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献血が好き、それは性癖です

献血が好き。
たぶんこれは私の性癖なんだ。

O型のRH+と希少価値のある血液型でもないので
人の役に立っている感覚はあまりない。

体重が50㎏以下の人は400ml献血が出来ない。
だから154㎝で43㎏の私は成分献血一択。

腕に針を刺すと迷走神経反射が強く出るときもあり
献血の途中や終了後に
血圧が下がり過ぎて失神寸前になったこともある。

この前は看護師さんに
「献血が向かない人もいるの。
あまり頻繁に起こる様なら、献血自体をお断りしなくちゃいけなくります」
と言われてしまった。

そりゃそうだ、28回中7回も体調が悪くなり看護されているのだから。
これじゃ、有難迷惑な提供者になってしまう。

それでも献血したくて仕方ない。

お菓子を食べてお茶を飲んでベッドに横になりながら
youtubeを観ているだけなのに、褒められるから。

定期的に献血することで
病院なら一回数千円する血液検査が無料でできるから。

腕に針が刺され血がお腹の上のチューブを通るときに感じる温かさ。
私、生きているんだと実感できる。
そうか、私、これが好きなんだ・・・

この歳になってリストカットしたいとは思わない。
切ったら、否が応でも他の人の目に付くし
この人いつまで中二病患っているの?と思われたら恥ずかしい。

でもね、自分が何のために存在するんだろ?と不意に悲しくなる時がある。
決まって、好きな人と私の間に距離ができたなとか
相手の気持ちが少し離れてしまったのかも、、と感じて
溢れる気持ちの処理に困ったとき。

瀉血ではないけれど、血液と一緒に気持ちが出ていくような気がして
血を抜かれている間だけは心が穏やかになる。

血を流す方法は違うけれど
私はリストカットしていた頃と何にも変わっていないのかもしれない。

献血パックに溜まった黄色い血漿成分をじっくりと見た。
看護師さんに、どれくらい取れたのですか?と尋ねると
だいたい、355mlですよ、と教えてくれた。

355ml×28回だから9940ml。
約10リットル。かなりの量だ。
どれくらいの人の元に届いたのだろう。

中には純粋に人の役に立ちたいと献血する人もいる。
それに比べて私は心が穏やかにるからなど自己中な理由だ。
なんだか、申し訳ない気分。

献血が終わってお茶を飲みながら少し休憩して外へ出た。

遠くからカナカナカナと蜩の鳴き声が聞こえた。
もう、夏も終わりなんだな。
今年の夏は、特に夏らしいこともしていないな。
好きな人を想って涙を流す日が多かった。
10代の頃と何にも変わっていない。
でも、そんな夏があったとしてもいい。
私の心に一足先に秋がやって来たみたいだ。







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