「黒須あろま」と「でびでび・でびる」 人を魅了する「悪魔キャラ」

冒頭 「貴方の好きな属性は?」

A「俺、ツンデレが好きなんだよね」

 そんな台詞を一度は聞いたことがあると思う。「ツンデレ」という単語自体が些か古い気もしないではないが、一旦それは置いておこう。例に挙げた発言のうち、好みのキャラクターに関する概要は「ツンデレ」のみであるが、それだけでAの趣味嗜好をおおよそ推測することができるだろう。
 おそらくこう言われたとき、貴方は特定のキャラなどが頭をよぎったかのではないだろうか。何を思い浮かべるかは知る由もないが、筆者は御坂美琴、逢坂大河、牧瀬紅莉栖なんかを思い浮かべた。世代。
 「ツンデレ」という言葉は最近だと辞書にも載っているくらい一般的な定義づけがされた単語である。であれば「ツンデレが好き」以上にわざわざ詳しく語ったり考えたりすることなく、Aの発言は説明として過不足ない。


 話は変わるが、私の好きなアニメ「プリパラ」の中でも一番好きなのが「黒須あろま」というキャラクターである。彼女は格式ばった言葉遣いで話し、計略を張り巡らせ皆を呪いにかける悪魔アイドル…………という設定でやっているキャラクターである。「プリパラ」40話、45話あたりをを見るとおおまかなパーソナルはわかると思う。みんな見よう。

 また、私の好きなVtuberは「でびでび・でびる」である。大変恐ろしい悪魔である彼は視聴者である我々と契約を結び、死の間際に現れて魂を取りに来る。大変恐ろしく、それでいて魅力的なでびる様と私も先日契約を結び、Appleから「崇拝」という領収書を賜った。

 この二人には共通点がある。
 ――そう、どちらも「悪魔」である。

 そんなんwikiとか見れば数秒でわかるじゃん……もったいつけて言うなんてバカなの……? と思われた方、私も心からそう思う。でびる様にハマった際にも「こいつまた悪魔に魂売ってるじゃん……」と思ったものである。
 しかしこの私、どうでもいいことを蒸し返し、むやみに煮詰めることに関しては一流である。延々と加熱した挙句、出てきたのが

「じゃあ『黒須あろまやでびでび・でびる様みたいな悪魔が好きなんだよね』と言う場合の性格、キャラクターとしての『悪魔』ってなんだ?」
という、(狂った)疑問である。

 捨て置けばいい疑問をうっかり拾ってしまった私は「黒須あろま」と「でびでび・でびる」に共通する魅力について検証し、『悪魔キャラ』についてをむやみに、そして無駄に分解してみようと思い立ったのであった。

「悪魔」の定義

 クソほど長いどうでもいい話が続きましたが、ここからが本編となります。

 デジタル大辞泉曰く悪魔とは
 ・残虐非道
 ・人に災いをもたらす
 ・悪に誘い込む
というものらしい。それに沿って一旦考えていこうと思う。


残虐非道

 残虐非道な行為に関しては、両方あまりしていない。そもそも残虐非道が過ぎるとテレビ局には苦情が殺到し、放送中止され、配信はBANされ、収益化が止まる。なのでそのあたりはマイルドにやっているのは間違いないだろう。
 ただしでびでび・でびる様に関して残虐なものを好んではいる。ホラーやスプラッタなどをよく視聴しており、かつ人間とはかけ離れた感覚をお持ちになっている。どちらかというと本人が残虐非道なのではなく、残虐非道な環境が普通というのが正確だろうか。

 余談だが、逆にちゃんと残虐非道なキャラってどんなものかと思って軽く調べてみると、ジャンプ悪役キャラの名が結構上がってくる。「ドラゴンボール」のフリーザ、「ジョジョの奇妙な冒険」のディオ・ブランド―、あとちょっとネタバレしそうで名は避けるけど「魔人探偵脳噛ネウロ」のラスボスとか。
 わかりやすい残虐非道が暴力であることも相まって、バトル物に寄った結果知名度的にジャンプになるのかもしれない。


災いをもたらす

 黒須あろまに関しては悪戯のレベルであることが多い。せいぜいドライアイスやカレーうどんぶちまけたり、図書室を勝手に占拠したり、バレンタインに配るチョコを強奪し食い尽くしたり、プリパラを(間接的にとはいえ)爆破したり。
 …………いやほら、悪戯の範疇だから。セーフ。
 ちょっとやりすぎ感もなくはないが、大概ぶっ飛んだアニメ、プリパラという作中においては悪戯の範疇であり、その結果困ることはあっても「またあいつらかー」で済む範疇である。

