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ぺりりゅー

私が、初めてこの島(ペリリュー)の存在を知ったのは、約二十年前の西暦2000年。世の中は、ノストラダムスの大予言が成就せずホッとしていた時。そして、20世紀最後の年(ミレニアム)で盛り上がっている時であった。

我が「なぐなぐ一味」は、夏休みのタビ先を探していた。息子は3歳(当時)、航空運賃がタダになる最後の年、チャンスを無駄には出来ない(笑)
探した結果、「安い・早い・うまい」、3拍子揃ったタビ先を見つけた。

パラオだ。

我が家のタビは、「外角低め」。色んな経験をしたい、させてあげたい。豪華な客室やプールよりも、食文化をはじめとする、現地の方との交流や風土に触れたい。と、思っていた。

◇◇

旅行ツアー代。確か、当時の価格で、ななきゅっぱくらい。(息子はタダだったので)家族で15~16万くらいだった記憶がある。しかも、朝晩の2食付、五日間の南の島タビでこの価格は破格であった。直行便で4時間。時差も無い。こんな絶好の場所ではあったが、「地球の歩き方」も「るるぶ」も発行されていなかった。「パラオ」は、ダイバーだけが訪れる場所であった。


いや

そうではない

訪れる方々がいた。


なぜ、夏休みに日本航空のチャーター機が飛んでいたのか

なぜ、子連れがほぼ我々だけ、年配者が多数を占める機内だったのか


その理由は・・・




◇◇

2000年当時は、パラオに関するガイドブックは皆無。夏休みの家族タビ、申し込んだものの、一枚ぺらの旅行パンフレットだけでは心もとない。文化風土歴史に関すること、情報を得ようと、ミクロネシアに関する書籍を捜し歩いた。

そこで、知った事実は、学校でも家でも、誰も教えてくれなかった史実であった。パラオは、太平洋戦争の激戦地であったのだ。
しかも、

戦っている最中
意味がなくなってしまった戦いであった。

これほど悲しい戦いがあるだろうか


そして、この漫画
デフォルメされた3頭身キャラが登場するが、凄惨さはデフォルメされていない。

久しぶりの大人買い11巻を一気読み。

改めて、2000年当時、飛行機に同乗していた「遺影」をもった方々を思い出した。そして、泊まったホテルの裏山に残る 高射砲 や、ちびっこが遊んでいる広場の片隅に横たわる、米軍戦車。撃ち落された ゼロ戦の残骸。そして、道脇から我々を睨みつける 機関砲。

次々と情景を思い出す。


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戦後50年経った2000年になっても・・・こんな状態なのか・・当時、現地でみた有様ありさまは、衝撃であった。


あれから、さらに20余年たった今日こんにち

忘れてはいけない史実。
私自身にそれを、思い出させてくれた、良書。


本書は、右でも左でもなく、親日でも反日でもない、タブーもない、主人公「田丸」の目線で淡々と描かれる激戦地での『生』との闘い。司馬遼太郎やキングダムと同じく、史実をもとにしたフィクションとして描かれている作品だ。


◇◇


そして、やはり「タビ」は大事。
現地にいこう。現地の風を感じよう。木を触って感じよう。

再び、今のパラオに触れてみたくなった。


コロナ禍の終息、
そして、未だに現地に眠る方々に祈りを込めて・・・


(おしまい)



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