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贔屓したい子と苛つく子

教師が生徒に暴言を吐いたりすれば
すぐにネットで晒されたりニュースになったりする時代。

子ども同士のイジメなら、担任の先生や学校に相談が出来るけれど
先生からのイジメは学校に言いにくいよね?

今から30年近く前は、先生は絶対的な存在と思われていた気がする。
だから、そんな先生に刃向かうことは許されない的な雰囲気があった。

これは先生からのイジメだったのかな?
ずっと誰にも言えなかったけれど、ここで言ってしまおう。

まず、一つ目!

授業が終わった後
帰りの会というホームルームのような時間が設けられていた。
その時間で明日の時間割と
今日の宿題の範囲をノートに書いて順番で先生に見せる。
先生は、はい、はい、と流れ作業のように赤ペンでOKと書いて行く。
私の番になった。
OKと書いて、はい次の人となると思っていたのに、衝撃的な一言。

「なぎは、色気づいたからって、勉強しなくていいと思っているのか?」

色気づく?勉強しない?何のこと?

勉強しないって、、宿題は必ずやっているし、そろばんの習い事も
ドリルもワークも毎日やっているのに、勉強しないって、、どういうこと?
しかも、色気づくって、、髪にリボンを付けているから?
でも、女の子はほとんど可愛いゴムやリボンを付けている。
私だけじゃない。。。
先生はどうして、そんなこと言うのだろう?
頭の中にクエスチョンマークが飛び交う。

何も答えられない、だって、意味がわからないのだから。。。

何も言えずにおどおどしている私の反応に満足したのか最後は
ふん、と鼻で笑って、ノートにOKではなく大きく×を書き込んだ。
そんなことをされたのは、私ひとりだけだった。

それから、それから二つ目!

田植えと稲刈りの校外体験学習での出来事。
鎌で稲を刈って
両腕で抱えられるくらいの太さに束ねて運ぶという作業をやっていた。
この束がかなり重くて、体が大きな子でも二束
ほとんどの子は一束しか持てない。
それくらい重かった。

私も一束を抱えて運ぼうとしたときだ。

「そんな少しだけ運んでどうするんだ?」

先生が私を怒鳴りつけた。
そして、抱えている束の上に、もうひとつさらにもうひとつと重ねてくる。
重くて歯を食いしばった。
運ぼうと足を前に出した瞬間「まだ、まだ」と肩を掴まれて
さらに2束をドスンドスンと全部で5束を乗せた。

そのときだ。
ざまあみろ、と鼻でフンと笑ったんだ。
私を見下すようなあの顔を今でも思い出す。

周りにいた子が私を、あの子可哀想、、と憐みの目で見て来る。
そんな自分が恥ずかしくて情けなくて
でも、ここで重いと言って束を落としたら
先生は「そんなくらい持てなくてどうする!!」と怒るに決まっている。
みんなの前で怒られたら、更に恥ずかしい。

重くて膝が曲がったまま
自分の背丈より高く積まれた稲の束で前が見えなくて
転びそうになりながら必死に運んだ。

たぶんね、のんびり屋の私はせっかちな性格の先生を
ものすごく苛々させていたのだと思う。
おまけに喋らなかったから。
先生だって人間だから、ムカつく子、贔屓したくなる子がいて当然だ。
私は贔屓したくなる子に分類されなかっただけ。
ただ、それだけのこと。

私にも苦手な人のひとりやふたりはいる。
苦手意識を出さないようにしているつもりでも
どこかしら態度に出ているかもしれない。
それが相手を傷つけていることも否定できない。

完璧な人間などいない。
私も先生も同じ人間だ。
そう考えたら、まっ、いいやと思える気がした。

私はそう気持ちに蹴りを付けたけれど
どんな理由があるにしても
イジメるという行為は決して許されると思わない。

ただ、私みたいにイジメられても誰にも言えず
黙っていることだけしないで欲しい。
ちゃんと、心が壊れる前に誰かに話して助けを求めて欲しいと思う。
心に刺さった棘は周りの細胞を浸食し腐敗させていくだけだから。











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