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【18歳になる君へ】生まれるという事

【生まれるという事】

長女はもうすぐ18歳。
そして、私も母親になって18年。

育児=育自

親は子どもを育てているようで、子どもに親は育てられている。
この言葉は、長女がいなければ知る事がなかったのです。

大人は偉くて、親は偉くて、「誰がお金を出して、育ててやっていると思っているんだ」何度聞いた事か。

言いたい事も分かる。
言いたくなる気持ちも分かる。
子どもの立場で考えるとその通りだとも言える。

「お客様は神様だろう?」という言葉を振りかざして、好き勝手思い通りに、やっていいのだろうか。
「お客様は神様」という言葉は、お店側の立場で考える言葉だ。

少しこの言葉に似ていると思ったのです。

私はその言葉を聞く度に「産んでくれなんて頼んでいない」と思っていた。
もしかしたら、言ってしまった事もあるかもしれない。

そんな幼少期〜10代を過ごしていた事もあり、長女が生まれた事でガチガチに固まった、それまでの私の固定観念が剥がされていくのを感じたのです。

自分から産まれてきた長女に救われた。

大袈裟かもしれない。
でも、今の自分がいるのも長女のおかげなのです。


■あの映画と名前と想い

『世界の中心で、愛をさけぶ』や『NANA』など、私の高校生活は小説、マンガ、アニメ、ドラマ、映画など、たくさんの作品の影響を受けて、高校生らしい高校生をしていたのです。

今の高校生に流行りがあるように、私も時代の流行りに乗っかっていた。

私が高校3年生だったと思う。
当時、付き合っていた彼(元夫)と映画を見に行った時、登場人物の描写やセリフに何かを感じ取った。

映画を見終わった時に「この人と結婚するな」という気持ちと、「子どもには、この登場人物の名前を付けるだろう」と、思ったのです。

映画のタイトルは伏せますが、その名前は漢字も響きも良く、「この登場人物のように真っ直ぐに誰かを愛して欲しい。そして自分自身も愛して欲しい。」と、そんな想いで付けたのでした。

長女の時間があったら、また一緒にこの映画を観て欲しい。
私のあの頃の長女への想いは、全てその作品に詰まっているから。


■愛されて産まれてきた

彼との付き合いも長くなり、結婚に向けて、両家顔合わせ、同棲準備など進んでいる最中、長女を妊娠している事が発覚。

20歳の私は、何も迷う事も不安になる事もなく、「こうなるのは分かってた」と言わんばかりに、その波に乗っかっていったのです。

引っ越して通勤時間、片道2時間。
仕事をしながら、日々大きくなるお腹に愛おしさを感じつつ、重くなる身体と変化する体格に、21歳の私は複雑ではあったのです。

この時代、アカチャンホンポや西松屋は近くにない。
たまごクラブの情報が有力で、ネットの中では限られた意見と内容の掲示板が並んでいた。

妊娠を経験している親族の情報は、私が知っている情報とは真逆な時はあるし、友人で結婚して出産した人は少なかった為、リアルな情報はとても少なかったのです。

今では、当たり前になっているマタニティマークをぶら下げて、種類が限られている納得のいっていないマタニティ服を着て、誰かの言葉や態度に嫌な思いをした事もありました。

でも、短い妊婦生活は、私を少しずつ強くしていったし、長女がいる心強さがあった事、この愛おしさに比べたら、大した事はなかったのです。


■「奇跡」ってこういう事をいう

出産予定日は、所詮ただの予定日だ。
予定通りに産まれるなんて、ほぼない。

これは言い切れる。

もうすぐ予定日から2週間というタイミングで、あまりに陣痛が来ないので入院する事になったのです。
低酸素と羊水が減り濁ってきたという理由で、帝王切開の選択が出てきたのです。

自然分娩ができない事に、私は妊婦失格と思ったのです。
この考えは、21歳の知識がない私が情報に踊らされ、キレイで体調管理がしっかりできる妊婦さんを見過ぎていた結果、この考えになってしまったのだと思う。

今は、そんな事がない事は言い切れる。

結局、緊急帝王切開になったけれど、私の選択は間違っていなかったのです。

産まれてきた時に発覚した事。
臍の緒が首に二重に巻き付いていて、自然分娩にこだわっていたら長女はこの世にいなかったかもしれないという事。

無事に産まれてきてくれるなら、出産方法なんて、こだわる必要はない。

産声が聞こえる。
生きて抱く事ができる。

命に対して、固定観念なんて、参考にはならない。

もし、長女が妊娠を望んで、出産を選択する日がきたら、言いたい事があります。

自分の幸せを第一に優先して欲しいという事。
親は親の人生、子どもは子どもの人生。

Nagiko

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