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平凡な日々にスパイスを。

人生ではじめて、男の子を呑みに誘った。

彼はバイト先の後輩で、私に好意を寄せてくれている。
なんとなく彼が気になっていた。目で追ってしまう、何を見て、何を考えているのか知りたい。そう思ったのが誘ったきっかけだ。

図書館で待ち合わせして、店に向かった。彼が少し緊張しているのが雨上がりの湿った空気と一緒に感じられ、くすぐったい気持ちになる。私も緊張していた。
彼は、よく笑う。呑みながら色々な話をした。バイトの話、趣味の話、過去の話。全てが面白くて、2人でずっとお腹を抱えて笑いあっていた。
新しい人と出会い、その人を知っていくことはこんなにも嬉しいものなのか。心が踊る。私のことも知って欲しい。閉店時間まで呑み、彼は家まで送ってくれた。

私がかなり呑んでいたこともあり、家で世話を焼いてくれた。私は彼に触れたかった。ふわふわと回らない頭で私は彼に抱きついて寝てしまった。朝になった。彼は一切手を出してこなかった。そんな彼に不満と安心を覚えながら一緒に授業を休んだ。

昼を過ぎても私と彼は布団で寝ていた。ようやく起きて、トランプをしながら、また語り合った。
15時が過ぎてようやくお腹が空いた私たちは、オムライスを作り頬張った。
異常に美味しく感じたあのオムライスはどんな魔法が込められていたのか。
また、トランプをして、語り合う。
お互いの共通の趣味が本であった。
東野圭吾の「秘密」を私は彼に貸した。
気付けば20時になっていた。ここでようやく解散することとした。
24時間以上一緒に居たにも関わらず、充実感と安心感、また会いたいという気持ちが高まってしまった。

今日あったことは2人の秘密にしよう。と彼と約束した。私たちだけの記憶の中で収めておきたい。
誰かに汚されたくは無い。

私の、平凡だけど幸せな毎日にスパイスが加わるような、そんな予感がした。

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