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「関わらない」という貢献

私が高校生の時に学校で開かれた、薬物防止に関する講演会についての話です。
内容は薬物の種類や怖さについてだったと思うのですが、正直覚えていません。
というのも「薬物なんて私には関係ない」と思っていたからです。
講演会が終盤に差し掛かった頃、講師の方が「みなさんは薬物なんて自分には関係ないと思っているかもしれませんが…」と切り出しました。
まさに私の気持ちを言い当てられてどきっとしたのですが、この続きはどうせ「関係ないと思っているかもしれませんが、いつ関わってしまうかわからないので気を付けましょう」的な流れになると思っていました。しかし私の予想は大きく外れました。


「関係ないと思っているかもしれませんが・・・ずっとそのままでいてください」


その言葉で私は一気に眠気が覚めました。
ずっと無縁でいることが、私にできる一番の貢献なのだと気付かされたからです。

きっとこの講師の方は他の学校の講演会にも呼ばれ、みんながつまらなそうに聞いているのを何度も見てきているはずです。でもこのテーマに関してはそれが正解であり、逆に目を輝かせて真剣に聞かれても困るはず。
ただ危険から身を守るために最低限の知識はあった方がいいということで色々お話してくださったんだと思います。
そしてみんなには薬物で辛い思いをしてほしくないという、この方の願いが最後の一言につまっている気がしました。
物事には色々な関わり方がありますが、無関心や無関係であり続けることが大事なこともあるんだなと新たな気付きを得た講演会でした。


もちろんこの講師の方のように薬物をなくすために仕事として関わる方はいますが、そもそも世界中の人がみんな薬物と無縁の生活を送れば解決する問題なんだということが当時の私に衝撃でした。

この講演会から何年も経ちましたが、「薬物なんて私には関係ない」と思っていた当時の気持ちのまま今も過ごしています。そしてこれからもずっとそうやって生きていくんだと思います。

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