vs透明人間

透明人間になりたい。

大迷宮に足を踏み入れてから、気づかないフリして滅多刺しにされてることを知る。人間は怖い。
権力をもって弱さに漬け込んで、到底敵わない人間相手に平気で暴力を振るう。
それでも愛されないと生きていけないわたしたちは、血をたっぷり吸い込んだスポンジみたいな形をして毎日絞られくたばり、果てている。
ごめんなさい、なんでもないよ、許してください、が日課になって、それでも自分に興味がないから「そんな自分」を与えてくれる存在に依存するしかそれを潤す術を知らないのだ。
仕方ないと我慢すればまた知らない自分が生まれて、知らない自分がいることで一人ではないと安心する。わたしもまたそんな嘘つきに魅入られた一部にすぎない。
今はなんでも言うこと聞くから、お金もいっぱい払うから、私に生きていることを教えてください。傷ついてることに気付かないほど、いっぱい傷つけてください。
可哀想な自分を眺めている分には、私自身は可哀想じゃないんです。こうやって今日も自分を愛している。わかるよね。
本音なんて言わせないでね、透明人間なんだから。嘘もあっさり透けてみえちゃうね。

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