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振り出しに戻る

実は4月中旬に、引越しをすることになっていた。
私の部屋の間取りは壁の5/7は扉という、家具レイアウトが難解だった物件ではあったが、他の部屋やLDKは広くて良かったし、ベランダも広めで日当たり良好だった。大きな駅や、広くて散歩するには気持がいい公園やきれいな川も近くにあった。その川沿いには桜の木が何本かあり、私はそこを毎日散歩しようと、楽しみにしていたのだ。
ところが審査も通り、引っ越し会社を決めた時に仲介不動産屋のミスで契約が白紙になってしまった。簡単に言えば、不動産屋が大家さんの信用を失うようなことをしてしまい、取引停止。私達はとばっちりを受けたのだ。
とても楽しみにしていたのに…全て、仲介不動産屋のミスでなくなってしまった。私もあの広いベランダなら、楽しく多肉ライフを送れると思っていたから本当に残念だった。

そもそも、私が「引っ越ししたい」と言ったことが事の始まりだった。
しかし、その発言から娘の結婚、娘夫婦との同居決定(期間付)と変化していった。ところが肝心の私が、別に引っ越しを急ぐ必要性がなくなってきた。というのも、もうどこに引っ越しても、県内なら気休めにならないことに気づいたのだ。なので(いい所が見つかれば、引っ越せばいい)という程度に変化してしまった。しかし、娘たちは結婚を控えているので、必死だ。おかげで私があまり動かなくても、動いてくれるので助かっている。若いから動きも早く、次の物件も見つかった。
しかし、前よりも名古屋から遠ざかり、地元に近づいてしまった。地元に戻ってきたせいで、すごろくでいうところの「振り出しに戻った」感が、私は否めなかった。

振り出し=物事の始まり。白紙に戻る。

むしろ、地元で良かったのか。経験値はそのままで「振り出しに戻る」。
まるで、完成したデータを保存しようとした時に、フリーズ。心の中で泣きながら、再起動。一から作り始める仮定にそっくりではないか。
悲しいかな、そういう経験は沢山ある(仕事で)。そしてその仕事は半分の時間で片付けることが出来ることも知っている。一度経験しているから迷うことない。最短で最良のカタチでゴールに進めることが出来るからだ。

そう、振り出しに戻っても、大したことない。
前の物件が白紙になったことも。
今回の物件のベランダの日光具合とか、LDKがDKになってしまったことは少し気になるところだが、それも大したことない。
大抵のことはどうってことない、些細なことなのだ。
なぜなら「振り出しに戻る」ことが、大したことないのだから。

みんなで楽しく暮らすことが出来れば、それでいい。簡単なことなのだ。


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