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『かさなり』

空は高く、うっすらと澄んだ水色と、うっすらと広がった白が秋の訪れを感じさせてくれる。

彼と知り合って3ヶ月。

公園のベンチで他愛もない話をするのが定番のデートコースになった。

私の隣で優しく足を組む姿は、二人の関係が近付いていることを証明しているようで思わずにやけそうになる。


たまに吹く風に乗って、いい香りが私の鼻をかすめていく。

香水?それとも柔軟剤?

どちらでもよい。

どちらでもよいのだけれど、どちらなのか自然とわかる日が訪れたらいいなぁ、などと幸せな未来を想像してみる。



あれから一年。


一つの洗濯機で二人分の洗濯をするようになり、私も彼と同じ香りをまとうようになった。

なぜだかわからないが、ふと優越感が込み上げてくる。
誰に対するものかはわからない。
あえて言うなら過去の自分、だろうか。

誰の目にも見えないこの幸せを、ガラスケースに閉じ込めてカタチとして残したい。
つい、そんな風に感じてしまうことがある。

一方で、目に見えないからこそ、この幸せの感覚を味わえるのは
この世で私だけであるということに尊さを覚えたりもする。


これからはきっと、この香りに慣れていってしまうのだろう。

惜しいけれど、それはつまり二人の人生の重なりをふんわりと、しかし濃厚に表現してくれるだろう。

でもせめて、洗濯物が少し強くなびいた時には、あの公園で願ったことを思い出して初々しい気持ちとともに、にやけたい。




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