 でびでび・でびる様はというと、実際に本人が人に災いをもたらしているところはさほど多くない。先述したように自身の感覚が人間とずれているために結果的に被害を被るみたいな面はまま多い。汚部屋とか、イライラクッキングとか、うんちとか。
 案外自身から災いをもたらしてこないあたり、根は優しい悪魔なのかもしれない。


悪に誘い込む

 黒須あろまはそもそもの始まりから勧誘を目的としていた。ここにおける「悪」=「一緒のチーム」ではあるが、「悪」に勧誘するために計略を練っていた。他にもプリパラを恐怖に陥れることを目的に事あるごとに事件を引き起こしている。
 また、アイドルタイムプリパラにおいては幸多みちるに対して様々なことを吹き込んで手下の小悪魔にしてしまう(ここの話あろまの技的な意味でもストーリー的にも巧くて好き)など、まさに悪魔の所業である。

 でびでび・でびる様はというとまさに悪への勧誘、特に人間を堕落させることに関して言えば一流である。本人が酒やら金やら女やらを好むこともあってからか、人の欲望を刺激するようなことを囁いてくる。その動機も自分本位のものが多く(アイスが欲しい、コアラ呼ばわりをやめさせたい、映画館残したいなど)、我々を自らの利益になるよう誘導する。
 また自身を崇拝する人々と契約を結び、死ぬ間際に魂を取りに来る。この形式がまさに悪魔の所業であり、本業といったところだろう。

 この最終項がお互いを構成している主な悪魔的要素であり、それゆえに共通項も多い。
 二人とも自分の目的のために人を拐かす。それも人を害するためではなく、自らが好きなことをするために必要があるからである。二人にとっては「○○楽しいからお前もやろう」という形での誘惑となる。つまりは「磯野、野球しようぜ」くらいの友達感覚のノリで堕落をもたらしてくるわけである。
 もっと簡潔に言えば友達、親しい者のみを悪に誘いこむのが二人のスタンスである。

 ここで出てきた「友達」というワードはそもそもプリパラにおけるテーマの一つだ。当然黒須あろまの友達についても作中でいくつも語られている。
 その中でも注目したいのが黒須あろまの「ずっと友達だよ」という言い方は「一生呪ってやるぞ」となることだ。これに似た表現、他にも聞いたことがないだろうか。
 そう、でびでび・でびる様の契約の話である。我々はでびる様を崇拝し、でびる様は最終的に我々の魂を回収しに来る。これは「一生呪ってやる」と等しい行為だ。
 まさに二人に共通する要素と言っていいだろう。

まとめ

 ここまでの内容をまとめると
「残虐非道ではなく、悪戯くらいの災いをもたらし、自分の好きなものへと人々を誘い込む」
というのがこの二人における「悪魔」ということである。


 ……いやそういうことじゃなくない?
 こんだけ長々語っておきながらひっくり返すというのもなかなか脳内妄言っぽくて大変よろしい。一方で文字数は増え読む人がどんどん減る。文にしているくせに全く読ませるつもりがない。

 というような罵倒は一旦飲み込むとして、要するに何が言いたいかというと、「悪魔が好きなんだよね」の文に上をそのままぶち込んでそれで納得できるかって話である。
 当然私は全く満足いかない。○○じゃないっていうのはちょっと理由として薄く、二人を構成するものにはもっと大きな要素があるはずだ。

 「悪魔」感についてはおおよそこれでいいとするが、まだ二人を語るにおいて不足していることがある。
 それは「悪魔的要素ではないが、二人に共通する要素」をまだ考慮に入れていないということだ。これでは悪魔ならなんでもいいことになってしまう。
 私が求めたいのは「この二人みたいな」を表現する言葉だ。故にもう少し粘ることとする。

狂人の作り方 完成品を壊し作り直させる

 さて、まだこれを続けるにあたり、先に何を掘るのか先に提示したい。

・悪魔らしいが故に副次的に現れている要素
・悪魔らしくないが持っている要素

 ここまでに比べスピード感があるのは、個人的に決めた〆切である悪魔の日がめちゃくちゃ差し迫っているためである。というか当日である。そのあたりご了承願いたい。
 また、上の二つを見た時に鋭い人は「こいつ上の中でも似たことを語っているな……」と思ったかもしれない。それもそのはず、今やろうとしていることは、意識はしていないものの常在している要素をわざわざ全部精査するという狂気の沙汰だからだ。大変申し訳ないがお付き合い願いたい。

