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アール・ド・ヴィーヴル 09 ベルリンのミッテにて・2019年の旅

都市には、都市ならではの愉しみがある。
ロンドンにはロンドン、NYにはNY。アムスやチューリッヒも僕たちのお気に入りの都市だ。

東京は、東京オリンピックを前に、安全都市世界一になったと自慢げだが、長年暮らしてきた実感から言えば、危なさがなくなった分、ちょっとキラキラした気分が少なくなった。

千年に一回くらいしか起こらないと言われるビル増築ラッシュも、手塚治虫とかが描いたSF的未来と縁遠いし、かと言って、緑豊かなエコトピアに変身しているわけではない。
あいかわらず原発にエネルギーは依存しているし、繰り返しやってくるカタストロフに対して無防備なまま。
経済的にも綱渡りの中の虚栄は変わらない。

2人が好きな都市に、最近になってベルリンが加わった。

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そうだ、ヴェニスを忘れてるよ。いや、サンセバスチャンも忘れてる!
スペインやポルトガルがまだ入っていないし、フランスはパリ嫌いで南仏好きだけど。また出逢いがあるだろう。

昨日はベルリンから電車に2時間近く乗って、デッサウに行った。
2019年がバウハウス100周年で、ドイツではワイマールやベルリンでも記念のお祭りをやっている。
3月末にベルリンに来たときは、まだバウハウス祭は始まっていなかったので、アムスのunseenフォトフェスティバルに行く途中に、たち寄ることにした。

ロンドンでスタンリー・キューブリック展やオラファー・エリアソン展やらを見て飛行機で移動。
ロンドンは美しい初秋の青空に恵まれていたが、移動日は曇天になった。小雨も降りだした。

S- 僕はお天気男だから、ベルリンに行ったらまた晴れるさ。
N- 念力出してね。

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あっという間に飛行機はテーゲルについて、ミッテのサーカスホステルに宿泊、なんとお気に入りのアートブックストアーのSODAと、いかにもうまそうなオーラを出すパン屋の間にホステルはあった。

地下鉄の便もよく。さすが渚の宿選びは冴えている。

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レセプションのスタッフたちもかんじがよくて
チェックインした後、部屋に入ったら、一番上のアパートメントタイプの部屋で、広く、デザインも気がきいていて、これで二泊で3万円とはおどろきの安さである。

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ベルリンは、僕らにとってなんとも「いごこち」のよさナンバーワンということになる。(ロンドンやチューリッヒはもちろん、アムスだって最近はホテル代がやたら高くなった)。

僕らは外食も好きだが、旅先でもイエノミ、イエタベしたいので、渚がアパートメントホテルでリーズナブルなところを選ぶのだ。

N- サーカスホステルは、アタリだったね。
S- ドイツはなにからなにまで、徹底的に「リーズナブル思考」だから、フツーのラグジュアリーを求めている人は、この都市が嫌いかもしれない。それをお求めの方は、パリに行ってください。ベルリンはおすすめしません。

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ホステルで朝ごはんを作って食べ、デッサウに向かう。

デッサウには、ベルリンのハウフトバーンホフから電車。
僕らの旅は、安あがりだから、指定席もとらないし、時には各停も使う。
(そのお金を晩飯と美味いお酒に!!)
デッサウの駅から歩いて15分ぐらいのところに新生バウハウス美術館はあった。

清潔で快活な街ながら、やはりそこはドイツ。味もそっけもなくドイツなのだ。歩きながらの会話。

N- 来る電車の中にもおしゃれした人は全くいなかったよね。きのうの地下鉄の中も。
S- なにせ単年で国家経済が黒字になるくらいだからね。まったく無駄がない。あ、あれが美術館か。シンプルにもほどがあるなー。

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N- 意外とすいてるね。火曜だからかな。

2人は中に入っていそいそとチケットを買う。「1時間限定」と、チケットにはある。
はたしてバウハウス100年を1時間で見れるものか。入って2階が展示会場で、3パートに分かれる。以下の会話は、一回見終わって、休憩中のもの。

N- 100年前にこれだけの才能ある人を男女集めてアートとデザインの学校をつくろうとしたって本当にすごいと思う。

S- それも視覚アートだけじゃなくて、オスカー・シュレンマーのボディワークから、織物や家具、建築まで、フルスペックでそろってるわけだからね

N- 生活様式をすべて変えてしまおうというヴィジョンがあったってことだよね。なんでこんなことが100年前におこったのか。

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S- それは時代が「革命」にとりつかれていたこともあるだろうね。それまで大名の藩みたいな国が民族国家になって、なおかつ共産主義や全体主義に向かう。頭脳のモダン化が、人類を目覚めさせたんだろうね。
コルビジェだって、藁葺屋根の家からガラス張りまで、一代で行っちゃうんだから。
バウハウスに集められた連中は皆、単なるアーティストじゃなくてヴィジョナリストなんだよ。
居住革命家にして預言者たち。

N- 展示を見ても、何ひとつとして古いカンジのものがない。今見ても、最新っていうか、今のもののほうが古いかも。

S- 何が好きだった?

