【詩】後悔というもの
薄暗い喫茶店の中で君は唇を噛んで下を向いている
ここに至るまでの自分の行いを悔いているのだろうか
「君が真剣に向き合っていないのに、その人が君を大事になんてしてくれないよ」
そういうと君ははっと顔を上げた
真っ黒なその瞳はしっとりと濡れ
うらはらに薄い唇は乾き
指が水のグラスを探して彷徨っている
何度水を飲み干しても喉を通って胃の腑に落ちるだけ
大切な人を傷つけて失ったその事実を流し込めはしないのに
夜の帷は後悔というものを連れてくるのかもしれない
ゆっくりと陰を落としながら
「この人のことが心から好きだったんだね」
張りつめた瞳からこぼれ落ちた一筋の雫が
ぽつりと陰に溶けていった
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