紫陽花・半夏生・夏越の祓
6月第5週の食とココロの処方箋。
・土が酸性になると紫陽花は青に
・半夏生(はんげしょう)の疲労回復にはタコを
・「夏越の祓(なごしのはらえ)」の茅の輪(ちのわ)くぐり
梅雨時らしい天気が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
紫陽花の綺麗な時期ですね。
「今月の色」、6月は紫陽花の色に注目してみました。
紫陽花といえば、水色、青、紫、白などが思い浮かぶでしょうか。
和の色には、「紫陽花青(あじさいあお)」という色があります。
「青」とついていますが、藤のような薄い紫色のような色です。
藤の紫よりも、もう少し青みがかった紫陽花青。
実際には、紫陽花の色は、土の酸性・アルカリ性の度合によって変わっていきます。
日本では雨の多い季節、雨の成分によって土が酸性に傾くので、青い紫陽花が多いのだそうです。
色にも注目してみると、雨の日の通勤も少し楽しくなりそうですね。
《コーナー①》
最初のコーナーは、「四季折々の食事と健康」。
この番組では、「医食同源」をテーマに、日本の四季と旬の食べ物・その季節にお勧めの食べ物を紹介していきます。
今週の暦です。
一年を24に分けた二十四節気と、さらに三分割して72に分けた「七十二候」をご紹介しています。
二十四節気は、6月21日から7月6日まで「夏至(げし)」。
この期間の初日、2021年は6月21日が「夏至日」とされ、北半球では一年で一番、昼が長く、太陽が最も高くなる日です。
暦便覧には、「陽熱至極(しごく)し、また、日の長きの至りなるをもってなり」と書かれており、太陽の力が一番強いとされています。
ここからは冬至に向かってだんだんと日が短くなっていく、陽から陰への切り替わりのポイントでもあります。
夏至の日は、日の出と日の入りが最も北寄りになるので、北へ行くほど昼の時間が長くなり、北緯66.6度以上では1日中太陽が沈まない白夜となります。
南半球では、反対にこの日に一番昼が短くなり、南極圏では一日中太陽が昇ることのない極夜(きょくや)となります。
北欧などでは「ミッドサマー・夏至祭」として盛大に祝うそうですね。
七十二候は、6月26日から7月1日まで夏至の次候「菖蒲華(あやめ はなさく)」、あやめの花が咲き始める頃。
そして7月2日から6日までは、夏至の末候「半夏生(はんげしょうず)」、半夏・別名「烏柄杓(からすびしゃく)」が生える時期です。
半夏・烏柄杓は、毒のある植物ですが、生薬でもあって、半夏厚朴湯、半夏瀉心湯などの漢方薬は、現代も広く使われています。
紛らわしいのですが、名前の似ている「半夏生」という植物も別にあるんです。
葉っぱの一部分だけが白くなって、まるで半分だけお化粧をしたように見えることからその名前が付いたと言われています。
半夏生は夏至から数えて11日目、2021年は、7月2日。
七十二候であり、雑節の1つでもあります。
雑節は、農作業の目安としても大切なものですが、半夏生は、田植えを終える時期の目安とされていました。
梅雨も後半のこの時期より遅くなってしまうと、稲が十分育たず、収穫がままならないので、遅くても半夏生までには終えるようにしていたそうです。
「半夏生」の期間は、「天から毒が降り、地から毒草が生える」と言い伝えもあったとか。
半夏生には、関西ではタコを食べる風習があります。
植えた苗が、吸盤のあるタコの足のように、しっかり大地に根付くように、神様にタコを捧げて食べたと言われています。
日本は、世界一タコを食べる国というのをご存じでしょうか。
一部の国では「デビルフィッシュ」と呼ばれて嫌われるほど、タコを食べる国は少ないそうですが、健康への関心からアメリカなどでも消費が増えつつあるそうです。
タコは、タンパク質が多く、疲労回復効果のある「タウリン」が豊富です。
タウリンと聞くと栄養ドリンクを思い出してしまいますが、梅雨の時期や夏に食べると、夏バテの予防にもいいのではないでしょうか。
田植えが終わった半夏生の頃に食べる習慣は、栄養面から見ても理にかなっていますね。
他にも、ビタミンB12や、亜鉛などのミネラルも含まれています。
お刺身、酢の物、マリネ、カルパッチョ、和え物、煮物、唐揚げ、タコ焼きなど美味しい食べ方がたくさんありますので、夏バテ予防に取り入れてみてはいかがでしょうか。
産業医 櫻庭千穂
レインボータウンFMオンエア中 「食とココロの処方箋」
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