmid2D#とmid2Dで構成されている(この辺の音程は逐一ピアノで確認しながら書いてるので間違ってたらごめん)。
この音階というのは先述した「宇宙戦艦ヤマト」の最高音と同じであり「出せる」高さの音に分類される。
しかし、出せるからと言って歌えるわけではない。
「宇宙戦艦ヤマト」の場合は「ヤーマートー」の「ヤー」の一瞬のみなので腹に力を込めたらちゃんと歌えるが、「カルマ」はなんとこれがサビの始めから終わりまで、16小節以上も続く。
喉も腹も息も持たない。

「アルエ」のみならず、「天体観測」も「Hello,world!」も「車輪の唄」も、メジャー曲はだいたいこんな感じである。
サビに入った途端になんというかレベルがワンステージ上がるのだ。

②休符と間奏がない

「カルマ」という曲がある。
この曲の最高音はmid2F#であり、福山雅治の「HELLO」という曲と同じになっている。
しかし、音域は同じなのに「HELLO」の方が圧倒的に歌いやすい
この理由は「カルマ」の忙しさにある。

「HELLO」の一番キツいところはサビの「恋が走り出したら」「君が止まらない」の部分であるが、この部分のあとには全休符が用意されている。
その間に喉の緊張を緩め、息を吸って腰を据え直すことができる。
しかし、「カルマ」のサビにはそんな悠長な休みはない。
「必ず」の音を伸ばしたら、間髪入れずに「僕らは出会うだろう」がやってくる。
そのあと「同じ鼓動の音を目印にして」を何とか走り抜けたら、再び最高音の「ここにいるよ」である。
さらに、この酸素の薄いサビ地帯を抜けると、1拍だけ置いて2番が始まる
なんというかシャトルランをさせられている気分になる。
死ぬ。

 

 

こんな理由があるので、BUMPは全然低音男子には優しくないのだ。
とはいえ、いつまでも「何か歌えそうな気がする」アーティストであることに変わりはない。
頑張って歌えたら楽しいし。
たまに体調が良くて歌えたりするとめっちゃ気持ちいいし。
永遠に「歌えるようになりたい」という目標になる存在である。

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