 閑話休題。

 まず一つ目だが、悪魔らしい要素、つまりここまでの話からすると悪への誘惑の面から生まれている部分だ。
 悪へと誘惑するために必要なもの、と言い換えるともっとわかりやすい。無理やり悪の道に進ませるわけではなく、相手にそうするべきと思わせるタイプの悪魔であるがゆえに、必要なものがある。
 まず浮かぶのが「知性」だ。二人とも頭のキレるタイプで、小学生や普段うんちうんち言ってるとは思えない発言をすることがある。
 黒須あろまは計略タイプという話はいくらかしたので、でびでび・でびる様について述べたいが、ちょっとネタバレっぽくなるので語りにくい。「単芝」「台風」「悪夢」「追悼」とかそのあたりがキレキレ・キレる様が見られると思うので申し訳ないが自分で見てほしい。

 二つ目だが、残虐非道さや災いのレベルが大人しいために副次的に生まれる要素があることは何となくわかると思う。
 それは「優しさ」である。その性質を持っていない、あるいは酷いことをしないようにしているために、その逆である優しい要素が大きくなるというわけである。
 言われてみれば、というように優しいエピソードは両方からなかなか多く出てくると思う。

 黒須あろまで言えば、同じチームの白玉みかんやガァルルへの面倒見の良さ、「アイドルタイムプリパラ」において先輩アイドルとして関わる幸多みちる周りの動向は目を見張るものがある。
 幸多みちるがもうプリパラには行かないと言い出したとき、「なら不要になったプリチケを渡せ」と悪役を買って出ることで彼女の本心を聞き出す手腕も見せた。

 でびでび・でびる様においては、コラボの幅も広く、新人などとも積極的に絡むこともあってかコミュ力の高さは折り紙付きである。特に夢月ロアや鈴原るるなどとのコラボにおいての世話焼き感はなかなかである。集団コラボでも状況に応じてボケもツッコミもこなす万能悪魔である。
 また、コアラや映画館に対して(動機はどうあれ)募金し、他の契約者にも募金を促すような面もある。こういった面は他の悪魔やVtuberなどでもかなり珍しく、かつ素晴らしい取り組みではないかと思う。

 このような世話を焼く面や気の遣い方など、二人を占める大きい要素と言えるだろう。

まとめ(二回目)

上記も入れて再度まとめ直すと

「残虐非道で人に災いをもたらす存在でありながら、人々への優しさ、気遣いを持ち合わせており、切れる頭を使って自らの欲望のために人々を悪へと誘い込む」

といった感じになる。これをシンプルにするなら
「頭が切れ、人々を誘惑する悪ではあるが、残虐なことまではせず優しさも持ちあわせてる奴」
くらいでよいかと思われる。
 もちろんまだこれで説明しきれない部分も多い。しかし共通項として挙げるには申し分ないものになったかと思う。
 これくらいであれば「俺、悪魔が好きなんだよね」に直接叩き込んでも抵抗なく使えるのではないだろうか。
 最初の疑問に沿って答えがちゃんと作成できたので、これからは自信をもって「俺は悪魔が好き」と言っていきたいと思う。


あとがき

 まずここまで読んでくださった皆様に多大なる感謝を。ありがとうございます。
 おおよそ自分が頭だけでやってることを文章化した、いわゆる夢日記などの類なので、一個目からこんな意味不明な長文を書いてしまっていいのかな……みたいな気持ちになってます。とはいえ、考えながら調べてちゃんとある程度の形にしました。
 あと「#悪魔の日2020」に間に合ってよかったです。5月頃からのんびりやっていたところ、良い感じに〆切が降って来てもうここ〆で書くしかないなと自らに鞭を打って死にそうになりながら完成させました。

 片方しか知らない人がこんなの読むかは疑問だが、もう片方を見るきっかけになったりしたらいいなー、あわよくばでびる様に読んでもらいたいなー、でびる様からプリパラの感想とか聞きたいなーという全面欲塗れですが、その一欠片でも達成出来たらいいなと思ってます。

 あまり長くてもよくないのでここらで締めます。改めてお読みいただきありがとうございました。

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