N- 照明器具、織物、クレーの授業レッスンのノート、いろいろね。

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S- 僕はカンディンスキーかな。飛行機の中でも彼の本をひろいよみしてたんだよ。

N- なんで抽象みたいな、目に見えないものを見えるようにしたいと固執したのかな?

S- アブストラクトというのは、リアルなものなんだと彼は考えていた。今回の旅はテートのオラファーエリアソンもそうだったけど、インリアルライフなんだって、やっと100年たってバウハウスとオラファーがシンクロしてるのが面白い。
でも、世界はAIによるすべての「実存」が計算可能な世界に向かっているのに、本当に必要な「思考」はバックミンスター・フラーみたいな「シナジー思考」だってことだね。

N- また難しいこと考えてるね。でも、カンディンスキーもクレーも、ほかの先生たちもみんな、すっごく「スピリチュアル」だね。

S- そう。バウハウスは100年前のステップボードで予告編だったと思う。それをまじでやるのが2020年以降だと僕は強く思うよ。

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僕らは、午後2時の帰り電車に間に合うことに気が付いて走って駅に向かう。以下は、飛び乗った列車のなかで。

N- 今からどうするの?

S- レコード屋のstaalplaatで、レコードと本を物色したら、うまい酒が飲みたいよ。

N- ちゃんといい店調べといたよ。ゾンネンアレーっていうところにあるBEUSTERっていうバー。(検索した写真を見せる)おいしそうなカクテルがそろってるよ。

S- じゃあ、そこへ行こう。

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2人は街じゅうがグラフィティで描きまくられた街を散歩する。夜一人なら全くおすすめできない。昼から酔っぱらったおちこぼれのオッサンやら、あやしい若者たちがたむろするけど、赤ちゃんの乗ったバギーを押したアラブ人のファミリーも混在する。
東京には、こんなエリアはない。

どこもつるつるで、グラフィティに1つも地下鉄には描かれていない。全く殺菌された街。
異質なカルチャーが混在するカオスはもはや東京にはまるでない。いや、日本はどこもAEONの街になってしまって、妖しい熱を発する場所はなくなってしまった。

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ベルリンにはちらほらコミュニティガーデンもあって、人々が植物の世話をしたり、子どもが遊んでいるのも見かけた。

さて、ここからは渚によるBEUSTERのその夜のバーメニューの解説といこうか。


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N- さて、わたしのお酒はメニューのいちばん上の(たぶんおすすめの)カクテル、BEUSTER MULE ミドリ色のさわやかなカクテルで、するする飲める。

Sのは、SPICED PALOMA、なんとグラスのフチに七味唐辛子がまぶしてあった。
ご飯は迷ったけど、ステーキタルタルと、コールスロー。

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コールスローサラダかと思ったかけど、ぜんぜん違った!コールスローの上にスモークサーディンと赤玉ねぎ、この組み合わせ、とても新鮮だったよね!


ステーキタルタルも予想外にフリッツが添えられてて、これがわたしの大好きなタイプ(細切りのフレンチフライ)だった。タルタルも、赤身でさっぱりしておいしかったし。
全身入れ墨だらけの鼻ピアスしたお姉さんのスタッフも、かっこよかったし、料理もドリンクもすべてがおしゃれ。
お酒もすすんじゃって、おいしいと聞いていたドイツのロゼワイン、「フレゼ」をおかわりしちゃった。

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いい夜だった。入ったときは雨が降り出してたけど、出たら晴れた夜空。きょうの晩ごはんは「今宴の美味」としてFBにあげる価値ありだった。

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LINKS…

サーカスホステル

https://www.circus-berlin.de/


SODA


バウハウス・デッサウ

https://www.instagram.com/bauhaus_dessau_foundation

ベルリンのレコードショップ


BEUSTER







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サンキュー(繁雄)
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編集者でクリエイティブディレクターの後藤繁雄と渚。 夫婦2人の「旅と暮らし」をつづります。 夫65歳、妻41歳。 https://www.youtube.com/channel/UCxnUXuFX0if8uN1II_pLihg/featured
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