見出し画像

ミニマムフレンチから見る和食の良さ

最近読んだ本の中で、面白かったのがこちら。

https://amzn.to/43elgar

(Amazonのアフィリエイトプログラムを利用しています)

調理方法は2つ、味付けは塩のみながら目に麗しいフレンチ料理を簡単に作る…というのがコンセプトの、上田淳子さんの本。
基本さえ押さえておけば、レシピ不要で作れるので、フレンチ料理が好きな方にはおすすめじゃないかと思います。
塩で焼いた肉や魚が不味いはずがないものの、サバの味噌煮や鯛の粗煮が大好きで、紫蘇は大好きだけどバジルが大の苦手で、赤かぶを見たら速攻甘酢漬けにするkinaとしてはコンセプトを楽しむ本となりそうですが…それでも盛り付けが美しく、「こんなに素敵な料理、kinaの食卓にはない」とちょっ落ち込んでしまいました。

そこから、和食が地味と感じてしまうのは何故か、ちょっと考えこむkina。
そんなkinaなりに出した結論です。


和食が地味と感じるのは火山と高温多湿のせいだ…と思う理由

見目鮮やかなフレンチ料理に比べて日本の和食が地味だと感じるのは、ひとえに食材のせいなのかもしれません。

日本の代表的な調味料である砂糖と酒(みりん含む)塩と酢はともかく、醤油と味噌は大雑把にいうと茶色と褐色という地味な色味で、古来からある野菜も派手な色のものは少なく、海藻も褐色で地味な色。

ところが、これには理由がありまして。
日本は火山が多いため火山灰の土壌も多く、土壌がヨーロッパに比べてミネラルが少なく、不足しているミネラル分を補うために海藻を使ってきました。
その証拠といってはなんですが、海藻を消化できる酵素は日本や韓国・中国といった東アジアの一部の民族しか持ってないそうで。
そして高温多湿な気候が菌類の多様化を生み出し、味噌や醤油・酒のような発酵食品を生み出し、それを活用して日本人は命を繋いできました。
大豆をそのまま食べるより、発酵して味噌や納豆にすると、大豆の消化率は格段に高まりますし、味噌は長期保存が可能になります。

そんなわけで、和食を地味に感じるのは調味料と海藻の色味で、その原因を作り出したのは火山と高温多湿の気候だった…ということになるんじゃないかと思います。
もし海藻や味噌・醤油が赤や黄色のような、見目鮮やかなものだったのなら、和食はここまで地味ではなかったかもしれませんσ^_^;

大航海時代は歴史だけでなく食にも多大な影響を与えた?

よくよく考えてみたら、そもそもトマトやパプリカのような見た目に鮮やかな野菜はごく最近日本に入ってきた野菜であって、それ以前で「目を引くような見目鮮やかな野菜」というと…ニンジンだったのか?と考えてしまいます。
あとはほうれん草や春の七草のような、色の濃い葉物野菜でしょうか。

とは言っても、トマトはそもそもペルー原産の野菜で、それがヨーロッパに入ったのは大航海時代の産物な訳で。
この点を考えたら「大航海時代って人類はもちろん、食文化にも大きく影響を与えたんだよな〜」と思い至らずにはいられません。
トマトはもちろん、じゃがいもなんて船乗りについてまわる壊血病(ビタミンCの欠乏が原因の病気で、最悪死に至る)の解決に役立ち、アイルランドではじゃがいもの生産量が人間の生死にも直結しまして、トマトのことを調べてたのに「じゃがいも凄い」とじゃがいもに敬意を払いたくなりましたσ^_^;

話を戻しまして、大航海時代以前、つまりトマトのような見目鮮やかな野菜もじゃがいももない時代のフレンチ料理をみてみたいな〜、ということは思ったりします。

これなら世界遺産も頷ける、和食というカテゴリー

フレンチ料理は今は白い磁器に出されていて、「お洒落だな〜」と思いますが、よくよく考えてみたらkinaの大好きなご飯と豚汁、なめ茸とかニシンの甘酢漬けを白いだけの陶器で出されても「…面白くない」と感じるタイプでしてσ^_^;
お味噌汁を白い陶器に出されても熱くて持てないし。
ご飯は白いだけに少し模様があった方が見た目にも嬉しいし、お椀は持って熱くないのが最優先と思ったら漆器になるだろう。
大前提として、日本は鉱物資源が乏しく、林業が盛んだったということも考えなくてはいけません。
そのために「ケとハレ」という文化で、普段は贅沢を控え、手に入りやすい食器で我慢し、お正月やお祭りというハレの日に食器も贅沢をする…という風潮があってもおかしくない。
ハレの日に有田焼や伊万里焼のような、華麗なお皿を使っていた…というのも納得がいく考え方だと思います。
そしてその有田焼や伊万里焼が発展したのも外国からの技術や鉱石の流入というのがあったので、ここにも大航海時代の影響があったりします。

ここまで考えて思ったことは「こんなに資源と土壌が乏しい日本が、海藻やら微生物やら自然の力を利用しまくって独自の食文化を作り、それが健康に寄与しているなら…そりゃ世界遺産として認定もされるわなぁ。単なる食文化の話ではなく人間の、環境へ勝利した過程そのものだもん」ということでした。

何だかすごい話になった気もしますが、kinaはこれからもあるもので美味しくご飯を食べようと思います。




拙い文にサポートしていただくとしたら感謝しかありません。家を買う費用とたぬきねこの福利厚生のために使わせていただきます。