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策士策に溺れる しまなみ海道 自転車紀行  #旅の栞

順調な滑り出しであった。

朝一番、開店と同時に、自転車を受け取る。ヘルメットをかぶり、あごひもをカチリ。

ふふふ


今治駅いまばり構内にあるレンタサイクル、GIANTジャイアント。前日のことであった、早めに宿に到着した我々は、今治駅を散策ついでに、今日の受付(自転車の調整)を前もって済ませていたのだ。よし、これなら船の時間に間に合う。

本日の予定は、こうだ

今治港から2つ先の島、伯方島はかた木浦港きうらまで、自転車を船で運ぶ。伯方島を走り橋を渡って、手前の大島へ。その後、大島の友浦港ともうらから今治港まで戻ってくる。
伯方島の南側と大島の北側を、ちょろっと走る計画。走行距離20km弱、無理せずのんびりと回る計画。


しまなみ海道

なぐなぐツーリスト(なぐツー)は、前回に続き、しまなみ海道からお送りしまーす。

しまなみ海道について、説明しよう!
広島県の尾道市と愛媛県今治市、瀬戸内の島々(芸予諸島)を結ぶ高速道路。四国と本州を結ぶ高速道路3つのうち、一番西側のやつだ。

しまなみ海道の特徴は、島と島を結ぶ橋に(高速道路なのに)側道があることだ。側道では、自転車と歩行者、そして原付も往来することができる。画期的な、高速道路なのだ。



サイクリスト憧れの地

風光明媚な橋をチャリで走れる。世界中のチャリダー(サイクリスト)垂涎の地なのだ。ここへ旅に来たら、走るしかないでしょ。

しかし、おじさんとおばさんの二人組には、全行程制覇(70km)はキツイ。そこで、数日にわけてその一部だけをチョロっと走る、おいしいとこ取りしようという魂胆だ。

瀬戸内は、海洋交通も発達している。橋と船をハイブリッドで使おう。完璧な計画だ。

ハハハ!

昭和感漂う今治の市街地を、颯爽と自転車で走り抜け、今治港に到着。切符を買おうと券売機へ


満席・・



計画破綻 

ハハハ ・・


どうしよう・・・妻と見つめあう。

若かりしときは、見つめあうのはドキドキ幸福感いっぱいなときであった。が、年を重ねた今日、見つめあうのは、ドキドキ絶望感いっぱいな場面である。

しゃあない、ここから一番近い島、大島の北端を目指そう。もともと行きたかった場所があるのだ。そこまで走ろう。

念のため、窓口で帰りの船について確認すると、その船は、遠くの島からアイランドホッピングしてくる。友浦港は、その最後の寄港地なので、満席の可能性が高いとのこと。(予約も不可とのこと)


ええい! いくぞ!



オイラの相棒(中央)と、妻の相棒(右端)
相棒たち、頼んだぞ!


今治市街の、幹線道路を北西に抜け、
あっという間に、大島へ渡る橋(来島大橋くるしま)へ


うひゃー 気持ち良すぎー

橋上から島々を眺める
中央は、小島(おしま)


華麗なるカレイ山を目指す

大島の中央を走る国道317を北上するのだ。まず、目指すは宮窪みやくぼという場所。

おっとその前に、おやつたーいむ

今治駅構内のコンビニで手に入れた、出来たてホッカホカの紙包み。今治の老舗(武田屋)の八幡饅頭だ。

6個入りかと思ったら、16個入り(驚!)
道理で、包装紙が膨張したバッテリーのように、パンパンになっているわけだ。形が潰れるほど、ぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。

ぱくり

黒糖餡の優しい甘み。ほっとする味わい。
慣れないサイクリングの疲れが、癒される。染み渡るうまさ

この時は、のちに救いの神、八幡饅頭さまと呼ばれることも知らず、2個ぱくりと口にほうばる、オイラなのであった。


◇◇


ふぅ

ついに、海が見えてきた。

大島を縦断できた。
もう少しで、宮窪だ。


左手奥の大きな島が鵜島
重なるように左手前が、あの能島、その右側が鯛崎島


『村上海賊の娘(和田竜)』を読むと、能島のしま鯛崎島たいざきじまは、橋で繋がっていたらしい。

ぼーっと眺める。
ここに来たかったのだ。

この能島に、村上海賊のひとつ能島村上の居城があった。こんなちっぽけな島、攻められたらイチコロ

じゃないのだ

動画、チラ見せしよう。
実景は、もっと迫力ありまっせ!


自然の要塞 まさに、敵を寄せ付けぬ島。
波の音とは思えない「ゴー」という音がずっと続く。刻々と向きを変え、渦を巻く潮の流れ。どうやって近づけばよいのか皆目わからない。見ているだけで、たまきんが縮みあがる迫力だ。

ゴーっと音を立てる海流を眺める我々
そして、堤防に立つ釣り人がひとり。G.W.とは思えない不思議な静寂だ。

実は、ここまでの走行距離、約22km

あれ? 

本日予定していた総走行距離は、もともと20kmだったはず。
しかもまだ、往路の途中・・・

◇◇

さて、次に目指すは、近くのカレイ山だ。GoogleMapで調べると、徒歩55分と出てきた。ルートは二つ。ひとつは、いま来た道を戻って、途中でカレイ山との分岐道から入るルート。もうひとつは、この岬をぐるっと反対側まで進み、カレイ山の反対側から進むルート。どちらのルートも、ほぼ同じ55分だ。

であれば、同じ道を戻るのはイヤだ。
進むのだ。

徒歩で、55分であるなら、自転車なら、30分。いや、20分もあれば着くだろう。ただいま正午ちょうど、12:30には、昼食にありつけそうだ。

よし、行くぞ!


目指すは、(写真には見えないが)左手のいただき。あの橋のムコウから、カレイ山に回り込むのだ。


ただ、本来ならあの橋を渡って、伯方島からここへ来る予定だったんだけどなぁ・・


地獄のロード

この時、我々は重大な失敗を犯している事に
気づいていなかった。

この先に、地獄のロードが待ち受けている事を・・・


そして、さらに、
ミスを積み重ねてしまうことを・・



(つづく…)


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